ロイはドワーフの洞窟に辿り着いた。まず飛空挺について聞いてみる。

ドワーフ「飛空艇は西に飛んでいったよ。でも西の大陸に行くにはガイアの洞窟を抜けなくては…」
ロイ「ガイアの洞窟?」
ドワーフ「ガイアの洞窟とは古代の怪物が化石となった洞窟。ミスリルが好物だったって言うけど…変わってるね」
ロイ「ちょっと待ってくれ。ここから西の方にしゃべる人面岩がいたんだけど…」
ドワーフ「それがガイアだよ。中は洞窟になっているんだ。そこから西の大陸につながってるはずだよ」

ロイ「でもこの前入ろうとしたら吐き出されちゃったんだ。どうしたら通してくれるかな?」
ドワーフ「ミスリルを持っていけばいいんじゃない?」
ロイ「ミスリルというのはどこで手に入るんだい?」
ドワーフ「北の廃坑がミスリルの産地だよ。今はワッツが探検に行ってると思うよ。あいつは冒険好きなんだ」

ロイ「じゃあまず北の廃坑でミスリルを手に入れて、ガイアにお願いして通してもらおう」


ロイは廃坑へ向かった。入口にトロッコがあるが錆ついて動かない。

ロイ「困ったなあ。どうしよう。誰か錆を取る道具を持っている人はいないかな?」

ロイはもう一度ドワーフの洞窟へ行って、道具を持っている人がいないかどうか聞いてみた。

ドワーフ「錆びを取りたい?南の小屋の道具屋にそんなのがあったかなあ?」
ロイ「南の小屋…この前留守だったところかな…?」


ロイは以前立ち寄った道具屋へ行った。今度は店員がいる。

店員「へいっいらっしゃい!ウチの品物はお買い得だよ!」
ロイ「錆びを取る道具はないかい?」
店員「それならここにありやすぜ!名付けてさびトレール!わかりやすくていいネーミングでしょう?」
ロイ「……………」
店員「1つ500ルクになりや〜す♪…へい!まいど〜」

店員は商品が売れたのが嬉しかったのか、くるくるとまわって踊りだした。

ロイ「……………」

ロイは敢えて何も言わず店を後にした。


再び廃坑へ。トロッコの錆を取って乗ると、急に勢いよく動きだした!

ロイ「うわっ!は、速い!コントロールできないし止まらないよ!」

途中、廃坑の中にいるモンスター達と接触するが、ダメージだけ受けてそのままトロッコは進んでしまう。

ロイ「痛っ!攻撃する暇もないよ。…うわっ!毒を喰らった!」
(旦那、落ち着いて、この間シーバさんからヒールの書をもらったじゃないですか!)
ロイ「そ、そうだ。ヒール!…う、うわあっ!!」

毒を治療した後、モンスターと接触したら今までとは比べ物にならない程の傷を負った。

ロイ「ケ、ケアル…ふう…うわあ、またモンスターだ!えーい、もうヤケだあー!!」

ロイは鎖鎌をぶんぶん振り回した。トロッコは相変わらず止まらないままである。なんとか敵を倒すことに成功しつつあるが、相変わらず毒を喰らう。
ヒールで回復した後、大打撃を受け、またケアルで回復――ということを何度か繰り返すうち、ヒールを使うと防御が激減することに気づくロイ。
しかし暴走を続けるトロッコに乗ったまま敵と戦いながら、頭の中はパニックである。

ロイ「ヒール…」

ガスッ

ロイ「うわあっ、ケアル!」
(旦那、このままじゃヤバいんじゃないすか?このトロッコ、どこまで行っても止まりませんよ。むしろ同じところをぐるぐる回っているような…)
ロイ「ど、どうしよう、MPが、HPが!」
(旦那、このままじゃ止まらないトロッコの中でカッコ悪い死に方になっちまいますよ)

ロイ「嫌だああああーーーーー!そんな死に方嫌だあああああーーーーー!!!!!」

ロイはヤケになって鎖鎌を振り回していると、そのうちトロッコごと穴に落ちて行った。

ロイ「うわああああーーーーー!」





ワッツ「おや?ねえ、大丈夫?」
ロイ「く…ううっ…」

そのドワーフ、ワッツは手持ちのハイポーションでロイの傷の手当てをした。

ロイ「ありがとう。君、この洞窟に詳しいかい?」
ワッツ「剣士さんもミスリルを探してるの?一緒に行こうよ。山分け!山分け!」

ロイとワッツは2人でミスリルを探すことになった。

ロイ「それにしてもさっきはありがとう。もう駄目かと思ったよ」
ワッツ「剣士さんは傷だらけだったからね。すぐそばに回復の泉があるんだ。そこで少し休んだ方がいいよ」


回復の泉で一休みするロイとワッツ。

ワッツ「ところで剣士さん」
ロイ「何だい?」
ワッツ「僕の7つ道具はみんな役に立つものばかり。何か買っていかないかい?」
ロイ「品物を見せてくれるかな?」
ワッツ「ハイポーション、毒消し、目薬、金の針、モグラの髭、鍵、マトックだよ!」
ロイ「それじゃあ、ハイポーションと…鍵とマトックをもらおうか」
ワッツ「ありがとう!他には何かいらないかい?」
ロイ「う〜ん、モグラの髭って何だい?」
ワッツ「これはモーグリの姿にされてしまった時に元に戻すアイテムだよ」
ロイ「モーグリ?」
ワッツ「モーグリの姿になると防御が0になっちゃうんだ。攻撃もできないし魔法もアイテムも使えない。本当に何もできない大変なステータス異常なんだよ〜!」
ロイ「アイテムも使えないならそのモグラの髭を持っていても意味がないじゃないか」



ワッツは硬直し、一瞬、間が空いた。



ひゅるるるるる〜〜〜〜〜



ワッツ「…そっか、…剣士さんは1人旅だったね…しくしく…」
ロイ「僕が悪かったよ。ほら、もうだいぶ体力も回復したし、先を急ごう」


廃坑の最深部には大ムカデ「アンクヘッグ」がいた。ロイは距離をとり、頭部をうまく狙い、倒すことに成功した。


ワッツ「やった!やった!ミスリルが手に入った!僕、先に帰ってミスリルの道具を作るよ」
ロイ「これでガイアは通してくれるだろうか?」
ワッツ「うん!じゃあドワーフの洞窟で、また」


ワッツが作ったミスリルの武具を買って再びガイアの洞窟へ。今度はガイアも黙って通してくれた。





一方、ここはグランス公国。

ジュリアス「…シャドウナイト様…」
シャドウナイト「ジュリアスか」

シャドウナイトの前にぼんやりと輪郭が現れ、ジュリアスの姿が映し出される。ジュリアスはこの術で遠く離れた人物とも会話することができるのだ。

ジュリアス「マナの一族である少女を捕らえました。飛空挺のエンジンが回復次第、そちらへ連れて行きます」
シャドウナイト「そうか。よくやった」
ジュリアス「ところでシャドウナイト様、以前マナの秘密を盗み聞きした脱走奴隷を始末したとのことでしたが…」
シャドウナイト「ああ、どれがどうかしたか?」
ジュリアス「奴は生きております」



何だとおおおおおーーーーー!!!!!



シャドウナイト「そんな馬鹿な!確かに崖から突き落としたはず!あの高さから落ちて生きているはずがない!!」

ジュリアス「どうやら奴はジェマの騎士の素質をもつ者のようです。油断はなりません」
シャドウナイト「くそっ!ついあのシチュエーションで崖から突き落としてしまったが、剣で確実に止めを刺しておくべきだった」
ジュリアス「案ずることはありません。我らが先にマナの樹に辿り着いてしまえばよいのです」
シャドウナイト「よし、ジュリアス、速やかにマナの一族の少女を連れてくるのだぞ」
ジュリアス「私にお任せ下さい。シャドウナイト様」





次へ
前へ

二次創作TOPへ