ロイとアマンダは砂の迷宮の中を探索した。中にはマトックや鍵が必要な場所も多々あった。その中でロイは「ブリザドの書」を見つける。
そういえばと、メノスの村の女性から聞いたことを思い出す。

何でも凍らせてしまう魔法をしるした本が砂漠のどこかにあるっていうわ

どうやらそれはこのことらしい。砂漠にものを凍らせる魔法があるとは…
宝を回収し、回復の泉で疲れと喉の渇きを癒すと、ロイ達は今まで行ってなかった場所へ行ってみることにした。
中に入ると雪ダルマがある。

ロイ「 砂漠なのに雪ダルマがあるなんて…?」

ロイがいじってみると雪ダルマはあっという間に壊れてしまった。その先には凍った滑る床がある。

ロイ「うわっ、思う通りに進めないよ。先への扉も開かないし」
アマンダ「何か謎解きがあるんじゃないのかい?」

アマンダも周りを調べてみる。どうやら魔方陣の上に乗ると次の扉が開くようである。しかし、何か別のものを乗せないと2人共先へは進めない。

ロイ「あの雪ダルマ、壊しちゃったけど、どうしよう?」
アマンダ「もう1回出直そうよ」


もう1度入りなおすと雪ダルマは復活していた。ロイは壊れないように慎重に雪ダルマを魔方陣の上に乗せた。

ロイ「よし!これで先へ進めるぞ!」


次の場所にはタランチュラがいた。慌ててロイ達は敵を全て倒してしまった。

アマンダ「また魔方陣があるよ」
ロイ「でも雪ダルマが無いぞ。どうすればいいんだ?今度の扉も魔方陣の上に何かを乗せないと開かないみたいだし」

ロイとアマンダは2人でしばらく意見を交わしあった。

アマンダ「そのブリザドの書は何でも凍らせる魔法なんだろう?それであのモンスター達を凍らせてみればいいんじゃないかい?」
ロイ「そうか。やってみよう。でも敵は全部倒しちゃったぞ」
アマンダ「しばらく他を探索してまた出直そうよ」



ロイ「よし!今度こそブリザド!」
アマンダ「ロイ、危ない!」

ちょうどロイが凍らせた雪ダルマはアマンダのナイフに当たって壊れてしまった。

ロイ「今度こそ――」
アマンダ「敵が!」

ロイが凍らせた雪ダルマはアマンダのナイフで壊れた。

ロイ「今度こそ――」
アマンダ「敵の攻撃がくるよ!」


…………………………


アマンダ「結局全部倒しちゃったね」
ロイ「敵の攻撃をかわしながら魔法で凍らせるのは難しいな」
アマンダ「もう1回出直そうか」



ロイ「よし今度こそ――!」
アマンダ「雪ダルマを壊さないように――!」
ロイ「よし!うまくいったぞ!」
アマンダ「ふう〜やっとできた。あとは魔方陣の上へ押して行くだけだね」
ロイ「ってちょっと待てよ。壁の端っこじゃこれ以上どこへも押していけないよ」


…………………………


アマンダ「また出直そうか」



ロイ「よし!今度こそうまくいったぞ!」
アマンダ「敵を凍らせた位置もバッチリ!さあ雪ダルマを魔方陣まで押すよ」
ロイ「さあ、先へ進もう」

このようにしてロイとアマンダは先へ進んでいった。


アマンダ「ねえ、ロイ」
ロイ「何だ?」
アマンダ「ここのボスはメデューサなんだよね。気をつけないと危ないよ。石になったら回復させてあげるよ」
ロイ「わかった。ありがとう」


最深部へ進むとメデューサがいる。

メデューサ「生きてここから帰さないよ!」

ロイとアマンダはとにかくメデューサの頭部を狙った。時々石化させられ、アマンダに回復してもらいながらもひたすら戦い続け、なんとか倒すことに成功した。

メデューサ「ほほほっ私の生き血をもらいに来たんでしょうけどそう簡単にはあげないわよ」
アマンダ「!? 一滴の血も残ってないよ…!!」
ロイ「ひとまずここを出よう。ジャドに帰ってデビアスに会おう。やつからレスターを戻す方法を聞き出すしかない」

すると、アマンダの様子がおかしくなりだした。

アマンダ「う……」
ロイ「アマンダ!大丈夫か?」
アマンダ「どうやらさっきの戦いでメデューサに噛まれちまったようだ。ついてないよ…」

アマンダは悲しみにくれながら話しだした。

アマンダ「あたいの心は徐々に魔物に支配されてくんだよ……ロイ、今のあたいの血にはメデューサの血が半分混ざってる。あたいを殺し…その血をオウムに飲ませて…レスターを元の姿に戻してやってよ…」
ロイ「そんなことできるわけないよ」
アマンダ「あたいを無駄死にさせる気かい!」

アマンダの姿が変わり始めた。肌の色もだんだんメデューサと同じようになっていった…

アマンダ「ごほっ!…ほら…もうあんたが獲物に見えてき始めたよ…レスターへの最後の愛を叶えさせておくれよ。そして…この手で愛する人を殺させるような仕打ちをさせないでおくれよ…おね…がいだよ……」

アマンダは見るに堪えないほど悲痛な目をしてロイに必死に訴えた。自分の命と引き換えに弟を救う為、メデューサとなった自分が愛する人を殺す前に止めを刺して欲しいと。ロイも見ているうちに涙ぐんできて悲しみに耐えられなくなった。しかしアマンダの気持ちはよくわかり、自分は冷徹な判断を下さなければならないことがわかった。少しためらってから、ロイは覚悟を決めた。

ロイ「許せ…アマンダ」

ロイは思い切ってアマンダに止めを刺し、悲しみの中…アマンダの血をすくうのだった…


そして、沈痛な気持ちでロイはアマンダの埋葬をした。ゆっくりと、奴隷時代のことを思い出しながら。

ロイ「…アマンダ…」
(旦那…あっしが思うにアマンダさんはあんたのことを…)
ロイ「ああ…アマンダは苦しかった奴隷時代の大切な仲間だった…いつも弟のことを思っていた。メデューサになって愛する弟を殺すようなことだけはしたくなかったんだろう…」
(そうじゃなくて…いや…なんでもないすよ…)

謎の守護霊は思った。アマンダが言った愛する人とは、もちろん弟のレスターもそうだが、最期に言った言葉はロイに向けてのことだったのではないかと。しかし、それをロイに指摘するのはやめた。自分に想いをよせる女性を自らの手で殺めたなどと自覚したらロイはさらに苦痛を感じるだろうから。

ロイ「デビアス…許さない…!」

ロイは一見静かな、そして激しい怒りを胸の中に秘め、ジャドの町を目指した。





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