ホークアイ達は風の精霊ジンの協力を得て、眠り花粉でナバールニンジャ兵を眠らせ、ローラント城に攻め込んだ。

ホークアイの戦いぶりはまさに『俊敏』だった。ダガーの二刀流が華麗に舞うたびに血の華が咲く。素早い攻撃で確実に敵を仕留める。そして相手の攻撃をひらりとかわし、反撃する。彼の戦い方は腕力に訴えたものではなく、素早さと命中率を重視したものである。その見事な戦いぶりに美惚れながら、リースは負けじと槍を振るう。
リースの戦いぶりはまさに『流麗』だった。金色の髪をなびかせ、まるで流れるように美しく槍が舞う。相手を苦しめないよう、慈悲のこもった一撃を放つ。手にした槍を時には突き、時には払い、時には頭上で旋回させ、力を溜めて攻撃する。リースはアマゾネスのリーダー。その槍の腕前は群を抜く。

途中からモンスターが現れたが、ホークアイ達はひるまずにどんどんローラント城を登って行った。

ホークアイ「ふう…だいぶ上の階まできたな」
アンジェラ「ホークアイ!大変よ!」
ホークアイ「アンジェラ、どうした!」
アンジェラ「リースが1人で先に行っちゃったのよ!何でも弟を攫ったニンジャ達を見つけたとかで」
ホークアイ「1人で!危険だ。すぐに追いかけよう!」

ホークアイ達が慌ててリースの向かった方向へ進むと、そこには2人組のニンジャに捕らわれたリースの姿が。

ホークアイ「あっ、リース!!お前達ビルとベンだな?ビル、ベン、やめるんだ!」
ビル「チッ、誰か来やがった」
ベン「美獣様に報告だ」
ホークアイ(美獣…?このナバール軍はイザベラが率いているはずだが)

ホークアイはベンの言葉を気にしながらもリースを介抱する。

ホークアイ「リースしっかりしろ!」
リース「う…ありがとう。敵の将軍はすぐそこの部屋の中です。後少し、行かなくちゃ…」
ホークアイ「馬鹿やろう!そんな体じゃみすみすやられに行くようなもんだ。俺達に任せてじっとしていろ!もっと自分を大事にしろよ。王女様なんだろ?」
リース「…でも!この命にかえても、お父様の仇を…」
ホークアイ「俺は王制とか、そういうのって大嫌いだが、自分を頼ってくれてる人達がいるんだったら、そいつらを裏切るような真似はしちゃいけないよ!」
リース「ホークアイ…」
ホークアイ「いい子にしててくれよ、リース。じゃあな!」

ホークアイはリースの手当てをシャルロットとアンジェラに頼むと先へ進んだ。

リース「う…皆さんに迷惑ばかりかけて申し訳ありません…」
シャルロット「今シャルロットがヒールライトで回復してあげまち!」
アンジェラ「全くもう、無茶するんじゃないわよ!」





ホークアイ達の働きでリースはローラント城奪回に成功した。敵の将軍であったイザベラという女は本当は美獣という名であることが明らかになった。だが、その目的はまだ謎に包まれている。リースはビルとベンと戦った時に重傷を負い、床に伏せっていた。ホークアイは毎日のようにリースの部屋へ見舞にいった。

アンジェラ「ねえ、シャルロット、見たあ?ホークアイとリース。あれって絶対お互い惹かれあってるわよねえ」
シャルロット「そうでちねえ。2人が一緒にいると部屋にいづらくなってしまうでち」
アンジェラ「私達、明らかにお邪魔じゃないの!ったく!それにしても仇同士で恋だなんて、泣けるわよねえ。お互い憎むべき相手なのに惹かれあってしまう。しかも盗賊と王女。本来なら決して許されるはずのない相手なのよ!」
シャルロット「そうでちねえ。リースしゃんは一体どうするつもりなんでちかねえ?」
アンジェラ「リースはそもそもの最初からホークアイに惚れてるわよ。いっつも気がつくとホークアイのことばっかり見てるし。ホークアイもそれに気づいてるわ。ああん、もう!2人の仲ってどうなっちゃうのかしら?」





リースの怪我が治ると、彼女は弟のエリオットを探す為、新たに旅立つことに決めた。そしてホークアイ達も再び旅立とうとしている。出発前の夜、ホークアイはリースに会いに来た。ローラント城の窓からは銀色の月の光が射し込む。そんな中、一対の男女は見つめ合う。

ホークアイ「リース、怪我はもういいのかい?」
リース「ええ。…ホークアイ、あなた達のおかげで城を取り戻す事ができました。本当にありがとう……でも、もうお父様は戻らない…」

リースの頬に一筋の涙が流れた。ホークアイはそっと抱き寄せ、宥めてやる。

ホークアイ「仲間だったビルやベンまで…今やナバールは完全にイザベラ…いや、美獣の手中におちたようだ」
リース「美獣…あの人が私の父と国を奪いエリオットを攫わせた…絶対に許せない」
ホークアイ「リース、今あいつを倒せばジェシカの命が危ないんだ。頼む、少しだけ時間をくれないか。マナの剣…マナの剣さえ手に入れればジェシカを救う事ができるんだ」
リース「そのジェシカさんって、ホークアイの…」

リースはふいにホークアイから離れた。

ホークアイ「リース?」
リース「いえ何でもありません…わかりました。それに私も国を立て直さなければなりませんし…」
ホークアイ「ありがとう、リース…」
リース「…」
ホークアイ「リース、きみは弟のエリオット君を探して旅立つと聞いたけれど、よかったら俺と一緒に来ないかい?」
リース「!」
ホークアイ「俺はマナの剣を手に入れると共にイザベラ…いや、美獣と決着をつけなければならない。エリオット君を攫わせたのが美獣だとすれば、俺と一緒にいた方が手がかりがつかめるかもしれない」
リース「私…は…」
ホークアイ「何よりも俺は、リース、きみと一緒にいたい」
リース「ホークアイ…」

私もあなたと一緒にいたい

そう言いたいのをリースはぐっとこらえた。

リース「私は、私なりのやり方でエリオットを探し、ローラントを復興させます」
ホークアイ「リース、俺はきみを――」
リース「ダメ!言わないで!」

リースはさらにホークアイから離れた。

リース「私達は仇同士です…一緒にいてはいけない存在なのです…それに盗人と一国の王女。お互い惹かれあうなど到底許されることではありません…」
ホークアイ「リース…」
リース「…ごめんなさい…」





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