ここはビーストキングダム。ケヴィンは次に会う時にシャルロットに何をプレゼントしようかと悩んでいた。そして獣人の女の子に聞いて回ったのが事の始まりである。ケヴィンに想い人がいるらしいと気付いた獣人達は隠れて噂し合う。

「おい、聞いたかよ。あのケヴィンが恋、だってよ」
「相手は一体誰だ?」
「どうも獣人じゃないみたいだ」
「獣人王様と同じく人間の女と結婚するつもりなんだろうか」
「いや、待てよ、あのケヴィンのことだ。そんなことまで考えてるだろうか」
「そうだよ。ケヴィンだぜ。結婚とかどうとか、そっちの知識があると思うか?」
「わわわ、待て!ケヴィンにはまだ早い!」
「まだ早いったってもう15歳だぜ。人間の王族なら早くてもう結婚してる年頃らしい。ケヴィンだって獣人王の後継者だ。王子みたいなもんだぜ」
「そうだ。ということは世継ぎの問題も出てくる。これはますますケヴィンのやつを応援してやらなきゃならないな」
「俺達が大人の男女の恋愛のなんたるかを教えてやろう」
「でもあのケヴィンに理解できるかな?」
「俺達にやれるだけのことはやるんだ。いいか、年頃の娘ってのは、ませてやがる。いつまでも精神的にお子様な男なんて簡単に振られちまうぜ」
「俺達みんなでケヴィンを応援するんだ!」
「おう!」



獣人達「ケヴィン!」
ケヴィン「どうした、みんなそろって」
獣人達「いいか、これから俺達の言うことをよく聞くんだぞ。安心しろ。俺達がおまえを大人の男にしてやる」
ケヴィン「?????」



その後、獣人達に一体何を教え込まれたのか、ケヴィンは決意を新たにし、ホークアイに会いに行った。

ホークアイ「ケヴィン、急に俺を呼び出して一体何の用なんだ?」
ケヴィン「ウウ…アウウ…」

ケヴィンはもじもじしながら顔を真っ赤にさせている。どもってなかなか言葉がうまく出てこない。そして、意を決して1つの単語を叫ぶ。

ケヴィン「お、おんなのこ!」
ホークアイ「は?」
ケヴィン「う…デ…デデデデデ…デート…」

再び顔を真っ赤にして黙ってしまうケヴィンの様子を見てホークアイは勘づいた。

ホークアイ「はは〜ん!女の子とデートしたいんだな?奥手な君も成長したねえ。相手は誰だい?」
ケヴィン「!!!!!ア、アウ…」
ホークアイ「いやいや、俺としたことが無粋な真似をしてしまった。すまないね。あんまり意外だったものだから。それで俺に女の子とデートするにはどうしたらいいか、相談に来たと?」
ケヴィン「ウン…。デュランとホークアイ、どっちに相談しようか迷ったけど、ホークアイの方がよく女の子と話してるから…」
ホークアイ「いや、俺で人選は間違ってない。よしよし、友人のよしみで君の恋愛が成就する為にしっかりとアドバイスしてあげようじゃないか」

ケヴィンはホークアイのアドバイスを素直に聞いていた。果たしてその成果は…?



その後の聖都ウェンデルにて。

シャルロット「ケヴィンしゃん、こんなところによびだちてどうしたんでちか?」
ケヴィン「あう!あの、お、おれ、その……………デ…デート…」

ケヴィンはまたしても顔を真っ赤にさせる。頭の中は真っ白で、まともな言葉が出てこない。しかしシャルロットは長い間共に旅をした仲である。ケヴィンの様子とデートという単語で言いたいことはわかった。

シャルロット「なるほど、このウェンデルのびしょうじょシャルロットとデートがしたいんでちね?いいでち。でもきちんとえすこーとしてくれないといやでちよ?」
ケヴィン「あ、あう!ま、任せる!」

ホークアイのアドバイスも虚しく、緊張のあまり碌にしゃべれなかったケヴィン。いやいや、本番はまだこれからである。シャルロットはデートの誘いをOKしてくれたのだ。ケヴィンはホークアイのアドバイスを何度も頭の中でおさらいする。獣人達に教えられて初めて気付いた、自分のシャルロットに対する気持ち。初めての感情に身体中が熱くなり、何も手に着かなくなる。今の彼はシャルロットとのデートを成功させることで頭がいっぱいだった。それ以外のことは何も考えられない。

獣人達やホークアイのアドバイスは果たして効をなすのか?

奥手で不器用な彼は果たしてちゃんとエスコートできるのだろうか?

さあ、がんばれ、ケヴィン!





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