春の花木・草花

カキツバタ

 アヤメ科アヤメ属の多年草。日当たりのいい湿地、浅い池沼に群生する。外花被(がく)片に白い筋が あるのが特徴。昭和29年に愛知県の郷土の花(県花)に選定された。同県刈谷市も昭和46年に市の 花に選定した。

 松田修著「花の文化史」によると、語源は「万葉集」に「杜若衣に摺りつけ大夫のきそひ狩する月は来 にけり」という歌があるように、上代は衣服にすりつけて使ったことから、書き付け花が転化してカキツ バタになったというのが定説になっているという。

 カキツバタの自生地は多いが、三河の国八ツ橋(知立市)が有名。在原業平が伊勢物語の中で「から衣  きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ」とカキツバタの5文字を句の初め に置いて旅の思いを詠んだ、ことで知られる。業平が詠んだ知立市のカキツバタの名所は、今も無量寿寺に残る。

 写真のカキツバタは、刈谷市井ヶ谷町にある小堤西池の群落で、2002年5月9日に撮影した。この日、 調査員に聞いた話では、最盛期には少し早いという。ここは昭和13年に 国の天然記念物に指定された。守る会が、保護育成に努めている。  ■赤紫色の花 ■よれ咲きの花


©2002 Yuusuke Niinomi

■小堤西池のカキツバタ群落  ■ノハナショウブ
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