沿革

 

1.はじめに   2.梶田繁政について   3.伽藍の変遷

 

3  伽藍の変遷

 

 今回、改築された本堂、庫裏は安政年間に完成されたものである。この解体作業の中で、当時の棟札が出てきた。札というより丸太を削って墨書したものであるが、それには安政直前の嘉永七年(現住道宗)の年号が読める。この丸太は藁屋根からトタン葺きに改修した時、そのまま小屋組みの中にしまいこんだもののようであり、今回もまたそのまま天井裏に納めた。ただ墨が薄くなっていて既に読めない文字がいくつかあった。

 この安政の改築は、福厳末になって約50年目の出来事で、その前の伽藍については明らかでない。それまでの本堂の廃材で伊勢湾台風によって壊れた観音堂を造ったという言い伝えがあったからそれほど大きなものではなかったかもしれない。安政年間に造られた本堂と庫裏は、その後昭和27年と36年にトタン葺きと瓦屋根に改修されている。   

 

周りの景色も一変している。伊勢湾台風の頃までは、おそらく江戸時代とあまり変わらない田園風景であったがこの頃から少しずつ様子が変わり始め、寺の前にも自動車の走る道路が開かれた。平成の区画整理を機に寺の周りから田圃が消え、かえるの声が聞かれなくなった。夏、水田を渡ってきた風は涼しかったが、最近はアスファルトとコンクリートで熱せられた風が吹く。

 

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