16A8超3結

20100302〜201007**


目次

超3結との邂逅、再会
刀音シャーシアンプの解体と超3結への改造
元回路を勝手に改造
測定
また改造
上條信一氏のご冥福をお祈り申し上げます。


はじめに

先達の“後追い”が基本の作品ばかりですが、どこかをチョイチョイと変更する「捻くれ」た思想もありますな。しかし今回は、元ネタを極力忠実に再現しようと努めました。結末は・・・やはりどこかいぢってしまいました。オリジナルへの冒涜かも。

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超3結との邂逅、再会

提唱者の上條信一氏がMJ誌へ初めて寄稿され、その後数例の製作記事もお書きになってる事は存じておりました。不適切なのを承知で申し上げれば、「えらく尖ってるなあ」と感じたのが正直な感想でした。その後、記事が掲載されなくなって、読者の一人としては・・・あまり記憶に無い・・・。後年、インターネットに(いやおう無く)関わるようになっても、氏の活動がそちらでなされておられる事を存じ上げませんでした。礼儀を欠いた文章ですがお詫び申し上げます。

過日、6CA10→6RP15着せ替えアンプの予備球(6CA4ですが)探しのおまけに、6BM8も一括りの中に混じっておりました。放置ネタの「刀根シャーシ」アンプをコレで決めようかと思い立ち、WEB上の情報を探しますと・・・出てくる出てくる・・・。6MB8ネタの半数以上?が「超3結」アンプです。手持ちの16A8数本も混ぜて、Goです。

実に多くの方が追試され、高い評価をされてます。リンクを辿り「Evolve Power Amplifiers」に出会いました。かつてMJ誌でも拝見した記事以後にも、コレだけの製作活動をされておられたとは露知らず・・・。その内容の「濃さ」は多くの方が追試されるのも当然と感じました。今更ながら、氏が求めてきた一端に触れた気がします。これは一つ体験せねばと決断しました。

16A8・STC元回路 勝手に引用しております。

多くの作例の中から選択したのは、氏のHPからの「Super triode connection Ver_1 6BM8 single ended_ stereo power amplifier 2nd model」です。なにしろ前段管ナシですし、先の「刀音シャーシ」標準?トランス群ともマッチすると思います。

3行空けのために・・・こげなことを

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刀音シャーシアンプの解体と超3結への改造

刀音シャーシアンプ MJ誌1996年11月の刀音精氏企画によるシャーシキットを元に5842WA単管シングルを作りました。これは残念ながら満足行く手応えが得られず、永らく放置状態。本件に生まれ変わる事に。

M-705x2、SC-5-150、MX-135の指定トランスは、5842よりずっと頃合だろうと存じます。

**** それでもMX-135の巻線電圧が元回路より高いので、塩梅を探ってるところ。PT両脇に、KIT付属の150Ωホーローが収まって幸運。

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元回路があり、元シャーシもあり・・・工夫したのは出力管のカソード抵抗周りの「大柄」なパーツの実装方法と、6BM8/16A8兼用対策くらいかと。ただ、内部が基板で埋め尽くされ、いささか息苦しい。

超3結とは関係の無い事ですが、ソケットはAmphenol社の「32mmφ穴」対応品。刃根シャーシKIT付属のパーツではありませんが、修正無しで適合し、5842WAでも使用したものです。珍品かも?

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元回路を勝手に改造

元回路を極力忠実に・・・と、心がけましたが氏のHPで“許されている”だろう範囲の変更はしました。ただ、実験段階で垣間見た「気になる状態」をど〜しよ〜か・・・。ちょっと悩んだのも事実です。

16A8 STC改 電源元電圧が高いので、氏の「Q&A」のA2に準じた抵抗ドロップ(各chに470Ω)で対処しております。MX-135としては軽負荷だからか、各巻線電圧は高め。1次105Vタップがあるのでコレを利用しました。

関連性はないはずですが、元回路で試したE-102の両端電圧は、電源ON直後に140V超でした。(Leader・Model300で目視・・・波形の撮影は失念・・・)

Ib+Ic2が電源電圧の変動に敏感な印象です。短時間ですが耐圧超過するE-102を68kΩ固定抵抗に置き換え、B2kΩに1000μFを抱かせました。初段TRへの直流帰還作用を期待しての処置も含みますが、その按配は無思慮。結果オーライですが電流変動は半減以下に緩和されました。

氏の意図する「内部抵抗」の減少効果への改悪になるかも・・・とは薄々感じてはいますが、DF値などは変更前と変わらない・・・。

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測定

測定中に気付いたのは、上條氏はOPT「4Ωタップに8Ωを負荷」と指定されている事です。コレを見落としておりました。一部、いや結構混乱したデーターです。ご容赦ください。

16A8(T) STC1 8Ωタップに8Ω負荷接続してたと思う・・・。

16A8(T) STC2 これはハッキリ記録してた、2次接続の2本立て。

16A8(T) STC3 4Ωタップに8Ω負荷時。

16A8(T) STC4 16A8(T) STC5 X軸入力電圧値を共用・・・してない・・・ので、別グラフに。

16A8サンプルは松下の中古2本ですが、両ch間の差は少ないのでRchを示します。う〜ん、氏の元回路の作例では、電気的特性が示されてません。最大出力は1.8Wほど、利得は8Ωタップ時24db、同4Ωタップ時では21db・・・。これで良いんでしょうか。

氏のHPを拝読するものの、超3アンプ回路の電圧利得を直接指し示す記述が見つかりませぬ。氏以外のHPで関連する記述を見つけ、粗っぽく初段A≒5.6、超3結段A≒70、出力トランスでA≒0.04(2次8Ωタップ)と想像しました。全A≒15.7倍(23.9db)は一致するが。

F特や出力インピーダンス・歪み率は、上條氏が「他で」掲げる特性が得られていると感じます。なお、10Hz以下の測定時に「電流増大」現象を見ました。これは別途実験を行いました。

16A8(T) STC1 16A8(T) STC2 16A8(T) STC2

オマケ実験。16A8の5極部を3結にした超3結です。Ep≒225V、Ib+Ic2≒23mA。10kHzの測定が中断されてるのは・・・なぜだろう。自身の記憶・記録が無い。

「Q&A」の中では、標準5結への変更にも述べられているので試しました。裸利得は30dbも増加し、これが「超3結」によるP-G帰還量と承知しました。

全てを元に戻し、試聴しました。・・・以下省略。

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また改造

入力部の1μF→0.1μFへの変更。これは超低域信号でIb+Ic2が増加する現象を緩和する「対処療法」です。

16A8 STC改 入力部の変更で、F特はこのように変わります。

超3結のメリットを「殺す」改造なのかもしれません。しかし自身の「駄耳」では改造前との音質変化は確認できませんでした。

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6EM7(GE)04.jpg ナニしたくて買ったのか覚えてない6EM7(GE)を2本死蔵。

まだ完成していないウチに、着せ替えゴッコ管候補に考えておりました。動作点の吟味や・・・それより前段部の定数が、そのままでエエのか解らぬまま実行に到らず放置・・・。あの低域信号入力に伴うIb増加現象がブレーキになってるかも知れませぬ。

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上條信一氏のご冥福をお祈り申し上げます。

幾つかの疑問点を抱きながら、上條氏への「質問・相談」をしないまま、叶わぬ事となりました。これからは、自身のアタマと手で回答を求めなくてはなりません。

氏の業績がアンプ製作愛好家の「道標」として活き続けられるよう、ご遺族、ご関係者方々の尽力により、HPが維持されている事には大変感謝しております。

完成後のイタヅラ中 完成画像撮影を失念。

これは本件に絡む別途実験のため、M-705を外しちゃってから撮ったもの。

「6BM8基礎実験+超3結の謎」のタイトルでその実験結果を載せる気でいたのですが、撮影波形ばかり多くて本質に至らズ未掲示のままです。などと、下心を仄めかしたまま有耶無耶に葬り去ろうか・・・

3行空けのために・・・こげなことを

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