5842「刀音シャーシ」アンプ

1996年11月3日〜


目次

高gm管を選ぶ
5842で組む
Raytheon・5842WAで挫折
後日談・・・


はじめに

刀音精氏の記事 MJ1996年11月号の刀音精氏による「6BQ5シングル多用途パワーアンプ」が元ネタです。

中身より外側の方に魅力を感じてはおりましたが、過日のアキバ巡礼でシャーシーキットの現物を発見、半ば衝動買いしてしまいました。10年以上完成したモノが無く、「焦り」みたいな心境もあったかもしれません。

買ったのは記事のとは色違いのやつ。特に意味なし・・・。

モロに読めるのを避けるため、小さく引用してます。

3行空けのために・・・こげなことを


高gm管を選ぶ

捻くれた自分は、記事どおり組む気は毛頭なく、かといって「誰も知らないタマ」なぞ知ってるわけ無いし。でも「一例だけ知ってる」フォロワーが現われない珍品作品が、アタマから離れません。

前年ハマってた「高gm管」実験では、電圧増幅回路用として何種類かのタマを試しました。今回はそれらを出力段に用いようと考えたのですが、勿論発想したのではなく次に述べる前例があります。

竹下顕秀氏の回路 中身の元ネタはコレ。ラ技1994年9月号、竹下顕秀氏の「5842シングル単段アンプ」です。穿った見方をすれば「無策」そのもの、でも究極の潔さとも言えますね。

氏の球選定眼はユニークで、某界隈の表現を当て嵌めるなら間違いなく「猫またぎ球」ばかり。同誌1993年の「6N7・B級PP」に始まり、同系球や垂直出力管、レギュレータ管、果ては大概のベテランなら毛嫌いされるだろう高gm球まで・・・。

ご本人も告白されておられますが「安いタマ狙い」とのことで、その使いこなしの苦労話が楽しそうに綴られています。ご活躍の時期が短期だったのは残念。

刀音シャーシアンプの基幹パーツは、タンゴM-705・MX-135・SC5-150です。告白すれば、電源電圧過剰を承知の構想です。ソコは安定化電源搭載で「なんとかなる・・・いや、する」所存です。更に告白すれば、潔さを捨てて「固定バイアス」でひねくり回そうとも考えました。

刀音試案1 刀音試案2 左は「刀音シャーシ」に出会う前の6R-H2試案、贅沢にもタムラでやろうとしていた。

右は「刀音シャーシ」入手後、盛り込むつもりの回路。6R-H2や5842に加え、収集した高gm多極管総ざらえアンプの妄想。

今読んでもナニ考えていたのか理解不能の手書き回路・妄想。NOVA球のE55Lまでやろうとしてたのか・・・。

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5842で組む

9PMT管主体ですが、ピン接続がバラバラなのです。偶に拝見する着せ替えゴッコ記事では定番?手法の「ソケットアダプタ」介在式を考えておりました。シャーシ側には一般のUS8Pソケットをマウントし、差し込まれるのは当然UP8Pプラグ。そしてキーパーツが、ネジ間隔が一致したAmphenol製の・・・品番不明の9PMTソケットです。こんなのが半ばJUNK扱いっぽく売ってたアキバって・・・。

Amphenol・9Pソケット **** ****

右端は、キット付属の「不要」パーツ。ゴム足も“好み”でデカいのにした。

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**** **** ←↑作製当時の「写ルンです接写」撮影。

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300V級の元電圧を120〜180Vにまで「無駄」に落とす構想に辟易しつつ、「刀音試案2」回路を詰め込みました。「見た目」で選んだ割には、付属の「見栄え」パーツをことごとく無視した造作。

3行空けのために・・・こげなことを

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Raytheon・5842WAで挫折

@800円のを8本試しまして、3本Ig過多・Ib暴走です。今思えばRg=100kΩは過大です。でも、10kΩにしたところでその3本は救えなかったでしょうなあ。

残る5本のデーターを掲げます。入力→8Ω負荷(M-705の4Ωタップに)までの利得は、−1.8〜+1.2dbにばらつきました。Noisは、0.3〜0.4mVほどですが、直流点火を試みれば0.1mV未満に出来たかもしれません。まあ、後の祭りですが。

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**** **** Eb=180V・Ibo=20mAの動作条件ですが、これは過酷だったかもしれません。なお、Ec1はサンプルAが最も浅く、−2.11V。一番深いサンプルGが、−2.59Vでした。特性にもそれが垣間見えてるような所も。

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**** キリの良い0db=1Vrmsだろうと思うのですが、測定レベル不詳の半端データです。出力インピーダンスは調べておりません。

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実は、測定中のIboが微増傾向を呈します。したがって、以上のデーターも正直あてにならぬ所があります。音も聴いてみたのですが、常時Ibを監視していないと怖くてですねえ・・・1H以上の試聴は断念しました。

Rg=100kΩの事と併せて、どうやらヒーター電圧が過大なのかもしれません。記録には書き残しておりませんが、6.3V以上だっただろうと思います。Raytheonの所為にしちゃってますが、既に幾つか他ブランドのもあって、確かめるべきなのかもしれません。しかし・・・この時点で追求する情熱が失われました。残念ながら「完成した」といえないまま放置、モッタイナイことで・・・。

(1997年8月・完)

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後日談・・・

せっかく拵えた作品の、解体→組み直しは“したくない派”ですが、以下に本機の末路を告白します。

16A8超3結 2010年3月〜同4月

本シャーシキットとタンゴトランスで、6BM8/16A8対応の「超3結」にリフォームしました。

Miniwatter体験・6R-H2版 5842系統のシングルが頭から離れません。

2013年5月末〜同9月末に「Miniwatter体験」を絡めて、類似管の6R-H2(NEC)を試しました。

3行空けのために・・・こげなことを


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