UY-807系&US8P出力管シングル実験機

1992/10〜


目次

始まりはUY-807
UY-807・ULシングル実験
UY-807・三結シングル実験
その他管種(一部)
さて、2B33・ULシングルをば


はじめに

貧乏性・・・いや貧乏そのものですから、作品ををホイホイ拵えるワケに行かず、でもタマいぢりはしたい。

前回のPP実験結果から「PP完成品」を手掛けるのではなく、殆どを流用してシングル実験機に変えます。812Aや4B13の実験に使ったU-808があるので新たな出費は少ない・・・はず。PP実験で試したタマをそのまま使えば・・・以下同文。


始まりはUY-807

UY807(東芝)01.JPG 工業高校生時分に関わった思ひ出深きタマ。無線ではなく、モノラル・プッシュプルアンプを作りました。音を聞くためではなく、作りたかったから作ったアンプだったような。

記憶しているモノアンプの基本回路をココに。

その後、一度リフォームを経て・・・解体。トランスを使いまわして、前回のUS8P出力管PP実験機に生まれ変わりました。なお、UY807の片割れは事故でCAP脱落の大怪我、再起不能です。合掌・・・。

UY-807s実験 Part1のpp実験回路をシングルに変えた際、初段の定電流回路を温存し、積極的歪み打消しを意図しました。

掟破りですが、Eb=Ec2=350VのUL接続です。「大丈夫」という根拠は希薄ですが、807の3結pp動作例がEb=Ec2=400Vちゅうのはご存知ですか?。ならば、多結300Vとの中間でど〜やろ?、てな判断に過ぎませんが。

我田引水的理屈を言えば、G2が最も「高電圧」にさらされるのは3結だと思うのです。負荷線上の動作点を想像すれば、「常に」Pと同電位なのですから。標準多結はその点、対K電圧が固定されているわけで、楽・・・な筈なのですが、負荷線上のebmin時には結構な大電流がG2を襲うわけです。ULは、40〜50%の巻き数比のタップに生じる電圧の変化巾を考えれば・・・いかにもその中間っぽい。

では、その塩梅は?・・・すみません、好かぬ言葉ですが自己責任ですね。あるいはタマ個体次第・・・ちゅう感じもします。

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UY-807・ULシングル実験

UY807UL E19921006 手書きで薄いのはご勘弁を。掟破り350V・ULで8W超。RL=3.5kΩでは9W超えるが歪みも増えるので、こちらのRL=5kΩを好む。前段は12AX7パラ、電流を相当絞って2nd打消しを行った特性。UY-807のドライブ電圧歪みカーブを併記しております。「↑印」が歪み最小点を探ったレベル。

全段利得は24dbなので、6db内外の負帰還が頃合でしょう、本音は10dbくらいかけたい。

なお測定は「1kHz」1本で通しており、100Hzや10kHzの記録は残しておりません。U-808では帯域端での打ち消し外れが予想されるので、初めから念頭に無かった模様。本番では、当時?新製品だったタンゴXE20Sに期待してた記憶。

UY807UL E19921008 同一出力段の「低歪み」ドライブ。X7のバイアスを加減し「↑点」での最小歪みを得たうえに、バイパスされないカソード抵抗による電流帰還を加えたもの。本題ではないが、なぜかX7自身の2ndが減少した感じ。

UY-807ULの「丸裸」はこんなモンか。なお、実験のため?の実験で、全段利得を20dbに抑えています。

探してる 実験中の写真を探している。撮ったはずなんだがなあ・・・。

3行空けのために・・・こげなことを

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UY-807・三結シングル実験

UY807T (8)19921010 参考資料(8)。3結の低歪みドライブ、同様に全段利得は20db。2.5WまでがA1級領域で、多分遊び電流過多か。ただし、以降のA2領域にはそれが必要。

オシロ観測の正ドライブピーク電圧も見てたんですねえ。Ig値は何で測ってたんだろう?、メモに残してない。更に惜しむらくは、G1電圧の変移も記録すべきだった。

UY807T (9)19921010 参考資料(9)。3結の歪み打ち消しドライブ。最大出力は3.6→4.5Wに。

なお、これ以降の初段は12AT7パラに、負荷抵抗値も100→50kΩへと変更。2次歪みの増量?を目論んでいたかと記憶。

UY807T (10)19921010 参考資料(10)。3結のCR結合ドライブ。3〜4Wでの動作点移動を見た。Ibo≒50mAでも見てみりゃ良かった気がした。

測定項目が偏っているので、総合的判断には不足と承知しております。ただ、無帰還やら高DF値には拘っておりません。単純にパワーが出るULを本命にします。

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その他管種(一部)

ソケットを替えてUS8P出力管の幾つかを試しました。

EL34UL (15)19921011 参考資料(15)。EL34・TELEFUNKENのUL。歪み打ち消しの“有り”と“無し”の2本立て併記。UY-807ULとほぼ同一動作条件ですが、パワーが出ますなあ。

試料サンプル唯一の5極管・・・だからかどうかは解らぬが、Ic2/Ib(Ip+Ic2)は大きく10%超。だからなんなのさ。

6550UL (17)19921011 参考資料(17)。6550・RCAダルマ管のUL。似たようなモンか。いや、打ち消し5W以上のカーブはEL34とは若干違うが、多数サンプルを見ないと。

6GB8UL (20)19921013 参考資料(20)。6GB8・Hi-FiのUL。似たようなモンだが、さすがにバイアスは浅く出力段の利得は−3db。おっと、(15)EL34からソレを見てない・・・片手落ちですな。

打ち消し無しの歪みは少ない。ただ、多数サンプルを調べないと何とも・・・。

まあ、こんなペースで資料を40枚得ました。紹介した以外に「おっ、コレは!」と感じたネタで別構想練ってます。

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さて、2B33・ULシングルをば

先に述べたように、東芝UY-807が残存1本です。補修・追加も考えましたが、結局は類似他品種の収集に目が行って、可哀想に「寡婦」のまま・・・いや「鰥夫」かもしれないが。ソレはさておき、集めたUY5Pソケット適合の類似管種で、例の「着せ替えゴッコ」も楽しむ所存です。

ひとつ恨み言で恐縮ですが、本件構想の初期には平田電機タンゴが健在でした。出力トランスにXE20S、電源トランスにはME-195を考えてましたが、今となっては果たせぬ夢となってしまいましたね。計画変更で余った平田電機MX-205と、後年収集できた平田電機U-808でやりましょう。なお、ISOタンゴ廃業前の駆け込み注文で入手できたXE20Sとの性能比較はやりたいと考えます。

807系各種 コレクター期の果てに・・・その1。

「UY-807A」で検索したら『一式戦闘機「隼」研究所−電気系構造』ちゅうのにも当たりました。オーディオ用途しか考えていませんでしたが、軍用通信機向けに開発された日本の独自管だそうです。入手したのは、Toshibaロゴだから戦後の生産品でしょう。

3D21系各種 コレクター期の果てに・・・その2。

3D21のお仲間ですが、左端のはPp=15Wなので動作条件を変えねば。いや、それより足元が違うぞ。あのコンパチ構想をやるしかない。レーダー管の能力は出せそうもないが、そもそも何でこんなの買ったンか解らぬ。

本件からの派生ネタその1、「2B33シングル」はぢめました。20150502〜

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