2B33/5933WA ULシングル(1)

20150502〜


目次

不本意な電源トランスで・・・ 熱設計のお悩み・・・ 20150720〜
電源トランスの実験 20150502〜 シャーシ加工のお悩み・・・ 20150728〜
バラック実験.1-1 下拵え 20150516〜 安定化電源部のお悩み・・・ 20150815〜
バラック実験.1-2 AC点火実験兼出力管試験 20150520〜 完成までのお悩み・・・全回路図 20150914〜
バラック実験.2-1 全段動作の掴み 20150525〜 測定・・・悩むのはヤメた 20151025〜
バラック実験.2-2 カソホロの効果確認 20150526〜 試聴 20151101〜
バラック実験.2-3 2次歪み打消し 20150528〜 オマケ実験.1 高域ピーク抑制 20151119〜
バラック実験.2-4 FW-20Sテスト 20150529〜 オマケ実験.2 カソホロ直結の復習〜UY-807A三結
バラック実験.2-5 XE-20Sテスト 20150531〜 ***
バラック実験.2-6 XE-20Sおまけテスト 20150531〜 ***
バラック実験.3 350AのDC点火擬似テスト 20150618〜 ***


はじめに

前作の「6V6シングル」が冗長すぎたので、これからは“なるべく”簡潔明瞭を心がけましょう。基本構想・経緯・昔話などは「UY-807系&US8P出力管シングル実験機」をご参照ください・・・って、早々の手抜きかい。

そのシングル実験頁では触れなかったのですが、このULシングルの元ネタは例によって武末先生の作例「KT-88/6GB8(UL)シングル・・・ラ技1969年1〜2月号」でした。前年の300Bシングルの発表後、代替出力管としてそれら2種を選ばれたのです。そして、メーカーの標準動作例とはかけ離れたEb≒450V・Ibo≒80mAには驚きました。

タマの極限動作ともいえるので、今時こんな設計をされる方を存じ上げませんし、今時入手できるタマでは躊躇してしまいます。しかし当時発表された実測データから、充分300Bの代役が務まると感じました。いやその・・・同じ音質が得られるという記述はありませんが。

そして、タマタマその代替管候補2種(KT-88ではなく6550ですが)を持ってたことも、実験の動機付けの一つです。では、UY-807からスタートした理由は?・・・う〜ん、思い出せませぬ。


不本意な電源トランスで一苦労の予感

簡潔明瞭を誓いながら、まずはボヤキからはぢまります事をお許しください。本件に使用予定だった平田電機タンゴMX-205の処遇に迷いがあり、中古市場・オークションなどで追加入手に努めておりますが、あと一個がまだ見つかっておりません。

MS-140とMX-205

最適とは言いづらいが、タマタマ入手できた平田電機TANGOのMS-140(写真左端)を無理やりあてがって見ようと考えたのです。ちなみに外形・寸法はMX-205と同じなので、もう1個手に入れば置き替える覚悟でした。

中央は別ネタに回したくなった平田電機MX-205。右端はISOの同型機。ちなみに本命のME-195が”もし”入手できたら、秘蔵のXE...とで全部作り直したい。

ISOタンゴでも黒仕上げ品があったのですね。平田電機製との違いはエムブレムが金になったくらいなので、ボトム側では区別つかズ。

VT-25・300Bシングル用途として販売されていたので、DC400V超級のB巻線です。電圧関係はナンとでもなるさ・・・と楽観、しかし問題は「135mA・Di整流」の電流容量です。出力段の基本的動作条件は、Eb=350V・Ibo=60mAと決めてますから、ステレオ分を引くと15mAしか前段用に回せません。前作もかなりキワドイ電源設計でしたが、本件も同様か更に厄介だろう予感です。

MX-205に拘らなくとも、NOGUCHIさんなど他社に同等・類似定格モデルは御座います。そこでひとつ代替品も試して見ましょう。捻くれた根性が露見するかもしれないが。

MX-205とPMC-170M MX-205と、その代替品として選びました。右がNOGUCHIさんのPMC-170Mです。

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電源トランスの実験

20150502〜

冒頭で簡潔明瞭を誓いながら、また実験からですが・・・。

PT実験5 余裕がないMS-140。B巻線に予定負荷相当を与えてみました。カソホロ段は±間にまたがる負荷なので正しくない気がしますが、ま、目安的な実験です

この実験初期には、AC電流計(PC-510aのAC・Aレンジ)を、PTの「0」に挿入し、リターン電流を読んでましたが、ど〜もコリャ巻線AC電流を読んでない数値が出たのです。

指示値では0.13Arms未満なので一安心。しかし、こんな判断基準でGoして良いのか、いささか不安はあります。

平滑コンデンサ前の少なからぬ固定抵抗は、過剰な電圧のADJ意図もありますが、ダイオードの低インピーダンス整流を捨てて、球整流の145mAに近づける目論見もありました。計測器の指示値そのものに信頼性は・・・自信がない。しかし、挿入した抵抗を0Ω→47Ω→100Ω・・・など増加すると巻線電流値が減少する傾向は見られます。

実は・・・前作でコリた電源トランスからの誘導ハムを、「拵えてから」嘆くのはイヤなのです。その按配探りが本項での主眼です。

PT実験7 MS-140での全予定負荷相当のテスト回路。DC点火回路×3の追加が負担になったのか、+400Vが低下気味なのでADJしました。

収集した同等・類似管の全部はとても調べきってはおりませんが、ザルに盛って安売りしてた5933WA(SYL)はHハムが酷かったのです。迷わずDC点火ですが、程ほどにしたい気もします。前段の12AX7・12BH7Aの各2本は「タマ次第」ではAC点火で済むかも知れませんが、念のため実験に加えております。

屁理屈の“補強”をしようと、「全く無策」のウチの電灯線電圧波形を調べてみました。観測箇所は未通電の延長コード末端部です。同じ元コンセントから供給していた機器をOFFにしたくらいでは、なんら変化は見えません。

しょっちゅう見てるわけぢゃあ無いのですが、ン年前の記憶でも大体こんなモンでしたね。なお、DS-5102BのVppとVrmsの演算数値比は興味深い。コレぢゃあは無負荷でも整流電圧は・・・語尾ボカします。屁理屈補強も・・・ボカそう。

ボヤキ:よそのご家庭や施設などの電灯線電圧波形など、よっぽどの事がない限り見ることはありませんでした。しかしン10年前の某御邸宅での記憶は・・・もうちょっとマシだったような・・・。今時はお金を掛ければ結構な装置も買えるのですが、導入しようとは思いません。しかし実験・測定用にはエヌエフのEC-***が欲しくなる時があります。

PT実験8 漏洩磁束によるOPTへの誘導ハムテスト回路。

U-808の1次側は、『Ayumi's Lab.』さんが「2.UL接続のプレート内部抵抗」で解説された、6L6-GC(UL)のrp値に近い、4.7kΩで終端します。

PT実験8-1 PT実験8-1 平田電機MS-140で探索中。シャーシは「着せ替えシングル」でも使用した350mm×210mm×55mm品を予定。

加工前に配置を決めたい事も、実験意図のひとつです。

↑の“だらけた”配線は、OPT⇔出力管の距離を考えている・・・と弁明します。U-808の「B-P」端子間に4.7kΩを最短配置したらもっと減るかな?。

前作でのトラウマもあるので、似た配置を試してみました。MS-140に近いRchはLchの倍出てます。でも0.1mV(500kH・BW測定)未満なのでホッとしました。配置の勘考で左右そろえられる「余地」はありそう。

参考値は多極管接続を模したつもり。807/6L6系では・・・もう少し低いのかもしれませんが、“参考値”ってことで。これも前作のトラウマなのですが、増加してても「0.6mV」などとゆーハムではなかった。ホッとしました。余計なおせわですが左右ハム波形を撮影しました。Lch・0.047mVRch、0.107mV

PT実験8−1は良く見る配置で、前作以外でも試したことがございます。しかし、PTに近い側はど〜しても誘導ハムが大きい。PTを中央に置く左右対称配置なら左右揃いますが、等しく“近い”ってのは?・・・。

PT実験8-2 PT実験8-2 ←は左右ともPTから離した配置例です。WEB上でも作例は少ないかな?。この場合タマがPTに近づくので、回路・配線への影響が懸念され・・・組み込んでみないと。

拙作ではMiniwatter体験が類似配置でした。でも、当時このレベルの検証はしてはいません。

そういえば、LUXのPPアンプにはこんな配置が多かったのですが、似た意図でもあったのでしょうか。この配置なら左右共誘導ハムは低レベルに留まります。しかし本機ではタマの居場所が狭いし、入出力端子の配置も迷う。そろそろ安定化電源の制御素子(放熱器必須)も場所を決めんとマズいのです。

PT実験8-3 PT実験8-3 居場所の拡張案。

危惧したほどは悪化しなかったのですが、PTの強磁束方向にタマを置く事になります。影響は組んで見んとワカラン・・・。

ここまでの印象では、MS-140の磁気シールドは良好と思います。この性能を活かさないとモッタイナイ。

タマの配置エリアは・・・150mm×210mm得られそうですが、差し替え代替管にST-16サイズを含むので、ギリギリです。

冒頭で誓った”簡潔明瞭”宣言は、既にウソ八百になってしまいました。平にご容赦を・・・m(_ _;)m

PT実験9 平田電機・MX-205での予定負荷回路です。6.3V2A巻線から得られるDC電圧は低く、ADJ余地はありません。MS-140では7Vナニガシが得られて、1Ω以上のADJ抵抗の挿入が期待できますのに。KBPCシリーズの使用は手持ち理由だけなので、別途品種の選択が良さそうです。

←上から2組目の6.3V巻線電圧が低いなあ。気になる・・・。

PT実験9-1 PT実験9-1 MS-140より良好の結果。MX-205の追加入手を更に渇望します。

PT実験9-2 PT実験9-2 思いつき実験です。鉄板を置いて、その効果を実感しました。

ISOタンゴのMX-205も試しました。当然でしょうが似た結果・・・気になってた6.3Vdcの一組の低さも引き継いでて、なんかあるかな?と思いました。リプル電圧(PC-510a測定)値も“同じように”差があるのです。

2組のリプル波形です。こりゃあ・・・何でしょう。当てずっぽうでブリッジを替えてみました。

タマタマ当たって回復し、電圧も6.6V程に揃いました。そういえば疑惑のブリッジは、組み込み前のチェックしとりません。事後ですがPC-510aのDiレンジでは中身4素子ともVf≒0.53V・・・。Ωレンジでの逆極性抵抗値も「O.L.」・・・?。

腑に落ちないので20150408・整流器の順方向降下電圧テスト類似を試みまして、4素子の一つがVf≒1V・・・。他の3素子は同≒0.8Vでした。
困るぞこんなの( ゚Д゚)凸・・・実負荷与えないと発見できません。あ〜あ.....MS-140実験でもその差が出てたんですねえ。

この項最後、ウソ八百ついでの、NOGUCHI・PMC-170Mテストです。

PT実験11 PT実験11 極端な違いはありませんでした。

なお、6.3V巻線でのDC点火回路は、NGブリッジ交換後ですから、当然の如く2組揃ってます。

MS-140、MX-205でのデータはNG品含みなので、誤解無きように。

全NOGUCHI 全NOGUCHI 前作で試したPMF-10WSと組んだ、全NOGUCHI製品版実験です。極端な違いは無いから・・・スミマセン、別途開示するほどでもなかったスね。

全NOGUCHIの「PT実験8-1」風配置もやりました。OPTのサイズ・コア向きが異なるのですが、左右逆転は?・・・何かのミスかも。

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バラック実験.1-1

20150516〜 下拵え

PT実験8-3の配置に決めます。クドイのは承知で、実験的にPTとOPTのスペースにモノラル分の回路を“置いて”見たくなりました。シャーシは出来ておりませんから、+350V級の配線を安全にまとめる意図でAT-1W基板に組み込みます。

拵えながら、いつものクセで各段点検と実測をしてしまいました。まずはカソホロ段から。

カソホロ実験回路

回路図のTEST端子にはMAK-6630の入力インピーダンス(100kΩ以上と書いてある。入力容量は書いてない)に加え、接続ケーブルの180pF(PC-510a測定)も負荷されます。出力段、807ULのグリッド入力部を反映しているとは言えませんが、少なくとも入力容量はそんなにデカくないだろーと思うんですけど。

カソホロ歪み カソホロF特

上記負荷での利得は−0.63db(×0.93)でした。Nois≒0.5mV内外(500kHz・BW)で、80kHz・BWでは半減しました。歪み率測定の信号源は10Vrmsまでなので、9Vrmsまでのデータですが、充分低歪みかと存じます。でも、1Vrms以上で乖離する10kHz歪みは何だろう・・・。

高域−3db落ちは800kHz以上でした。他の按配からは無視していい数値と存じます。なお、入力側はFG-274の50Ω送りなので、現実的ではありません。初段の出力Zは○○KΩ台だろうと思うとど〜なる?。机上計算できるはずだがしてません。。

初段+カソホロ実験回路 初段+カソホロ段実験です。

←は12AX7パラの2Ib≒2mA動作時ですが、後に詳述する出力段との積極的2次歪み動作、同≒0.46mAも試しました。Ibを絞るrpの上昇を懸念しての確認です。

初段+カソホロF特 高域の劣化は初段の出力インピーダンスによるもの。約110kHz−3db落ちなので、出力段の高域特性とのスタガ比が気になります。

初段の動作点違いは、差が少なくてヨカッタ〜。

前作で試したような高gm多極管による低負荷抵抗回路の方が、幾つかの用件で有利かも知れません。しかし歪み打消しの“相性”はワカランので、既に試したことのある12AX7にしたのです。数に余裕もあるから。

初段+カソホロ歪み1 初段+カソホロ歪み2 左は初段の低歪み動作例ですが、単にキリの良いIb値にしただけ。最良値ではなかろうと思います。しかし、バイアスが浅すぎてフツーは尻込みされるだろう設定です。

右は歪み打ち消しを考慮した動作例を重ねた図。10Vrms出力時に4%(後述)にADJしたら、えらく深いバイアス(2Ibo≒0.5mA・Ek≒3V強)になりました。

2Ib=2mA動作時の利得は35.6db(60.3倍)ですが、絞ると32db(40倍)程度に低下します。最終的な負帰還量に絡みます。

二図とも500kHz・BW測定。80kHz・BWではNois≒1mV強は半減しますが、出力段も含めた無帰還時全Noisは、0.1mV未満に出来るンか?。選別するのはメンド臭いなあ。

前段管を抜いた、出力段のみの実験です。

出力段実験回路 ピンクの抵抗はケミコンの耐圧を考慮した処置です。ほぼ全実験回路ですが、細部はこの先変わるかも。

東芝の寡婦UY-807Aをサンプルにしました。Eb=100V(Ec2≒106Vだが)ゼロバイアス時のIb≒47mA・Ic2≒2.6mAで概ね良好のタマです。

UY-807使用時の8Ω負荷までの出力段利得は、−8db(0.4倍)でした。これは昔の実験でも確認しておりますが、再現されました。

Nois≒0.05mV(500kHz・BW)でした。80kHz・BW測定ではコレも半減しますが、出力端以後にそんなフィルター特性の回路は無い・・・。負帰還で改善するのみか。

もう一本、NEC・5933WA笊盛り品?も試しましたが、ゼロバイアステストでIb≒44mA・Ic2≒5.5mAでした。合計すれば似た数値ですが、按配が異なるのは興味深い。それはEbb=350V動作でも引き継いでおり、Ec1≒29Vで、Ib≒56mA・Ic2≒4.6mAでした。

バイアスが深めだからか、A≒0.35と低く、−1db以上の差があります。807と5933WAをペアにする気は無いのですが、安易に相方が得られるほど楽観は出来ないのかもしれません。なお、Noisは807A同様の0.05mV内外で、多少ホッとします。

出力段F特 前作で見た同じU-808サンプル使用時のF特では、80k〜100kHzに段差が出来た程度でした。

今回は明らかな凸凹が出まして・・・UL接続ゆえの事なのかど〜なのか。概ね60kHz−3db落ちと読みまして、初段→カソホロ段間とのスタガ比は、2弱に留まると解りました。これは微妙だ・・・。

出力段歪み コレを見て絶句・・・100Hzの低レベル歪率が、こんなに悪いとは。

そ〜いえば昔の実験では、1kHz計測一本で通してしまい、コレを見てませんでしたあああああ〜っ、――(゚Д゚; )→ グサッ!!

なお、前述の10Vrms時4%云々のドライブ電圧は、4Vrms/8Ω・・・2W時に中ります。ADJは要りますが、そんな按配でケッコウな打消しが期待できます。ちなみにMAK...の10Vrms上限出力によりフルパワーには到りません。

凸凹と100Hz歪みの乖離・・・先が思いやられます。

上の懸念2種は、OPTに絡む事柄と思われます。もう一つのU-808サンプルも試してみましょう。個体差なのか、○△□なのか・・・しかし、ますます簡潔明瞭から遠ざかってしまいますな。

U-808別サンプルF特 同じではないが“似てる”範囲の違いでした。

結果の先走りですが、高域凸凹に関する推論・プチ実験項目あります。

U-808別サンプルTHD これも同じではないが“似てる”範囲の違いでした。納得できましたが、個々の懸念が解決できたのではないのです。U-808の個性とも言える電気的特性でしょうね。ちょっと前の「着せ替えシングル」の経験から、rp<1kΩの3極管(2A3やら300B?)ですと、これらの弱点が相当緩和されると思われます。

1980年代に購入したU-808一個は、同じく「着せ替えシングル」に使ってると思い込んでますが、2000年代に収集した平田電機製U-808は製造時期(1970年代〜廃業まで)など不明です。今回試したサンプル2個を見る限り、良く揃ってると言うべきかも。

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バラック実験.1-2

AC点火実験兼出力管試験 20150520〜

全段回路実験の前に、出力管のAC点火テストをしました。隔離したヒータートランスからの通電ですが、807Aサンプルは、0.5〜0.6mVほど・・・0.9mV台を指示した事もあって目を疑いました。昔の実験ではもっと少なかった記憶・・・。

旧データを見直しますと807サンプルAはハムが大きかった事が解りました。前段の動作は異なるが807サンプル@・・・再起不能の・・・ハムは、同Aの半分ほどだったのです。あ〜あ、惜しい方を失ったんだなあ。

なお、このサンプルでのヒーターバイアス(PMC18-5Aによる・・・+18V印加までだが)効果は無く、接地時と変わりません。多分サンプル個体差が大きいだろう予感がするので、807だから云々とも決め付けられないのです。しかしサンプル全てで、Hバイアス効果を確かめるのも気が重いので、しばらくは接地状態のみでテストします。“気”が変わるかも知れませんが。そして、「笊盛り?販売」だった5933WA・NECの同様テストでは、ハムは0.5mV未満と解りホッとしました。

この勢いで「笊盛り」の残り3本(米・Sylvania製と思われる)をエージングがてら1本ずつテストを行い、そして1本がNGだと判明しました。安物買いのナントカだったと凹みながら諦めます。前作で落胆した、TEN(と称する)6V6-GTの“生存率1/6”よりもマシだと慰めながらですが。

SYL・NG球5933WAの足 NG内容は・・・通電中にIb・Ic2とも流れなくなる症状です。ヒーターの点灯状態に変化はなく、印加電圧も失っておりません。プレート端子の緩みがあり気になりますが、Ic2も失うのは解せぬ。間を置いての再試行で回復しますが、数分で再発しました。

ピン先半田付け部のルーズ・コンタクトを疑うのですが、検証する術を知りません。スクリーングリッドAか、カソードCのどちらか・・・もしかして両方?・・・。

手持ちの半田ごてで“上手く”補修が出来る気がしないので放置。

某誌の製作記事他で、タマ内部の電極→引き出し線接触の不安定さを疑う記述の、トラブル事例を拝見したことがあります。曰く「通電中に電流が途絶えた・・・云々」と。見聞きした限りでは、○華球と○欧球の事例でして、偏見を生じかねないのですが、米国・西欧・国産球では“ありえない”と断定するのも偏見・決め付けでしょう。

↑のSylvania球は、格安(1000円前後の記憶)笊盛り箱無し販売の奴でしたから、Noチェック球だろう事を承知(店主に聞きもせずに)で入手しております。安いのは“なんか理由あったンぢゃろ?”と・・・今頃邪推。

テスト風景 全球テスト 死蔵球のテストを急ぎました。AC点火ですので、ハム値はばらつきます。

昔の実験でハムが大きかった5933WAは、笊盛りの「A」球だったかいな。今回程ならDC点火で使用に耐えますな。

カソードの10Ωで生じる、0.5V内外の“バイアス”は大目に見てください。

アバウト?ゼロバイアステストは、807の3結カーブから、Eb=100V時、Ib+Ic2≒50mAを満足するかどうかで判断しました。Ebb=350V時ではIb+Ic2≒60mAを得るバイアス電圧と、その時の利得。ハムは・・・1mV未満なら“可”と見ましたが、大甘?。近年の芸風では「傍熱管でもDC点火」ですンで、許容範囲は・・・甘い。

なお、ハム以外の、多分「ブツブツ...ガサガサ...バリバリ...ドカ〜ン!...」とでも聞こえそうな(聞いてないが)Noisを出す奴もおったぞ。微妙に電流静定が揺らぐ子や、ヒーター切れの子も・・・呆れるやらプッツンしそうになるやら・・・総じて、楽しんでます。

1990年代入手の球が多く・・・苦情を言いたくてもね。これら807互換・類似球の次には3D21系統も控えてますが、そりゃ後ですな。

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バラック実験.2-1

20150525〜 全段動作の掴み

結局のところ、前レポート風になってしまいます。

全段回路実験 全段動作のバラック実験。出力管は寡婦807サンプルAです。

AC点火時のNoisは0.7mV、菊水PMCシリーズでのDC点火では0.37mVに留まり、目論み倒れ。(いずれも500kHz・BW測定)

初段2Ib≒2mA設定時の全段利得=27.4db(A・23.4倍)でした。

ずっと常駐している、807のプレート側22Ωは「念のため」程度の発振回避目的です。無くても澄むか、インダクタ導入が必要になるかは、実験を進めながら判断しましょう。

以後しばらくのデータは、菊水PMCシリーズによるDC点火です。12BH7Aの+200V電源に1N4004を置いているのは、−200V電源を先行投入するので、ケミコンに逆電圧が加わるのをバイパスするためです。昔の実験初期では知らズに数10Vの逆電圧が加わるまで気付かず、所定の電圧関係が得られない事で“やっとこさ”気付いたのですワ。幸運にも「爆発事故」は回避。

全段回路実験風景 2B33もそうですが、コントロール・グリッドBピンを前面にすると、管名・ブランドロゴが「あっち」向いちゃう。なぜかヒーターピン@D側に書いてあるのです。最終形態でのプチ悩みです。

先走りですが、UYソケットをUXに交換すれば、2A3シングルの実験が出来るのです。300Bでもいいし。

全段F特 無帰還時のF特で、U-808は2個目の“別サンプル”を使用しております。

出力段の実験回路ではTEST端子部で、1μF*33kΩ≒4.8Hzの減衰特性がありました。今回はカソホロ入力部の、0.47μF*470kΩ≒0.72Hzに置き換わり、低域特性が若干伸長しました。出力段の実力としては20Hz・−3dbってトコロでしょう。

100kHzの凸は、初段→カソホロ段間の減衰が加わっても残りました。

↓は定番3種方形波応答

100Hz 1kHz 10kHz

10kHz・負荷開放 ←は10kHzの負荷開放時です。

10kHzの一周期中に“ウネウネ”が10回見え、100kHzの凸が“いや〜な”感じを滲ませてるのかと。なお、負荷開放時に極端な変化が無さそうだったのは救いかも知れません。

一度見てしまうと、気になってしょうがない凸を、“小手先”の手管で潰せないか考えてます。後ほど・・・負帰還絡みの時点で試してみようと思います。

出力インピーダンス 無帰還時の出力インピーダンスのF特です。測定電流=0.125Aの注入法測定です。

中域で7.ンΩだから・・・rp≒4kΩちょっとかと。DF値では約1.1(8Ω)なので、6db内外の負帰還で、普通の数値にはできます。偏ってるけど、この出力インピーダンスを変えないで、負帰還が掛けられたら好いなあ・・・などと。

出力インピーダンスを下げる工夫として、OPT・2次側から出力管へのカソード負帰還がよく用いられています。どなたかが「P・K出力方式」と称しておられるのも、昔ッからあるコレだと思うのですが、ど〜かな?。

そんなイヤミを言いたいのではなくて、実はなぜかこのカソード帰還が好きになれません。PPアンプへの応用に際し、故・藤井氏が、かなり辛辣な表現で問題点を指摘されておりまして、その影響かもしれません。なお、氏はシングルアンプに対しては言及は無く、そして氏自身の採用例も無かったようで、冷淡なモンです。いや、殊更低出力インピーダンスを指向しておられないから・・・と言うことでしょう。その姿勢に感化されているだけなのかも知れません。

今回のU-808では、昔のカタログに「3段アンプのNFBとカソードNF」と称した、位相関連も示す回路例が載っております。2次@端子が出力管カソード、そして同CまたはDを接地する指示なので・・・これは厄介だ、2段増幅では・・・。初段のG1にループ帰還を戻して、反転アンプにする?。

思い出しついでですが、尊敬する武末先生の最晩年記事では、このU-808で3段アンプ+カソードNF併用の高帰還アンプを発表されておられましたな。本件と同じく2B33使用は興味深いが、随分作風が変わったもんだなあと、いささか落胆したのです。

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バラック実験.2-2

カソホロの効果確認 20150526〜

余談はさて置き、本件の主題の一つと考えるカソホロ直結回路です。武末先生からの影響が著しいので、1980年代の初期拙作と2台目から既に採用しておりました。しかし各種実験でも多用した割りに、その後の完成品には使ってませんね。何でだろ。

シングルアンプの場合、出力段を標準動作例のまま採用しますと、多くはカットオフ側の余裕が少ないのです。プラスドライブの領域が充分生かせぬまま、カットオフで出力が制限されるわけです。まあ、ン100kΩのグリッド帰路抵抗を使ったCR結合よりも、動作点移動は緩和されて、ナンボかマシになろうかとは思います。しかし、ガンガン+に振りたい場合、カットオフ側も同程度の領域拡張を必要とするので、負荷抵抗値や動作基点の変更が必須です。

本件では5kΩ負荷線上でebmin≒50Vと想像して、350V・60mAを動作基点としたので、負荷線上では正負対称の領域がございます。ラフ計算ですが全領域が生かせたなら、Pomax=9Wでして、昔の実験結果では概ね実現できたと見ています。なお、これから進めるバラック実験では、Ebb=350Vまでなので、実質Eb<340Vですからソコは目減りしますが。

などと、旧実験の頃から考えておりました。しかし、以後の実験結果でその按配を調べた限りでは・・・いささか見当外れと解りました。

低歪みドライブ まずは初段の低歪み動作ドライブ時の歪み率特性です。
TEST端子部の歪み率も、該当出力値上にプロットしてみました。

1kHzのクリッピング出力は意外にも、6.5W止まり。100Hzでは5W程から妙に「傾いたゆがみ」が見えて、クリップも早いゾ。

残留Noisは、0.5mV内外に留まりました。要改善・・・タマ選びか。

100Hz・5W 1kHz・6.125W 10kHz・6.3W

クリップ前の3周波数波形と歪み波形です。出力段の2次歪みは殆ど打ち消されず、カットオフよりもクリップ先行・・・とは思うのですが、ちと早くない?。プラスドライブの恩恵が無いのならイヤだが。

なお、100Hzの「傾いたゆがみ」は、負荷線が楕円になる事を示している・・・と、武末先生の文献で学びました。そしてそれは出力トランスの低域特性が貧弱であるとも・・・。う〜ん、U-808でもそんなンかいな。

今頃感じるのは、U-808の“美味しい”使い方は、2.5kΩ又は3.5kΩかなあと。まあ、5kΩ「でも」使えるのであって、2.5kΩ設計のOPTを、5kΩに流用してるような印象です。実態は・・・5kΩを維持する帯域はソレナリに狭く・・・ワガママ言うとキリ無いですけど。

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出力段の負荷線上の動作領域・・・“ebmin〜ebmax”が見えないモンかと考えました。DS-5102Bの演算機能で、大雑把ですが読めたようです。ついでに、コントロール・グリッド波形が、+領域に振り込んでるかどうかも。

Ch1(黄色)が807のプレート波形、Ch2(ローズ色?)が同、コントロール・グリッド波形です。画像ファイル名は「2B33s...」ですが、テストサンプルは807Aです。

6.125W・7.7% 6.85W・8.37% 7.47W・8.93%

左から、1kHzのクリップ直前 → クリップ開始 → クリップ悪化・・・の様子です。右端の状態で、G1電流は高々0.03mA・・・1mAレンジの電流計を挿入しておりましたから、誤差はあると思います。

Vmin(1) が、このHPでよく出てくる“ebmin"です。負荷線上で言うプレートの最低電圧値そのもので、3極管のゼロバイアス特性曲線のイメージなら解りやすいのですが、プラス領域やら、本件のようなUL接続、ネイティブの多極管接続動作では、作図上で見つけにくい気がしてます。

ebmin≒50Vは...プラスに振らないと得られないだろうと思っていました。見立てを誤ったというか、真っ当な計算をしてませんからねえ。

Vtop(2) がドライブ電圧の+ピーク波頭電圧値と読みます。しかし、波形振幅に対して小さな数値ですから、正確だとは思えません。まあ・・・ゼロ電位の上か下か・・・くらいの目安。+領域に入ってるけれどプレート側波形はクリップして、これぢゃA2級を名乗れませぬ。

ch1(黄色)の「Vmax(1)」は600V近くに及び、SS-0121プローブの「10:1」定格電圧に至る直前でした。チョーシに乗って超えたらど〜なっちゃうんだろう?・・・火花?焼損?昇天?・・・。

どうやら、負荷線が+領域に届いていない様子。そこで、807のUL曲線を・・・Ayumiさんの教えを拝借して描いてみようかとも考えましたが、サボります。毎度の引用で恐縮ですが、HPの「3.1 UL接続のプレート特性」を眺める程度 m(_ _)m でも、類似球・6L6-GCでのUL曲線作図例からの想像できそう。Eb=Ec2=350V時では「ebmin≒50V・ibmax≒0.12A」は、A1級動作領域内なのだろうと感じました。

5881UL 不適切かも知れぬ参考資料で恐縮ですが、TUNG-SOL社の5881です。今更・・・の感は否めない。

807ではないし、「Eg2=400V+0.43僞p」の条件違いを承知で、350V・60mAの動作基点に、5kΩの負荷線を書き足しました。バイアス電圧などは本件と合わないのは当然ですが、少なくともEc1=0V・Eb=50V付近の按配は、807ULでも“似てるだろう”と考えます。

結論:プラスに振る余地は無かったのですね。

807UL動作特性 807UL出力段の動作特性です。今回は出力も直線目盛りで描きました。しかし、各種電流電圧目盛り数値の設定には悩む・・・。

ちなみにバイアス電圧Ec1は、−26.5Vが、クリップ出力6.5Wで−27Vに。8W時には−27.7V・・・深くなるのはしゃあないが、カソホロ直結で、抑えられていると思います。

スクリーン・グリッド電流Ic2は、1.8mA → 同3.8mA → 同5.6mA。UL接続とはいえ、クリップ後の急増は免れない。

旧実験で、807の三結ではプラスドライブ状態を確認しておりました。そして・・・ソノ前のULではやってません。片手落ちの最たる例です。

後知恵ですが、カソホロのプレート側給電経路に挿入した15k+15kΩが気になってました。807ULのG1電流が大した事無いので助かってますが、もし1mA流れりゃ12BH7Aのプレート電圧は30V下がるリクツ。当然カソード電圧も低下、出力管のバイアスはもっと深くなろうモンね。

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バラック実験.2-3

2次歪み打消し 20150528〜

主題の二つ目、「歪み打ち消し」へのアプローチです。まあ、昔ッからある2次高調波歪みの打ち消しですので、全く目新しさはありません。かつての実験ではスッぽかした、100Hzや10kHzでの効果がどのくらい“置いてきぼり”を食らうかが懸案事項です。なお、6CA10では10kHzに全く効果が無かった経験をしており、今回も・・・?。

注:測定器周辺の整備(整理整頓で...)により、実験機の残留Noisは更に少ない事がわかりました。
遡ってまで調べ直しは・・・ご勘弁を・・・m(_ _:)m・・・

歪み打ち消しドライブ 歪み打ち消しドライブ時です。同じく、TEST端子部の歪み率を、該当出力値上にプロットしております。

今回は、2W/8Ω時に最小歪みとなるようにADJしました。そして、クリップ出力は8W(1kHz・10kHz)に増大。負荷線上のEbmax・Ibmin領域が拡大したことも表しています。

その為にはカットオフ側の遊び電流がある程度必要でして、+ドライブ設計で述べた「負荷線上では正負対称の領域が...」には、この歪み打ち消し動作が念頭にあったのです・・・って、後付っぽい弁明。

前述の6CA10シングルでは、10kHzが置いてきぼりでしたが、今回は100Hzが置いてきぼり・・・同じU-808でも随分変わるもんだなと、驚きを隠せません。

6CA10...は内部抵抗が低く、U-808は2kΩ使用でした。低域特性が良好なケースなのだろうと思います。代わりに、12AX7の片Unitドライブが高域特性を悪化させて、10kHz台から下降が始まってます。その按配の結果かと考えました。

まだ想像の段階ですが、今回はその逆パターンかと存じます。ならば、低rp三極出力管をカソホロ直結ドライブ・・・武末先生の十八番ですがな・・・が、イチバン歪み打ち消しに効果的?。

100Hz・2W・1.56% 1kHz・2W・0.78% 10kHz・2W・0.79%

100Hzの歪みは、打消しハズレに加えて、OPTの歪みが相当多いのではと感じます。単なる“習慣”で、0.02〜0.08W間を調べてないのですが、更に低歪みでも無さそうなのです。ここらヘンも「もしかしたらOPT?」の歪み下限に当たってる気がしてなりません。

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U-808を、後に試す別種OPTとの“比較検討”用に、各種出力レベルで再測定しました。

U-808・F特 0.00125Wのカーブ---は、タンゴ資料で示されている1次インダクタンスの最小値における、1mW条件近似かと考えたのですが・・・差異は見えなかった。

60mAdc内外では負担が軽い?。

U-808・THD 前掲の「2B33s_20150528_FEKFBE_THD.GIF」が見づらいので、TEST部カーブを省略・除去し、縦軸を3サイクルに減らした“同じ”データです。

1kHzと10kHzの差が少なく、100Hzの乖離が殊更に目立ちます。

20Hz・0.00048W・2.07% 20Hz・0.056W・1.45% 20Hz・1.03W・5.7%

0.00048W時・・・62.1mVはアナライザの測定入力範囲以下ですが、歪み率指示部表示が継続していましたので、ソレを掲げました。

それぞれ、1kH時の0.00125W・0.125W・2W・6.125Wを得る、信号源(MAK...)電圧を変えないで、20Hzを調べたのです。概ね出力は半減し、1KHzに対する相対レスポンス≒−3dbが、出力レベル違いでも維持されたとは言えます。しかし、この波形・歪み率は微妙・・・。次に掲げる「磁気飽和」と思しき歪み方と明確な違いが分からないのです。

20Hz・3W・12.2% この手の実測画像は、滅多に“お目にかかれない”ので調べてみたのです。しかし、807ULのrp≒Zp・5kΩという条件も含め考えて頂きたいと存じます。

前作で、意外に貧弱な低域 m(_ _;)m と知ったU-808ですが、見なきゃヨカッタかも。

m(_ _;)m・・・↑この件は撤回します。後に調べた「着せ替えシングルVer.1.1」の知見から「球や、1次インピーダンスの選択による」と訂正します。

3周波数の「最小歪み率」付近の出力波形です。インチキっぽいが、アナライザの80kHz・LPF入り・・・。

100Hz・0.03125W・0.38% 1kHz・0.03125W・0.064% 10kHz・0.03125W・0.031%

100Hzの歪みは、U-808の「個性」だと存じます。1kHzは・・・2次歪みを殆ど打ち消していると思う波形。しかし・・・10kHzでは、2次歪みの残留?に見えるが、なぜか更に低歪み。実は、1kHzで見える3次歪みの多くは、これもU-808由来なのかなと考えているのです。

諸先輩方々が言い伝えますところの「ハイライト・コアのU-808は・・・云々」が実感出来たかどうかは、この次の“余計な実験”結果で解り・・・ますか、ど〜だか・・・。

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バラック実験.2-4

FW-20Sテスト 20150529〜

2T81シングル用に“無理やり”入手した、平田電機タンゴのFW-20Sに置き換えてみました。之奴は“オリエント・コア”だそうです。

FW-20S・F特 中身サイズはU-808と同等か、ちと小さいかも知れないけれど、低域は16Hz・−3dbにプチ伸長し、コア材の高級化は感じ取れました。なお、高域は50kHz・−3dbにチョイ劣化。300kHz以上のキレ方は好印象。

U-808では100kHzに出てた凸が、133kHzに移動し、1kHzとの相対レベルも下がった。UL以外での(検証するならrp≒Zpが望ましいけど、どんなタマ?)F特ではど〜かな。

FW-20S・THD 100Hzの低レベル歪み率は改善されました。しかしまだ他周波数との乖離は残ってます。

打ち消しナシの生歪み、そして0.3mV以上のNoisが“あれば”周波数格差が隠蔽できる・・・

1kHzは「クッキリ」した“底”が得られ、0.03%台にまで低下しました。これは凄い。しかし、10kHzではなぜか打ち消しハズレが見えました。同じ巻線設計のはずが無いとは思いますが、なにがU-808との違いを生むのかは興味深い。しかし、解りっこ無いワな。

20Hz・0.00063W・0.8% 20Hz・0.072W・1.29% 20Hz・1.16W・5.5%

些細な違いですが各レベル共に、20Hz時の出力はプチ増加。そして低出力時の低域歪が相当改善されてます。これがコアの違いなのかどうか。巻線設計は絡む?・・・絡まない?・・・。

20Hz・2.95W・12.2% FW-20Sの、低域「磁気飽和」波形。

再び些細な違いを言えば、U-808とは歪み波形が異なりますな。しかし、五十歩百歩のレベル。

100Hz・0.03125W・0.176% 1kHz・0.03125W・0.036% 10kHz・0.03125W・0.072%

3周波数の「最小歪み率」付近の出力波形です。これもインチキっぽいが、アナライザの80kHz・LPF入り・・・。

U-808とは様変わりして、1kHzと10kHzの歪み率は逆転。しかし、その歪みの内容は・・・逆転してません。10kHzの残留2次歪みは、打消しADJでは減らせません。位相絡みとは思いつつも、「位相だけ」ADJする手法など知りませぬ。フェイズ・シフタ回路とやらで何とかできるン?。

この実験の前に、U-808とFW-20Sの2種を、2A3(45兼用も)に使用され、比較をされたHPを拝見しました。高・低域特性ともU-808に軍配が上がった結論でして、気になってました。タマ・回路・使用Zpが異なるので、この実験結果との対照はし辛い。

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バラック実験.2-5

XE-20Sテスト 20150531〜

ISO廃業前の“駆け込み”で入手したXE-20Sを試してみました。「オリエントHigh-B・カットコア構造」と称し、“マニアが喜び”そうな謳い文句の傑作?。後述しますが、3段増幅時の指定に従った、2次@端子を接地した測定データです。

XE-20S・F特 低域レスポンスはFW並み。高域は68kHz・−3dbに伸長。凸はFWに似て相変わらずですが、高域のレスポンス向上に“乗って?”1kHzとの相対レベルが接近してしまった様相。

あの凸は、UL接続共通の“個性”かと思い込んではいるものの確証はありません。別ネタで調べ直す気ではいますが・・・何時やるの?今は無理!。

300kHz以上の“キレ”が緩いけど、気にする?しない?。

XE-20S・THD 3種周波数間格差は、チョイ接近。100Hzの低レベル歪み率の改善は見えた。打ち消しナシなら3本重なるかと思います。

FW...からの定損失改善が、クリップ出力の微増、8W → 8.4W に現われた印象です。

3段回路用の位相設計なので、クリップ部位が波形の「上方」に現われて、戸惑いつつ実感。今の無帰還段階では悩まんでも済むが、負帰還を考えると・・・ど〜する?。

20Hz・0.00065W・0.43% 20Hz・0.068W・1.39% 20Hz・1.06W・6.1%

20Hz・2.82W・12.1% 低レベルの歪み率は更に改善され、他は・・・FW...同等かチョイ劣化。

←この辺りでは3種の差が出ませんな。まあ、20W級とはいえ5kΩ使用では50Hz(FW...は55Hz)までの定格なので、似たモン同士か。

100Hz・0.03125W・0.15% 1kHz・0.03125W・0.027% 10kHz・0.03125W・0.049%

3周波数の「最小歪み率」付近の出力波形です。またまたインチキっぽいが、アナライザの80kHz・LPF入り・・・。

FW...からの改善は見えた「気がする」のです。タンゴさんがオリエントHigh-B・カットコアを採用した意図が、こうした低歪み化なのかどうかは存じ上げまへンが。

菊水PMCシリーズでの電源供給は、低Nois(低ハム)化に貢献して、低レベルの歪み内容の差異が垣間見えてきた気分です。なお、大レベル・・・0.5W?以上では旧実験と大差無く、無理に肯定的解釈をすれば「再現性」が認められた・・・などと、何処ぞのエライサンが言いそうな言葉になりますな。

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バラック実験.2-6

XE-20Sおまけテスト 20150531〜

XE-20Sのオマケ実験です。U-808とFW-20Sは2段負帰還増幅回路用の設計でして、1次:2次間の位相は「指定の接続なら」同相です。しかし・・・XE...では変わってしまって、悩みます。

3段増幅が必要な、バイアスが深いタマが念頭にあったのでしょうか。まあ・・・2A3や300B辺りかな。

2次接地のお悩み 製造元ISOタンゴの指定ですと、2段増幅の時はGを接地し、@から負帰還電圧を得るのだそうです。つまり・・・G〜Kまでの任意のタップ、Zsに応じた端子の接地までは記されておりません。今の場合、8Ω負荷は・・・殊更書いてないので、5kΩ使用では@-Kに繋ぐのでしょうね。ならば・・・負荷へのラインは「浮いて」しまいます。SP鳴らすならそれで可ですが、測定器はど〜しようか。

青い蓑虫は、実験基板のアースラインに繋がってます。XE-20SのG端子を接地したら、@−K間の8Ω負荷の測定は・・・?。

悩んだ挙句、横河3201回路計ならば“浮いた”回路の測定に影響が少ないだろうと考えました。AC3Vレンジで読める範囲内のレベルに限定ですが、2次@接地の状態での「お試し」では、DS-5102やLMV-181Aと大差ありません。

2次の接地端子違いを検証してみようと、下記3種の接続で調べました。余計な事を・・・と思わんでもないけど。なお、負帰還ラインと抵抗も書き込んでますが、実機では付けてません。

XE・2次接地3種

XE・2次接地3種データ まあ、少なくとも凸あたりまでは同じと考えても良さそうです。200kHz以上で「えらい違い」があったらイヤだな。

測定器が“静電容量的”に絶縁されている必要を感じた処置ですが、根拠の元ネタは・・・これまた武末先生の文献です。DS-5102でも、2chの入力を「差動?」モードで接続する手はあるようですが、試してない・・・。

皆さん、どうされてるかを調べますと、なかなかXE...の2段増幅+負帰還で“ソコを述べた”作例が見つかりません。それに、無帰還あんぷが多いっスね。なお、作例ではなく「chiebukuro」での回答は拝見しましたが。

余談ばかりですが、武末先生晩年の”復帰後”作品、50CA10シングルでは2段増幅回路にXE...が使用され、なんと1次P-Bの逆接続で対処されてました。事前にテストされたのかどうか書かれてないのでナンですが、特性に差が無ければ選択肢の一つとして覚えておいて良さそうです。しかし・・・UL接続では・・・57%ULになっちまう?。

FW-20Sでは方形波応答波形の撮影を忘れてすっ飛ばしてしまいました。

↑の再掲はサボりまして、XE-20Sの方形波3種を掲げます。U-808に似たよ〜なモノと考えます。FW...では凸のレベルが低いので、多少ウネウネが穏やかに見えます。

XE20S・100Hz XE20S・1kHz XE20S・10kHz

途中から、OPTの・・・もっぱら低域・低レベルの歪みばかりに視線が泳いでしまいました。そしてU-808では、1kHzでもタマ・回路由来では無さそうな歪が垣間見えていた気がするのです。

タンゴ20W級OPT3種の比較が、807ULだけで済むとは思っておりません。先行きの予定を決めてしまうのもナンですが、早い内に「2A3」あたりの低rp3極管でも同様に調べてみたいな〜とは思います。今の実験機のままでネイティブのビーム管接続を「やれん」事も無いのですが、「内部抵抗を下げない」で出力管の歪みを今回のようなレベルにまで下げられるかどうか。

いっそタマと組まず、OPT単体の「歪み」を調べてみたいくらいです。しかし、任意の信号源インピーダンスが選択できて、同時に低歪み(0.01%以下)、広帯域(10Hz〜100kHz以上)、高出力(100Vrms以上・・・!?)の別途アンプは欲しいのです。歪みや帯域を満足するだけなら、探せば売ってるでしょうし、作れぬ事も無さそうです。問題は出力振幅でしょうなあ。

意味あるのか?と問われると困っちゃいますが、rp>数10kΩの多極管を想定した「OPTの歪み」を調べるなら必要かと。どれだけ高レベルの2次出力まで見たいか・・・にもよりますが、一例として、Zp=5kΩの2次8Ω1W出力レベルでは、1次P-B間に70Vrmsが必要です。rp=Zpの信号源インピーダンス条件を調べるならば140Vrms以上・・・。ま、ここで尻込みします。結局2次0.125Wまでレベルを下げても、1次・・・25Vrms・・・信号源インピーダンス<15kΩの前提でも100Vrms要る・・・てな按配なのです。

そんなわけで、絵に描いた餅でしかない。その絵をココに描いてみました。rp=1/2・Zp以下なら、実用性はありそうですけど・・・

冒頭で、武末先生のULシングルアンプについて述べました。先生のはLUXのOY-15型特注MODELですが、本件同様に100Hzや10kHzの歪が下がらずボヤいておられました。そして、UL接続特有の・・・みたいな結論でしたので、気になってました。しかし、その理由付けにまで至っておられないのです。唯一?、KT-88(T)のテストで3周波数のカーブが揃った事を実測されてます。

そういえば、先生のULシングルはコレっきりだったような。ULppは数例拝見しましたが、多極管シングルは・・・標準多結しか存じ上げません。なんで?。

ボヤキ

コアの違いを「音質」評価される(出来る)方をうらやましく思います。巻線についても「手巻きは音が良いぞ」とか、「ワニスよりセラック・ニス」だの、「ウレタン被覆は×、エナメル線だ」などなど・・・、製作作業形態やら素材・部材はカタログに載せて“差別化”したいのはワカランでもない。しかし巻線構想までは書かれませんから知りようが無い、というのが実情でしょうね。どこかに「5層以上のサンドイッチはボケる。4層までだ。」「分布容量過多の奴は、定位が決まらんぞ。」「1次は5000T以上巻かンと低音が出ん。」みたいな事仰る御仁は・・・居られますか?。

入手が困難なタンゴ製品ばかり構ってて、不毛だな〜・・・と思わンでもない。そんな事考えてたら「タンゴトランス」ちゅうのを見つけました。母体?は「株式会社 ウェーバック オーディオ ラボ」とのことで、・・・・ああ、あの「管球王国」でよく紹介されてる会社ですね。

告知後のHP経緯は見守っておりました。順調に事業が立ち上がってる・・・ように感じますが、高い。おっと、これ以上は書けませぬ。

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道草にも程があるッ・・・とは重々解っていても、こらえ性がないので、気が向いた方に目がイってしまい・・・手も出てしまいます。

実は、U-808の処遇に関わるのですが、前作の宿題・・・が残ってました。U-808が、再び必要なのです。本件を一旦“棚上げ”して、先に宿題を片付けたくなりました。勝手ばかりで・・・m(_ _)m・・・

I'll Be Back。


バラック実験.3

20150618〜

死蔵球テストの続きから。未確認球データを埋めました。

全球テスト2 2本のUY-807Aは、望外の「良」判定で嬉しい。Toshiba表記だから、案外「若い」タマかも。完成品の“お初”に使いたくなりました。

350Aは、禁断のEb≒Ec2≒350Vに“損失”上は耐えてくれそうです。43%ULですと、Ec2max≒460Vに至るかもしれないので、ソレを憂慮してます。ちなみに807Aは耐えてくれたのでしょう。

WE球のHハムにはガッカリ。ハムの大きい350A(1.2mVの)を、菊水PMC18-5Aで点火しますと0.06mVに。DC点火必須と考えますが、1.6AdcにMS-140の2.6A巻線では・・・無理っぽい。でも“自己責任”で“事故覚悟”してます。なお、たった2本では決め付け出来ませんが、807類似の・・・印象が無くなったゾ。

5933WA UY-807A WE-350A

死蔵球の通電・ハムテスト中3種。杞憂かもしれませんが、エージングの「真似事」を兼ねてます。今のところ省略する勇気が無い・・・。

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不手際の一つですが、350AもDC点火したいので、当然MS-140からの漏洩磁束も強勢になると思われます。2.6A巻線の電流負担確認もかねて“やり直し”します。

KBPC604(4A定格)は止めて、D6SB60L(6A定格)から試すも尋常ではない発熱。さもあらン、事前実験で1.6Adcを流した1素子のVf≒0.81〜0.82V。整流動作ではどんな熱損失計算になるかワカランのですが、4素子全部で3〜4Wは食ってる気がしました。

DC1.6A実験回路 DC1.6A実験画像 1.6AのDC点火に伴うブリッジダイオードの「発熱」に手を焼く醜態・・・、807系の比ではありません。

350AをDC点火する限りは(1mV内外のハムでAC点火を強行する気はありません)シャーシ内蔵は危険と判断。仮決めレイアウト設計に影響しかねない事態です。

急遽手配したSBDブリッジと称するD15XBN20(15A定格)に交換したのです。1.6Adc時Vf≒0.66〜0.67Vにチョイ低下でしたから・・・4素子合計の熱損失は1Wくらい減ったモノと思います。触ってもそんな気がしますが、シャーシ内蔵はとても・・・。なお、左端にチラ見えしてるのが、6.3V1.6A相当のダミーロード、4Ω50Wが2組組み込まれてます。これも熱い。

なお、2.6A巻線からのAC電流値はギリギリですが2.5Arms未満と見ました。単純な掛け算の是非はあるでしょうが、ほぼ全負荷の19Wに近い熱損失です。350Aの約10W分を差し引いても、9Wをブリッジや直列ADJ抵抗が食ってます。それが2ch・・・内蔵は無理だわ、ど〜考えても。

MX-205が買えたら替える?つもりでしたが、6.3V2A巻線では350AのDC点火が無理ですな。初期の目論みは取り下げましょ。

350A実験中 ハムが大きい方の350Aで出力段のみの実験中。

菊水PMCシリーズで”A・B・C?”全電源を供給して、8Ω負荷に0.06Vrms内外のNoisを得ます。その状態で左のMS-140を、まだ7.5V巻線×2のみDC点火+擬似負荷を稼動させますと、独特の凸凹波形風ハムが加わり0.08mVのNois・・・。だらしなく捩った白ケーブルが誘導ハムを撒き散らしてる印象もあります。

その前に+32V内外のHバイアスを加えたAC点火実験を行い、1.1→1.07mVrmsの改善?・・・コリャ効果無しと見ました。

2B33や5933WAのHバイアス実験はしてませんが、効果か見込めるかどうかは“タマ次第”の印象です。クドイでしょうけど、ハムが出る子も使うつもりでDC点火を選んでます。ハムが出ない事が解りきってるならAC点火しますよ。

また余談(ボヤキ)ですが、バイアス電源に使ってた菊水PMC250-0.25Aが、100mVrms内外のランダムノイズを出しゃァがる故障。波形のプリントアウトを添付して、然るべき代理店に修理依頼しました。よって、カソホロ段を動作させる実験はしばらくお預けです。直前の実験は同PMC160-0.4Aに置き換えて行いました。

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「2B33/5933WA ULシングル(2)」に続きます。なお、冒頭での「簡潔明瞭」の誓いは既に破綻してるので、どこぞの党首みたいに「総合的に判断」して「丁寧な説明に努める」と改めましょう。妙チキリンな“たとえ話”にすりかえる手もあるなあ。


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