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Artist

ARSENIO RODRIGUEZ Y SU CONJUNTO

Title

CLASICAS DE UN SONERO



Japanese Title 国内未発売
Date 1952
Label SEECO SCCD9352(US)
CD Release 1998
Rating ★★★★☆
Availability ◆◆◆


Review

 以前、シーコから出ていた12インチLPをそのままCD化したため収録時間は28分と極端に短いが、内容は濃い。ボレーロとソンが交互に配置された全10曲構成で、ピアノがやや弱い気がするが、アルセニオをはじめ、レネー・スクール、カンディード・アントマッテイらヴォーカル陣はファンキー度抜群で、キューバ時代とくらべても遜色ない。

 ヴォーカルを除いてパーソナルはまったく載ってないくせして、各曲の録音年月日だけははっきりしている。それによれば、52年ニューヨーク録音とあり、アルセニオのニューヨーク移住を53年とする従来の説はどうやら誤りようだ。本盤でもっとも旧い録音は52年4月9日とあり、これがわたしの知るかぎり、ニューヨーク移住後最初の録音であり、かたや最後のキューバ録音は、TUMBAO TCD-043の51年10月25日であることからして、アルセニオは51年末から52年春までに祖国をはなれた公算が大きいのではないだろうか。

 もうひとつ、キューバ時代とのちがいは、アルセニオがアンプリファイド・トレスを使用していること。トレスがこころなしかいつもより抑え気味に感じるのは、まだエレキを扱いなれていなかったためか。

 また、自作曲中心のアルバム構成が一般的だったアルセニオにしてはめずらしく、ここでは全10曲中6曲をイスラエル・ロドリゲスなる人物が作曲したことになっている。このイスラエルとはいったい何者なのか?
 アルセニオはニューヨーク移住にさいして、いとこでヴォーカルのレネー・スクール、ベースのラサーロ・プリエート(53年に帰国後、“チョコラーテ”・アルフォンソらのコンフント・モデーロに加入)、それに弟のキケとカエサルが同行したという。イスラエルとは、じつは“キケ”の愛称で親しまれるイスラエル・モイセス・トラヴィエーソ(と読むのか?)のこと。(ちなみにアルセニオの本名は、イグナシオ・アルセニオ・トラヴィエーソ・スクールというらしい。)眼の見えないアルセニオに代わって、歌詞か譜面を書きとったのがキケで、実際はアルセニオの作品というのが真相ではないか。


(9.9.01)



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by Tatsushi Tsukahara