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Artist

CONJUNTO MODELO

Title

GUAGUANCO EN LA HABANA



Japanese Title 国内未発売
Date 1953-1954
Label TUMBAO TCD-059(CH)
CD Release 1995
Rating ★★★★★
Availability ◆◆◆


Review

 アルセニオ・ロドリゲスが後事を託したのはチャポティーンだったが、これと前後してアルセニオ楽団出身のトゥンバドーラ(コンガ)奏者、フェリックス・“チョコラーテ”・アルフォンソが、トレス奏者、ニーニョ・リベーラと結成したのがコンフント・モデーロである。

 メンバーには、53年にニューヨークから帰国したベーシストのラサーロ・プリエート、ボンゴ奏者のアントニン・“パパ・キラ”・スアーレスなど元アルセニオ楽団の出身者や、のちにチャポティーン楽団に参加する(チャポティーン楽団からモデーロに移籍したとする従来の説とは反対に、モデーロ解散後、チャポティーン楽団に加わったのだと思う)コンラッド・セペーロ(vo)、セシリオ・セルビア・サンチェス(tp)、ウンベルト・“チーチョ”・フレスネーダ(g)らが名をつらねており、まさしくもうひとつのアルセニオ直系のタレント集団である。

 ところが、ソンからダンソーンまでなんでも器用にこなせたニーニョ・リベーラは、各方面から引っぱりだこで、とてもモデーロの活動に専念できないことを理由にまもなく脱退。リベーラに代わってチャポティーン楽団にいたラモーン・シスネロスがトレス・プレイヤーとして加入する。

 本盤は、リベーラ脱退後、ニューヨークでノロ・モラーレスら、多くのミュージシャンと共演してきた経験を買われて、新たなリーダーにラサーロ・プリエートが抜擢された直後の53年から54年にかけての録音である。リード・ヴォーカルは、なんとチャポティーン生涯のパ−トナーであった名ソネーロ、ミゲリート・クニー! クニーはモデーロの正式メンバーではなく、ゲスト・ヴォーカリストの扱いだったろうが、ここでも男らしさのなかにもどこか愛嬌を感じさせるすばらしいノドで、サウンドを黒くファンキーに染め抜いている。

 バックもチョコラーテとパパ・キラのパーカッションを中心に、ソン・モントゥーノ、グァグァンコー、ボレーロなど、アルセニオ直系の濃厚でズシリと重い粘り腰のサウンドを展開。アルセニオ楽団のピアニストだったリリー・マルティネス・グリニャン(一時期モデーロに参加していたという話もある)が書いたメレンゲ'HITER LA VER' のみが唯一の例外として、ちょっと聴いたぐらいではアルセニオ楽団の演奏と勘ちがいしてしまうぐらいによく似ている。ファンキーなソン・モントゥーノやグァグァンコーも最高だが、スローなボレーロでのキューバ的センティメントの表現は本当にすばらしい。ホレボレとしてしまう。

 わたしは50年代前半のチャポティーン楽団のサウンドを知らないが、アルセニオっぽさの点では、こちらのほうがダンゼン上。サウンド・クオリティの面では、チャポティーン楽団に勝るとも劣らない実力があったにもかかわらず、マネージメントのまずさから57年に惜しくも解散してしまった。フェリックス・“チョコラーテ”は、このあとエストレージャス・デ・チョコラーテを結成する。知られざる名盤!


(12.10.01)



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by Tatsushi Tsukahara