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Artist | ||||||||||||||||
ARSENIO RODRIGUEZ Y SU CONJUNTO |
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Title | ||||||||||||||||
SABROSO Y CALIENTE |
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Review |
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アルセニオの音源のなかではもっとも入手しやすく、入門盤として最適の1枚。アルセニオのフル・アルバムとしては、おそらく世界初CD化されたのがアンティージャ原盤からの復刻であるこのPヴァイン盤で、わたし自身、このアルバムではじめてアルセニオの音楽に本格的にふれた。ずっとあとになって、ようやくアメリカ盤がリイシューされたが、どちらもオリジナルとは曲順がちがっている!ともにオリジナルには未収録の'EL HOMENAJE ESTA HABLAND BIEN'を加えた全12曲構成。Pヴァイン盤はすでに廃盤だが、アメリカ盤のほうは店頭でよく見かける。 本盤は、チャポティーンやコルティーホなどのアルバムとともに「カリブ海 秘宝の黄金コレクション(ルーツ・オブ・サルサ)」として発売された。まだサルサがかろうじて影響力を持ちえた時代のなんとも恥ずかしいネーミングだ。このシリーズのバック・カバーを飾るのが熱烈なラテン音楽ファンで知られる河村要助氏のイラスト。日本にラテン音楽を広めるのにひと役買った氏の功績を認めないわけにはいかないが、その強烈すぎる個性がはからずも音楽のイメージをひどく限定してしまったように思う。八木康夫氏によるザッパ同様、氏のイラストのなかにわたしはラテン音楽の古い対し方を見てしまうのだ。 それは好みの問題だからしょうがないとしても、許せないのはバック・カバーにクレジットされた収録曲に、曲のスタイルはおろか作者名さえ記されていないこと。しかも曲順のナンバーが重複しているやら、'HAY FUEGO EN EL 23'の'23'の表記が抜け落ちているやらで、ずさんなことこの上ない。イラストを載せるぐらいなら、こっちのほうをちゃんとやっとけといいたい。ちなみにアメリカ盤には作者名が付いています。 とまあ、のっけから発売元への文句になってしまったが、肝心の音楽の出来はというとアルセニオらしい男っぽい迫力にあふれた好盤である。なかでも'MAMI ME GUSTO'はアルセニオの代表作のひとつに数えられるソン・モントゥーノの名曲で、アダルベルト・アルバーレスなどのミュージシャンによってカヴァーされている。この曲とリリー・マルティネス作のソン・モントゥーノ'HAY FUEGO EN EL 23'は、アルセニオの黒っぽくドスの効いたトレス・ソロがすばらしく、本盤のハイライトといえよう。 ところで、本盤の録音年ははっきりしないため、ライナーを書いた中村とうよう氏にしたがって50年代後半としたが、キューバ革命(1959年)直後に流行したパチャンガのリズムからの影響が見え隠れすることから60年代初頭の録音とするのが正解だろう。また、曲によっては、それまでのアルセニオの音楽にはあまり記憶がないフルート、グィロ、ティンバーレスが使われているのもパチャンガ・ブームの影響と思われる。(パチャンガはもとはオルケスタ・アラゴーンのようなフルート、ヴァイオリン、リズム・セクションからなるチャランガ編成のグループによって演奏されるのがふつうだった。) このように優雅なパチャンガとのQUINDEMBO(融合)を試みても、根底にあるのはアーシーでぎっしりとコクの詰まったアルセニオならではのソン・モントゥーノだ。アルセニオのアンプをとおしたトレスを中心に歌も演奏もワイルドで強烈。ただ、全盛期のキューバ時代の演奏と比較すると、ワイルドさが粗っぽさに感じられないではない。アルバム"QUINDEMBO"とともに、アルセニオのなかでは感覚がもっともロックに近い1枚といえるかもしれない。 |
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(9.10.01) |
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