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Artist

LA SONORA MATANCERA

Title

SE FORMO LA RUMBATELA



Japanese Title 国内未発売
Date 1948-1950
Label TUMBAO TCD-045(CH)
CD Release 1994
Rating ★★★★
Availability ◆◆◆


Review

 世界一イキの長いバンドはといえば、2001年に結成77周年(喜寿)をむかえたラ・ソノーラ・マタンセーラである。1924年の正式発足時のメンバーだったロヘリオ・マルティネスは90歳(卒寿)になるいまも現役だ。もう一人の生え抜きメンバー、カルロス・マニュエル・ディアス・“カイート”はついこのあいだまでは現存していたのは知っているが、2001年の現在はどうだか定かではない。

 何度かのメンバー・チェンジを経たのち、ラ・ソノーラが自分たちのサウンドを確立したのは、1935年、若手のトランペッターで作曲も手がけていたカリスト・ライセアが加入してからといわれている。42年には、セステート・ナシオナールで歌っていたビエンベニード・グランダが加入。さらに2年後、アルセニオ・ロドリゲスのコンフントからトランペットのペドロ・ナイト(のちにセリア・クルースと結婚する)とピアノのリノ・フリーアスの2名が加入。こうして、ラ・ソノーラ・マタンセーラ黄金期のラインナップが出揃うことになる。

 本盤は、セリーア・クルースが加入する直前の、かれらが輝きを増しはじめた1948年から50年にかけての絶頂期の録音である。ラ・ソノーラがかくも長きにわたり存続していることの秘訣は、時流に逆らわない無節操ともとれる軽さのおかげだ。プエルト・リコ、ドミニカ、メキシコ、コロンビアなど、ラテン諸国の曲はいうに及ばす、ロシア民謡やロックンロールにもチャレンジしてしまうという守備範囲の広さ。

 本盤にも、そんなかれらの軽さがいかんなく発揮されている。ライセアが書いたヒット曲'SE FORMO LA RUMBANTELA'といったオリジナル曲から、かれらの対極にあると思えるようなアルセニオ・ロドリゲスやチャノ・ポソの曲、またプエルト・リコのペドロ・フローレスやダニエル・サントスの曲もとりあげた玉石混淆の内容。しかも、スゴイのは、どんなにアクのつよい曲もラ・ソノーラ流のポップで軽快な曲調に仕立ててしまっていることだ。
 メイン・ヴォーカルを任せられたビエンベニードは、灰田勝彦を思わせるさわやかな澄みきった声の持ち主で、ラ・ソノーラの健康的なイメージにぴったり。あとは、バンドにきらきらした彩りを添える若き歌姫セリア・クルースの登場を待つのみだ。


(10.4.01)



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by Tatsushi Tsukahara