812Aシングル

1982妄想開始


目次

812と812A
基礎実験 1982年6月〜
コレクター時代 1990頃〜
妄想から実態へ 1998〜
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はじめに

タマアンプ道楽に嵌りますと、どうも知り得た管種の「分類、整理、考察」を大概の方はされるかと推測します。自身そうでしたし、その中で妄想までしていました。「801Aと211の間を埋めるタマが無いかなあ・・・」と。ありていに言えば「300B相当」規模の送信管の存在を熱望していたのです。

石政氏TZ40

数年後、無線と実験誌の1982年2月号「TZ40シングルアンプ/石政勉・中川洋氏」の投稿を読んで、その妄想が具体性を帯びてきました。氏が紹介されたTZ40(Taylor)は、801Aや211などの比較的内部抵抗が「低い」グループではなく、「高μ・高rp」のB級管ですが、規模だけ見れば「300B相当」の送信管だと感じました。

この時点では入手の手段(情報)など無く、「別のタマ」探しに進みました。

3行空けのために・・・こげなことを


812と812A

 1982年4月〜

RCA・812A規格 RCA・812A特性曲線 名古屋市文化会館図書館でRCAチューブマニュアル?を閲覧し、811Aや812A、後に絡んでくる813や8005もここで知りました。

今はWEB上で見つけることができるようになりました。
便利な時代ではあります。

3行空けのために・・・こげなことを

初期に収集したモノ。811Aの存在も知った上でこれらを求めたのは、単にrpが低いからだけなのです。先に掲げた「801Aと211の間を埋める」タマとしてはrpが若干高いのは承知しておりました。単純にEb≒1000V、Ib≒40mA、RL>10kΩ、などでマイナスグリッド領域に動作基点を置く構想でした。

812(RCA) 812は残念ながらフィラメント半断線NG品。“A”無しの先行品種と思しき珍品?で、後付っぽいヒダヒダ放熱翼が無い。MJ誌広告通販で入手。

NG球の薀蓄など無意味でしょうが、ごく最近になってデータシートを拝見(発見?)。AF用途でのCCS規格として、Pp=40Wを知りました。

812A(RCA)04 812Aは、秋葉の小沢電気商会にて「事前情報無し、アポ無し、飛び込み」入手。後の首都圏勤務時代には、秋葉巡礼の時の“準”巡回店となりました。

その後、同じく石政・中川氏の811Aシングル(無実・1983/7)を始め、各種ポジティブグリッド管の試作例が多々見られるようになりました。残念ながら812Aの使用例は(インターネット時代到来まで)全く見かけません。いや、これは返って「812Aお初」の名誉を得る余地が残されている・・・などと、イヤらしい妄想までしたものでした。

そして後年、妄想のまま・・・ドナタかに先越されちゃいました。

3行空けのために・・・こげなことを

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基礎実験

1982年6月〜

当時既に「10Y」や「VT-62」は買ったが死蔵。従って、送信管を構うのは初めてです。ハードルの高いタマと知りつつ、かつ1000V動作の確認をしようというのです。安全性の確保と、適切な「電源装置」を準備せねばなりません。

812Aメモ1 写真がないので、回路図だけ。

1000V対応のB電源はSEL・SD-150Fだったんですねえ。コレと違ってました。A電源は、平田電機タンゴ時代の汎用PT・6W10だったはずですが、残ってない・・・何処に行った?。

DC点火の平滑容量は、最終22000μFx2程度にまで増量した記憶。メモに書き残してませんなあ・・・。

812Aメモ2 メモ1とは回路が異なりますが、ブースターアンプ登場。現用冶具です。

この実験のために、TANGO(平田電機時代)U-808を、1個だけ新調。

812Aメモ3 812Aメモ4 カソホロユニット登場、現用冶具ですが電源部が違います。

データも残してます。

3行空けのために・・・こげなことを

812A実験1982 動作条件は、Eb≒1000V、Ec1≒−16.7V、Ib≒40mA、RL=30Ω(Zp=20kΩ相当!)。
前段込のNoisは約0.7mVですが、ほとんどフィラメント・ハムだった記憶です。

かなり突っ込んだ測定をしてる風でも、G1入力電圧を調べておりません。なんちゅう片手落ちでしょうか。A1級範囲の出力は5Wほどと思われ、大雑把ですが12Vrmsの入力電圧でしょう。正規の20kΩ:8ΩのOPTならば、G1からの利得はおよそ−6dbかと推定します。プラス領域ではリニアな動作から逸脱するのでしょうが、約20W出力時のドライブ電圧は30Vrms未満だっただろう・・・と楽観します。

カソードフォロワ直結の威力なのか、812Aの能力なのか・・・その両方かと信じたいのですが、オシロ目視のクリップ(実際はカットオフ側)で10W以上得られました。1W時に1%未満なのも、良好な部類かと存じます。ただし、G1入力波形歪を見ておりませんね。歪の打ち消しは十分少ないと信じてはおりますが、片手落ちPart2です。

Ib値ではなく、Ikを測定(抵抗両端電圧換算)してます。高電圧部への計器接続を恐れたからだと記憶しておりますが、Ig値との合計を見ているわけです。てえ事は、Ibの変化は極めて少ないのでしょう。タマの直線性は良好と感じます非常識な高RL値の賜物です。

なお、U-808の「極端」な変則使用なので、周波数特性も見ておりません。片手落ちPart3です。

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コレクター時代

1990頃〜

以後、関連する進展はありませんでした。ただ、首都圏勤務時代になってからは、秋葉巡礼が習慣になってしまい、タマ集めの悪癖が始まりました。困ったモンです。なお、入手当時に行った通電テスト記録も見つかったので併記しました。そこそこ根性あったのね。

RCA・8005_1 RCA・8005_2 RCA・8005_3 ST-19バルブながら、211Aにも匹敵しそうな規模のタマ。見つかるとは思いませんでした。

8005(RFT) RFTブランド・・・って、フランス?。これは秋葉ではない店で購入。

ゼロバイアス通電テスト記録あり。サンプル(1)球に、600V時のIb=106mA。他のは400Vまでしか調べてなかったが、いずれも60mA超えで良好と思われる。

8005(RCA) おお、これが本家のタマか。秋葉のキョードーにて入手。

MJにてシングル作例発表あり。ただし、その号未購入。「赤熱し易い」対策の付属回路が入っていた記憶。入手した球も赤熱(Pin≒50W)したが、させとけば?。

ゼロバイアス通電テスト記録あり。サンプル(1)球に、600V時のIb=94mA。もう一本は400Vまでしか調べてなかったが、52/58mAだったと・・・↑より少ないが気にしててもはぢまらぬ。

812A(SVETLANA) 812Aのバリエーション。当時のRussia現行管・・・今は?・・・。

・・・見てない・・・

812A(CHINA) 812Aは、中華にもあったのね。

ゼロバイアス通電テスト記録あり。サンプル(?)球に、600V時のIb=64mA。もう一本は400Vまでしか調べてなかったが、いずれも36〜37mAで良好と思われる。

HY51B(HYTRON) HY51B情報 一時期、秋葉某店にHYTRON球が大量に出てました。その中の一種で、812Aや8005類似と見たタマ。後に簡易測定し、その中間的特性を確認。

店頭にはHY-51A/B、両方ありましたが、フィラメント定格が10V2.25Aの「B」を選びました。Ifは少ない方が楽な気がするのです。

之奴はカーボン陽極。1997年のゼロバイアス通電テスト記録あり、600VでIb≒70/77mA。

VT4C(GE) これは・・・コレクションではなく「借り物」。

本件の「比較サンプル球」として30年来?借りっぱなし。しかし、未だ試していない不義理をしてる。

最初に入手したRCA・812Aは、全部ではないが600V時ゼロバイアス通電テスト記録あり、58〜68mA。400V時の全球テストでは、34〜48mAなどとバラつきを見る。なお、一般的なバイアスを与えた想定動作点のIb値テストをしてませんね。上手く言えないが、ゼロバイアス時の方が「エミ減」発見の目安になると考えていたのでしょう。今でも変りませんが、バイアス印加テストをしてないのは・・・手抜きでした。

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妄想から実態へ

1998〜

812Aトランス特注前実験 トランス特注前?の実験かと思われるメモ発掘。

SV572-10をサンプルに、各種DC点火方法を模索。AC電流値は、「横河小型携帯用電流計2053(可動鉄片型)Class1.5」で測定。平滑コンデンサー前の抵抗挿入で、AC電流値が抑制出来ることを実感。ただし無駄も増える。

後年「SW電源が楽だげな」と知るも、お仕事で「SW電源の故障は嫌い」体験がトラウマに。以後、未だに使う気が起きませぬ。

812A特注依頼トランスメモ 平田電機タンゴ11789 今は無きヒノ・オーディオを通してました。それまで小物パーツぐらいしか買わなかったのに、メンドーなお願いを普通に引き受けていただいたんです。

工事中 特注トランスでの「実験」を始めようと、シャーシーを加工した・・・のですが、中断。以後放置ネタとなりまして。

UV211A(東芝) 帰郷後当地ショップで発見!。***を質入れして(ウソです)入手。コレクター症候群は続いてたのね。

通電テスト画像・・・なんだけど、その結果記録が見つからない。NG球ではなかった”記憶”だけはあるッ。

3行空けのために・・・こげなことを

ホッタラカシが続く・・・

812Aの“3定数違い”管の811A相当と思われる国産「JRC・2T81」を入手・・・困ったモンだ。
本件との絡みを考えてしまうが、Eb≒1000Vのシングル作例を知らない。

JRC・2T81実験 帰郷後アキバW通商WEBサイトで発見。買う。試す。

冒頭で掲げた石政勉・中川洋両氏による811A記事以後、作例は多いが・・・Eb<500V使用ばっかし。左記2T81の実験もソコから始めましたら、1000V級動作の可能性を探るのが億劫になりました。

代替管種には混ぜないで、別物を拵えましょう。出費は嵩むが・・・。

3行空けのために・・・こげなことを

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