■御衣黄と鬱金 (2003.4.24)
■アマナの不思議 (2003.4.24)
■スミレの不思議 (2003.1.11)

植物雑感                     猷々自的

フジバカマは何者

 フジバカマは、不思議な植物である。秋の七草の一つだが、名前が広く知られているわりには、 どんな花かを知る人は少ない、と多くの本に書いてある。

 図鑑などによると、関東以西の川の土手などで、まれに見られるという。 したがって、野生は少なく、レッドデータ(絶滅危惧種)に登録されている。私も野生を見たことがない。

 ところが、このフジバカマは園芸店で、安い値段で売っている。ある本を見ていたら、「もともとは奈良時代 以前に薬草として渡来したらしい」と出ていた。

 ということは、もともと栽培種だったのが、エスケープして、一部で野生化した可能性がある。 すると、野生がほとんどなくても、おかしくないわけである。

 そんなことを思いながら、野草観察をしていたら灯台下暗しであった。なんと、家から50メートルも 離れていない畑の一角で、フジバカマが群生して咲いていた。

 その後、家から自転車で15〜20分ほど離れた田園地帯を走っていたら、農家の庭先や畑の片隅で、 咲いているのを見た。家の近くと同じように群生していた。

 これまで、私がフジバカマを見たことがなかったのは、単に関心が薄く、注意していなかっただけではないか。 本も図鑑も一本を孫引きしているのでは…。そう思えてきた。

 私はフジバカマを園芸店で買ってきて庭に植えた。まだ短期間で即断できないが、栽培は容易なようだ。 これを絶滅危惧種とするのは変なような気がする。(2002年12月15日作成)


©2002−2004 Yuusuke Niinomi