フジバカマは、不思議な植物である。秋の七草の一つだが、名前が広く知られているわりには、
どんな花かを知る人は少ない、と多くの本に書いてある。
図鑑などによると、関東以西の川の土手などで、まれに見られるという。
したがって、野生は少なく、レッドデータ(絶滅危惧種)に登録されている。私も野生を見たことがない。
ところが、このフジバカマは園芸店で、安い値段で売っている。ある本を見ていたら、「もともとは奈良時代
以前に薬草として渡来したらしい」と出ていた。
ということは、もともと栽培種だったのが、エスケープして、一部で野生化した可能性がある。
すると、野生がほとんどなくても、おかしくないわけである。
そんなことを思いながら、野草観察をしていたら灯台下暗しであった。なんと、家から50メートルも
離れていない畑の一角で、フジバカマが群生して咲いていた。
その後、家から自転車で15〜20分ほど離れた田園地帯を走っていたら、農家の庭先や畑の片隅で、
咲いているのを見た。家の近くと同じように群生していた。
これまで、私がフジバカマを見たことがなかったのは、単に関心が薄く、注意していなかっただけではないか。
本も図鑑も一本を孫引きしているのでは…。そう思えてきた。
私はフジバカマを園芸店で買ってきて庭に植えた。まだ短期間で即断できないが、栽培は容易なようだ。
これを絶滅危惧種とするのは変なような気がする。(2002年12月15日作成)