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Artist

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Title

DISCOTHEQUE 74


discoteque74
Japanese Title

ディスコテーク74

Date 1974
Label SYLLART/MELODIE 38211-2 (FR) / メタカンパニー XM-0279(JP)
CD Release 2000
Rating ★★★★☆
Availability ◆◆◆


Review

 オーソドックスなギニアン・ルンバからロックまで、ヴァリエーションの豊かさではシリーズ屈指の本盤は、"DISCOTHEQUE70""DISCOTHEQUE73"とならぶ充実作。全7曲中、バラとバラダンの1曲を除いて、ホロヤ・バンドカマイェンヌ・ソファなど、新しい世代のバンド4組の演奏がしめる。

 その新世代の代表といえるのがカマイェンヌ・ソファ。ロック、ファンク、リンガラ音楽などを完璧に消化して、それまでのギニアン・ポップにはなかったスピーディでシャープなサウンドを完成させた。アルバム冒頭の8分30秒におよぶ 'KONOMIN' では、若々しい張りといきおいのあるヴォーカル、複雑なビートを刻む切れ味鋭いドラミング、アル・クーパーばりのブルージーなハモンド・オルガン、ファズをたっぷりと効かせたギターと、のっけからものすごいテンションで飛ばしてみせる。爽快。'MANIBALY' は、一転してミディアム・テンポの美しい曲でかれらの代表作に数えられる。メロディといい、甘酸っぱいギターのフレーズといいノスタルジックな情景が思い浮かんでくる名曲。

 シュペール・ボワロ・バンドは、カマイェンヌとは対照的に'SIDIBA' でより伝統的な方向へむかっているようにみえながら、ギターとパーカッションの使い方が斬新だなと思っていたら案の定。アルバムのラストを飾る'SI SI SA' で、もろフェラ・クティのアフロビートを展開。こんなファンキーなぶっといサウンドを展開されたときにゃ、セク・ジャバテ調の優美なスティール・ギターなんか出る幕ないわな。

 カルーム・スターは、カマイェンヌ・ソファをさらに過激にしたような迫力満点のギニアン・ロック。'MALIBA' では、ど迫力のパーカッションにファンクっぽいフリー・ジャズばりのアルト・サックスが過激にからんでくる。残念ながら、かれらの演奏はわずか3分21秒のこの1曲のみ。もっと聴きたかった。

 本盤最長9分におよぶホロヤ・バンドの 'SASILON' は、上の3組とくらべるとオーソドックスなスタイルではあるがかなり聴かせる。なによりもキューバの名ソネーロ、ミゲリート・クニーに似た感じのハスキー気味のヴォーカルがすばらしい。ホーン・セクションのバランスもよく、ディストーションのかかったソリッドでのびやかなギター・ソロも悪くない。力強いストレートなトランペット・ソロもかなりの腕前。そのゴツゴツした骨太の演奏は最後までだれるところがなく、知るかぎり、かれらのベスト・プレイだと思う。

 若手のパワーに引きずられてかどうか、あるいは地なのか、ベテラン・バンド、バラとバラダンの 'ANCIEN COMBATTANT' は、なんとも不思議な音楽だ。曲の感じはオーセンティックなギニアン・ルンバ・スタイルなのだが、ホーン・セクションのアンサンブルに哀愁味があって東欧あたりのブラス・バンドを思わせるところがある。途中はさまれるふくよかなアルト・サックス・ソロにいたっては、篠田昌己かといいたくなるようなクレツマー・フィーリング。かれらがそのあたりの音楽を聴いていたとは考えにくく、ともにイスラム系音楽の影響を受けているところからくる偶然の一致なのかもしれない。

 思うに、本盤のよさは、ギニアを代表するバンド、ベンベヤ・ジャズがはじめてはずれたことで、若手グループの新鮮でノビノビした演奏が際立つ結果になったことから来ている。ベンベヤ・ジャズという存在はあまりに偉大すぎたということだろう。
 ちなみに、ジャケットのなんでもない写真はどうやらシリフォン・レコードの正面玄関のようだ。この発想にはついてけんよな〜。


(6.1.03)



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by Tatsushi Tsukahara