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Artist

CONJUNTO MATAMOROS

Title

BAILARE TU SON


tcd020
Japanese Title 国内未発売
Date 1948-1952
Label TUMBAO TCD-070(EP)
CD Release 1995
Rating ★★★★★
Availability ◆◆◆


Review

 1948年から52年にかけて、ハバナでレコーディングされたコンフント・スタイルの集大成といえる好盤。

 1940年代は、アルセニオ・ロドリゲスラ・ソノーラ・マタンセーラなどのコンフント・スタイルのバンドが流行したこともあって、ミゲールとクエトのギターを基本とした従来の演奏スタイルから、ピアノ、ベース、ボンゴのリズム・セクションに2本のトランペットとクラリネットを加えた、よりビートを強調したスタイルをとるようになった。ヴォーカルも、ミゲールとシロのほかに、50年代の再編セプテート・ナシオナールでメイン・ヴォーカルをとったカルロス・エンバーレ、それにリゴベルト・ディアス、ミゲールの妻マリポーサがかわるがわる担当している。

 また、音楽もソンとボレーロを中心とした構成から、グァラーチャやソン・モントゥーノなど、アップ・テンポでノリのいい曲調を多くとり入れた構成に変わっている。なかには、当時、最新流行だったマンボのリズムをとり入れたボレーロ・マンボなる新スタイルを披露した曲も収録。'APURENDE''COCO SECO'でのコーラスとトランペットのコール・アンド・レスポンスなんかはまるでアルセニオ。新しいものはドンドン吸収するが、どこを切っても結局はマタモロス・サウンドになってしまっているところが、クリエーターとしてのミゲールの非凡なところ。

 黒っぽいエンバーレやディアスの熱唱も捨てがたいが、個人的には、ミゲールと妻のマリポーサがときに熱く、ときに寄り添うようにデュエットした4曲を特出したい。マリア・テレーサ・ベラとのデュエット「黒い涙」では違和感ばかりがきわだったが、ここではふたりの呼吸がピッタリ合っていて、さすが夫婦と思わせる。

 ちなみに、地味で目立たないクラリネットを演奏しているのは、なんと!ロス・コンパドレスのオリジナル・メンバーにして、近年「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」で俄然脚光を浴びるようになった大ベテランのトレス・プレイヤー、“コンパイ・セグンド”こと、フランシスコ・レピラード。

 この録音の直後に、ミゲールは自己のコンフントを解消し、再び元のトリオに戻るが、それはアルセニオがキューバからニューヨークへ移住した年でもある。コンフントの時代は終わりを告げ、代わってペレス・プラードに代表されるオルケスタ主体のド派手なマンボが全盛をむかえる。さすがのミゲールもこの流れには付いていけないと感じたにちがいない。その意味で、トリオ回帰は必然だったような気がする。


(8.31.01)



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by Tatsushi Tsukahara