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Artist

CONJUNTO COLONIAL DE NELO SOSA

Title

ARRIMATE CARINITO



Japanese Title 国内未発売
Date 1946-1953
Label TUMBAO TCD-047(CH)
CD Release 1994
Rating ★★★★☆
Availability ◆◆◆


Review

 はじめはさほどおもしろいとは思わなかったが、何度も聞き返すうちにはまってしまった1枚。コンフント・コロニアルは、ギタリストのセネン・スアーレス、歌手のネロ・ソーサらによって、1946年にハバナで結成された。グループには第1期と第2期があり、スアーレスがイニシアティブをとった第1期コロニアルは1年程度の短命に終わった。本盤の後半3曲は第1期の録音。コロンビアのリズムであるポロを早くもとりあげていることを除けば、陽気なグァラーチャを得意とする40年代の典型的なコンフントの演奏というぐらいの印象しかない。

 スアーレスは、その後、ニコ・サキートやエルネスト・グレネ(有名な作曲家エリセオの兄弟)のグループでプレイするようになったため、ソーサは、スアーレスの了解を得て、48年に、メンバーを一新して第2期コロニアルを結成した。1950年から53年にかけて、ハバナでレコーディングされたこれら15曲は、いずれもコロニアルならではの陽気でさわやかな個性がよく出た好演ぞろい。なによりもソーサの少年のようにさわやかで、しかもファンキーさを兼ね備えた歌声がすばらしい。

 カウベルが叩き出す2拍子系の快活なビートにのせて歌われるアップ・テンポのグァラーチャやソン・モントゥーノは、60年ごろに流行したパチャンガのリズムを先取りしたかのようだ。ソン・モントゥーノ'TREMENDO CUMBAN' では、アルセニオ一派のような土臭さはいっさいないが、キューバらしい濃厚な味わいがぎっしり詰まったすばらしい歌と演奏。ボレーロにあっては、むせび泣くような哀感はなくとも、ドン・ファンの甘い愛のささやきがある。

 第2期のメンバーは不動であったが、唯一ピアニストのみはたびたび交替している。本盤には、マンボの創始者の説もある名手ペドロ・“ペルチーン”・フスティスや、後年、メキシコでベニー・モレーの伴奏を指揮したエルネスト・ドゥアルテほか、4名のピアニストが名を列ねているが、なかでもすばらしいプレイを披露しているのは、8曲に参加しているペペ・デルガドである。かれのよくツボを心得たピアノを聴くためだけに、このアルバムを買っても惜しくはないくらい。

 ドゥアルテは、作編曲家としても知られ、かれの手になるソン・モントゥーノ'DONDE ESTABAS TU' は、本盤のハイライトといっていい。「ドンデ」(英語で'where'の意味らしいがそんなことどうでもよろしい)というマヌケな語感を醸し出すコーラスの繰り返しと、その合間を縫うようにすり抜けていくソーサの華麗にしてスマートな歌い口とのコントラストがすばらしく、1度聴いたら忘れない抜群のインパクト。ちなみに、ベニー・モレーもドゥアルテの楽団をバックにこの曲(本当は“きみはどこへ行ったの”という意味です)を歌っているが、本盤ほどのマヌケさはない。もうひとつ、モレーの代表的レパートリーに数えられる'COMO FUE' もドゥアルテの作品でした。これら2曲は、"BENY MORE / GRANDES EXITOS DEL BARBARO DEL RITMO" (MUSICAL PRODUCTIONS MPPK5-6344) で聴くことができるので是非!


(02.5.1)



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by Tatsushi Tsukahara