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Artist

ARSENIO RODRIGUEZ

Title

EL SENTIMIENTO DE ARSENIO



Japanese Title エル・センティミエント・デ・アルセニオ
Date 1946-1950
Label Pヴァイン PCD-1402(JP)
CD Release 1990
Rating ★★★★★
Availability


Review

 わたしをキューバ音楽のとりこにした思い入れの深いアルバム。同時期の音源を多数収録した2枚のトゥンバオ盤(TCD-031/TCD-043)の発売によって、価値も半減してしまったが、トゥンバオ盤に未収録の曲が1曲だけあった。49年に録音されたボレーロ'SAGRADO AMOR'がそれ。もちろん悪いはずがない。

 この最強メンバーについてすこしふれておこう。ジャケットのメンバー写真を見てほしい。トゥンバオ盤の解説によれば、この写真はおそらく1949年に撮影されたとのこと。(トランペットのアルフレッド・“チョコラーテ”が早い時期に脱退したことを根拠に46年の説もあり。)
 後列左から、カルメーロ・アルバーレス(tp)、アルフレッド・“チョコラーテ”・アルメンテス(tp)、レネー・スクール(vo)、アルセニオ・ロドリゲス(tres)、アントニン・“パパ・キラ”・スアーレス(bongo)、フェリックス・チャポティーン(tp)、カルロス・ラミーレス(g,vo)、前列左から、フェリックス・“チョコラーテ”・アルフォンソ(conga)、ラサーロ・プリエート(b)、ルイス・“リリー”・マルティネス・グリニャン(p)。

 このなかでもっとも知られているのは、チャポティーンだろう。かれは、アルセニオ渡米後、コンフントを引き継ぎ、アルセニオ楽団出身のヴォーカリスト、ミゲリート・クニーとの名コンビで、その後20年以上も第一線で活躍しつづけた。
 コンガのフェリックス・“チョコラーテ”・アルフォンソは、アルセニオ楽団のメンバーだったプリエート、“パパ・キラ”らを誘ってチャポティーンの楽団を脱退(最近は、チャポティーン楽団には入る以前にすでにアルセニオ楽団を脱退していたのではないかと思っている)、トレスの名手ニーニョ・リベーラらとともにコンフント・モデーロを結成する。のちのエストレージャス・デ・チョコラーテの前身である。

 さらに、この時期のアルセニオ・サウンドに決定的な影響力をもったのが、ピアノのリリー・マルティネス。作・編曲能力にも秀でていたリリーは、アルセニオのメイン・アレンジャーをつとめ、またアルセニオ楽団の代表曲にも数えられる'NO ME LLORES MAS'の作曲者でもある。のちにチャポティーンのコンフントやエストレージャス・デ・チョコラーテでも活躍した。
 もうひとりの“チョコラーテ”、アルフレッド・アルメンテスは、名門セプテート・アバネーロ出身。'ME BOTE DE GUANO'は、アルメンテス作ということになっているが、実際はアルセニオの作品で、その印税でアルメンテスのバンド・ユニフォームを調達したとのこと。アルセニオ楽団脱退後、ベニー・モレーの楽団でプレイしたあと、ニューヨークへ渡り、マチートのアフロ・キューバンズで活躍した。渡米後のアルセニオのアルバムにも何枚か参加している。

 本盤が発売された1990年という年は、ワールド・ミュージック・ブームが頂点に達した年である。カリブ世界の新しい音楽がつぎつぎと紹介されるなかで、社会主義国のキューバのみポツンと取り残されていた。そんなブームをあざ笑うかのように、ラテン音楽の本家による本物のスゴミを知らしめてくれたのがこのCDであった。


(9.12.01)



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by Tatsushi Tsukahara