実験機・基礎段階

20140304〜


目次

アウトライン 20160204〜
初期実験 20140313〜
専用電源 20140319〜
実験本番・標準PP 20140405〜


はじめに

黒田氏の「新...」では、6CA10のシミュレーション、12BH7Aの実験、そして最終的にEL34を素材にしたシミュレーションで終了しております。

コジツケかもしれませんが、武末数馬先生の「高性能シリーズ」もEL34だったので、PPの歪みは少ないタマとの先入観を持ってます。先生の「...シリーズ」の刷り込みは強く、他を探す理由も希薄です。コレでやりましょう。


アウトライン

20160204〜

習い性になった「標準プッシュプル」から。Mullardのデーターシートを引用したのは、ラ技全書のPhilips曲線が胡散臭いから・・・諸説ございますが。

EL34(T)Mullard MS250の2次:AC155V倍電圧で予想されるEbb≒400Vから、定電圧電源回路の制御素子負担分を≒25〜30Vと見込み、Eb≒370Vを予定します。元ネタでのシミュレートより若干低Ebですが、その分Iboを増してA級動作寄りに出来る・・・と弁明します。

ラフ計算ではPomax≒17W、2Ibo≒120mA、Ec1≒−27〜28Vと見ました。

EL34(TELEFUNKEN) 実験サンプル。1980年代入手の「販売店選別」バルク品。近隣のベテラン氏鑑定では
「東欧製・・・かも知れんが」との弁。

黒田式新バイアス基本回路 回路・・・とは言っても、教科書的標準PP。カソード部分の回路バリエーションなのです。これを445冶具でドライブする予定。

ゆくゆくは「タマ」ドライブが望ましいが、今は「数値性能」重視のスタンスから始めます。意図の“偏り”は承知。

3行空けのために・・・こげなことを

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初期実験

20140313〜

まずは「すぐ出来るトコロ」から。この段階で「基礎的」データが得られれば、電源の整備へと進む予定です。得られなかったら?・・・困る。

黒田実験1 例によって「板上」アンプ。

OPTはISOタンゴ・U-405から。板にネジ止めできるから「だけ」の理由で。MS250はEL34x2の
ヒーター点火にのみ使用し、B電源は古くからの外部実験電源

黒田式新バイアス実験4回路 最初は「非安定化電源」約400Vの自己バイアス。バイアス電圧は予想値に近い。告白すれば、このバイアス電圧分を安定化電源負担にあてがう意図とも言える。

実験1〜3は、各管独立RkのCk無し、Ck付き、共通RkのCk付きなどの回り道実験で、習い性かも。

黒田式新バイアス実験4特性 う〜ん、ほぼ最強?のOPA445でも「−29V」に近いバイアスでは振り切れん様子。基礎データとしてはいささか不適格・・・とはいえ、10W超まで得られれば「本来の意図」は掴めると独り決めします。

このデータはMAK-6630オーディオアナライザの「フィルタ無し」測定です。同じくフィルタ無しでのNoisは0.1mV内外ですので、タマのコンディションは良好と感じます。ただし、100Hz・HPFで数値低下が見られますし、Nois波形にも「多分」60Hzの成分も残留しているようです。改善テーマ@として捕らえます。

1kHzと他周波数との乖離が見られました。これが実験意図でもあります。ただし、回路で「抜けて」いるようにDCバランスがADJできません。タマタマかサンプル球FGの僮b≒1mAなので、強行したわけですが、改善テーマAです。

共通Rkのバイパスで「標準PP」。バイパス無しでは「準・差動増幅PP」。そして共通RKにC+トリマVRを並列すると「黒田式新バイアス風」と見なせます。先行した実験の追試で、3者の違いが「際立っては」いないが、ソレらしい差は再現します。実験の“掴み”の意図としては充分と考えました。

3種データ合体画像の意図は・・・詮索しないでね。

実は、この段階で既に、FX-40-5、HWC-30-5、OY-15-5と、差し替えて見ております。結構OPTによる違いがありそうだと感じましたが、電源他の周辺設備、特に「雑音性能」を改善した上で、各種データーを掲げたいと考えます。

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専用電源

20140319〜

初期実験と、ほぼ並行して進めております。改善テーマ@のため、傍熱管でもDC点火が望ましいと経験しましたので、躊躇はしません。

MS250アップ 黒田実験専用電源1 専用電源部のフォルム。またまた危ない事やってますので、真似されたら困ります・・・・。

話は逸れますが『真空管&オーディオ「なんでもあり掲示板」』でPTネジの絶縁処理の話題がございましたね。あそこまで深く考えた事が無く、トランスメーカー指定の「仕様・使用上の注意点」程度に思っておりました。

その理屈は・・・複数ネジ接地(短絡)で生まれる電気的ループが「漏洩磁束」を受けて、シャーシにハムの源になる電位差(電気Nois)が生じる・・・と、なにかの記述を読んだ記憶なのですが、その元ネタが思い出せないのです。

掲示板の展開では、コア内部の磁束に絡む・・・とのお話が興味深い。確かにネジの「場所」によっては起こりうる事象とだと理解しました。その実態を検証する気にはなれませんが、中古PTを使用する際などには、注意する必要を感じます。

余談はさて置き、電源回路を掲げます。

黒田式新バイアス実験専用電源回路1 B電源は前作に習い“ぺるけさん”の回路を真似た簡易安定化電源に、お試しの「遅延回路」を加えてみました。これは“るいも”さんの「真空管の部屋(出力段の設計) http://www.ruimo.com/tube/output.html」からアイデアをお借りして、アレンジしたモノです。

習い性の「カット&トライ」で数値を探りましたが、約3kΩの擬似負荷時の電圧起動波形を。

黒田実験専用電源1 空きスペースは、増設するかも知れない「カソホロ直結」用の−200V電源分。更に・・・ネタばらしすれば、Cascompアンプ用±ンV電源も加えたい。加えたいが・・・泥縄式進め方なので納まるかどうかは確かめてませんな。

ちなみにツェナD全ては基板裏。これでも結構コンパクトに詰め込んだ、つ・も・り・・・つもりッ。

注:電灯線AC電圧の「急な上昇」時に、遅延回路の誤動作が予想されます。スライダックでの「過激な」電圧上昇、50Vac→100Vacなどで完全に出力電圧は失われます。手動での「微妙な塩梅」探りはしておりませんから「大丈夫」との保証はできませんが、拙宅でのACライン変動の影響は起きておりません。要観察ってえトコロです。なお、負荷電流の変化試験はしまして、120mA→30mAでは10Vほどの低下を確認しました。

ぼやき:エヌエフ社のプログラマブル交流電源・ECシリーズなどですと、更に「定量的」検証が可能かなあ〜・・・とも思いますが、高くて買えん。「静寂」なAC100V電源用途以外にもイロイロ使い道はありそうで、中古の出現を待ってる。

黒田式新バイアス実験専用電源 完成後には自身、久々に「感電」しました。DC・・・300Vチョイのところで。

電源制御MOS-FET、DC点火ブリッジなどは下パネルに放熱。パネル温度は人肌程度。DC点火の0.2Ω直列抵抗は長時間触れるギリギリかも。

実験アンプ回路負荷時の電圧起動波形です。固定負荷抵抗とは異なるカーブは、出力管のカットオフ→活性領域への移行の為と考えます。立ち上がり「途中」で遅延回路が中途半端な状態を経由した印象・・・。

3行空けのために・・・こげなことを

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実験本番・標準PP

20140405〜

初期実験で試した中では“有望株”のLUX・OY-15-5。商品の“歴史”は知らぬがOPTサンプルのなかでは最も古い個体(中古)です。

黒田式新バイアス実験6 新設のVRは、COSMOS・RA25YB50Ω。この段階では「0Ω」、標準PPです。写真右下のトリマは、改善テーマAの「各管独立ADJ」です。DCバランスというより個別バイアスADJですね、いささか感触が「粗い」ようでした。

黒田式新バイアス実験回路6 入力部のLPFは・・・445治具からの高域ノイズ抑制の、つ・も・り、つもりッ!。

実験5(未開示)で気になった、オーディオアナライザ・MAK-6630のモニター出力波形に混じる「高域ノイズ・・・発振かも知れぬ」が、フィルタ無し測定値を不安定にしている気がしたため、新設。波形や指示値は落ち着いたので、効いてると思います。

DCバランスで「100Hz」の最小歪みを探った結果、若干上下Ib値の差が発生。固定バイアスなので、Ibmaxはナチュラルに増加します。A級に近い“浅い”AB1級PPの感触です。

黒田式新バイアス実験6 固定バイアス標準PP(くどいッ)の歪み率特性。100Hzの数値、特に低レベルではDCバランスに敏感。0.02W(0.4Vrms・8Ω)でADJしました。

3周波数は、案外揃ってますが、これは標準PPの「生の」歪みがそのまんま計測されたものと感じます。「無策」の3極(3結)管標準PPでは「波頭が尖る歪」を生じますが、前段回路で「波頭が抑圧」される歪を生じれば、打ち消しが行われます。実際のその塩梅は様々でしょうから、積極的な効果を得るのは簡単ではなさそうです。

MAK-6630の80kHz・LPF入りでは、1kHz時0.02W(0.4Vrms・8Ω)で0.00ン%台に低下。100Hzと10kHzは0.01%台が「底」でした。

念のため、EL34の第1グリッド入力波形歪を確認してみましたが、出力段からの歪に対して十分低歪(グラフ右下)でドライブされているようです。ただ、10kHzの数値は・・・これから調べる予定の「黒田式新バイアスPP」に対しては、無視できないかも。

本件の主題ではありませんが、Ebb≒370VのPPとしては、いささかパワーが少ない印象です。クリップは・・・どうやら11Wほどで、先の見込みを相当下回ります。12.5W(10Vrms・8Ω)まで測定しておりますが、既に波頭が潰れております。入力(約21Vrms)波形歪みも同時に悪化しており、治具の実力がギリギリ・・・あるいは力不足なのかも知れません。この件はしばらく脇に「置いといて」、一段落したら「持ってくる」心づもりです。

標準PPの歪み波形(1kHz)です。

0.125W・0.02% 0.5W・0.07% 2W・0.27% 8W・0.9%

2波の振幅比はアナライザのAUTOレンジ任せの結果ですので、考えないで下さい。気にしているのは、位相関係です。3極(3結)管標準PPならではの「波頭を尖らせる」歪みです。黒田氏が解析された「微分利得曲線の湾曲」を示すものと考えますが、案外小出力・・・A級PP動作範囲内でも存在する事が解ります。

0.5W・0.064% 左は実験4の、「共通カソード抵抗自己バイアス・バイパスコンデンサー無し」で撮影した波形。オシロのレンジ違いは“チョンボ”ですが、2波の位相関係に注目してください。

注:出力トランスは異なりますが、その差異ではありません。

バイパスの無い共通RK自己バイアスや、「差動出力段」での3次高調波歪み波形の位相は反転し、「波頭を抑圧する」実態を過去の実験(50BM8、50R-P28、6BQ5、)でも体験しております。

なお、ULや標準多結では様相が異なると思いますが、6BQ5・UL標準PPのみの体験では「ほんの少し抑圧型」の歪み位相だった記憶です。多分・・・管種・動作条件ごとに、塩梅は相当異なるのでは・・・と想像します。

さて、バイパスの無い共通カソード抵抗を「適当」に加減して、標準PPと差動PPの中間?に置く・・・だけとは言えませんが、「黒田式新バイアス回路」の詳細へと進みます。

またまた余談です。標準PPの歪み波形の形容で“痩せた”と称される記述を読みます。まあ、事実そうなのですが、本HPでは“波頭が尖った”と書いております。動作上の実態は同じ事なのですが、好みで書いているだけです。なお「語感」と「聴感」は別物と考えております。

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