8417・ULプッシュプル

20180119〜


目次

構想
出力段の実験 20180222〜
電源部の実験 20180331〜
前段の実験 201807xx〜
全回路の実験
製作
測定
試聴
番外実験、低負荷動作


はじめに

昨年からなぜか挙動不審の“目移り”が過ぎます。よってこの間「完了品」無しが続き、自業自得ながら忸怩たる思いでございます。本件も目移りネタそのものですが、ナントカ完了まで漕ぎ付けたいと思うのです。

6GB8併記のGE8417 終活?を進めてる・・・と伺った近隣の先輩I氏から「整理しすぎて、ネタ(タマ)が無い。余ってるもの無い?」てな打診で思い出した、多数死蔵の8417。10本お譲りしてもまだタップリあるので・・・てな思い付きネタです。

偏った芸風を極力封印して、昔ッからある回路のアンプが「昔の音」なのかどうか聴いてみたい。が・・・昔の音を知らないモグリですから、意気込みだけの「作った、鳴った」式アンプ。

そして・・・昔ッからある設計の何たるかを垣間見ようか・・・などと、水増し実験の誘惑にかられます。またクドくなる?

↑は「6GB8」名もリプリント/併記されたGE8417・・・困ったモンだが、知ってて画像を晒すワシも困ったニンゲンか。

↑の「6GB8」名もリプリント/併記されたGE8417・・・をはじめ、GE球の幾つかで困ったことが・・・。おっと、これは後に。


構想

市場では枯渇した風ですが、実は沢山死蔵してる8417(GE)活用ネタ。これに、集めちゃったが計画変更で宙ぶらりんのタンゴトランスを宛がう贅沢さ。出来上がりはフツーのPPアンプだ。

回路プラン1 流行らなくなったけど、廃れてもいないPK分割回路。ただし手持ち6AN8だけでお茶を濁す“芸風封じ”その@

8417と、ISOタンゴ・FX-40-5の組み合わせは“フツー”だし、凝ってる訳でもない。ネイティブのビーム管接続に食指が動くけど、Ec2とEc1を「安定化」したくなるから・・・UL接続でお茶を濁す“芸風封じ”そのA

ISO/タンゴ・MX-205で得られる、400V内外の非安定化電源でお茶を濁す“芸風封じ”そのB。出力管のDC点火も危ないから出来ない。

6AN8とUL出力段・・・こりゃあダイナコだ。ってんで周辺数値もソコから拾う手抜き。FX-40-5はアンバランスに敏感でしょうからADJは要る。

以上で、フツーのアンプが出来上がります。6AN8は2本しかないけど、ど〜する?・・・。市場では枯渇気味で、新規調達に苦労しそう。

20180129記:個人的話で恐縮だが、近隣の先輩I氏に聞くと「あるよ」と・・・東芝球を2本譲っていただきました。4本になったからGoするか。

回路プラン2 MT9P二本案。初段は若干持ってる6267、PK分割はこれは潤沢な12BH7Aに。やや大げさだが無茶ではない。利得は減るが、負帰還が減るだけの事。

ソケットを2個付けといて、6AN8一本の時はダミー管挿して取り繕うことを考えます。抜いてもカマワンが「なにコレ?」と聞かれぬために。

6267は意外に低gm球。6AN8(P)並みの利得が期待出来そうに無いので、Ck付き・・・くらいの変更は要るでしょ。

20180129記:個人的話で恐縮だが、先に述べた幸運にて↑案は不要に。

森川氏作例 8417自体の作例が乏しく、森川忠勇氏の3件・・・1件はコンデンサSP用の際物?・・・しか存じ上げません。

MJ1986/8月号の記事がUL+CNF出力段のステレオアンプ。RLpp=5KΩ・Ebb≧460VでPomax≒45W/両chを得てますから、本件では30W出てくれるかどーかって感じですな。

Ayumiさんの教えに従ってUL特性曲線を描く・・・根気がありません。ebmin≒100Vと中りを付けりゃ、Po≒36Wでしょうが、そんなに出るかな?。

←本文文字は読めないだろう画像サイズに。ご理解の程を・・・。

データシート・特性曲線から“だけ”の想像ですが、ビーム管の割に肩特性がホニャララ。ロードライン上の「ebmin」は案外高い印象です。しかし電流特性は優れているので、低負荷向きだと思います。RLpp=5kΩでは活かされません。

我田引水・取って付けた屁理屈ですが、FX-40-5の2次ズラシ2.5kΩpp使用に可能性をを感じます。その際ibmaxは増大し、2IbmaxはOPT及びPT定格を超えるでしょうから要注意。ある意味「低負荷ドライブ能力」を誇る“半導体アンプ”類似の性能だゾって・・・OPTのZp選定ミスを言い繕う。

ラ技SP1995 ラ技SP1995のダイナコV関連記事。
しばしば注目に値する記事をお書きになる寄稿家なので、スクラップブック化しております。

回路各部の実測?電圧値、ほかのデータも(粗いけど)信頼する。トランス以外は別物にされてますが、高帰還アンプに関する技術的蘊蓄が嬉しい。

ダイナコVのトランスありき...で書かれてるし、そもそも作者のスタンスが後者↓と違いますから・・・比べぬように。

MJ2006_2 MJ2006/2のダイナコV関連記事。
ほとんど注目してない寄稿家ですが、この号を処分せンでヨカッタとは思ふm(_ _)m...

回路各部の実測?電圧値は信頼する。ほかのデータは・・・以下ホニャララ。次号のタンゴOPTでの実験機でも原機近似の定数で組んでて20db負帰還で・・・以下ホニャララ。

市販パーツでダイナコVに似たものは出来るよ・・・的記事。上手く高域10kHz歪み率も解離加減が再現?されて・・・それでいいのさ、かな。

なんだかダイナコ研究になりつつあるけど、本意では無い。でも無視し辛くなってきたのは確かです。

8417で検索多数のQuicksilver社のは、ざんぐりとした( 大まかで風雅な趣のあるさま・・・コトバンク>大辞林 第三版)造りに、“楽器アンプ”みたいな(怒られるか?)印象を受けます。実物見た事も、ましてや使って聴いたこともないのに・・・。

8417検索で、やっと見つかった「DYNACO Mark-VIの仕様 ダイナコ - オーディオの足跡 ...」(http://www.audio-heritage.jp/DYNACO-SCANDYNA/amp/mark-vi.html)では、なんとな〜くMarantz・#9を意識したよ〜な造りを感じました。でも「DYNACO Mark-VI」で検索しましたら、7199(6AN8類似球?)一本の前段構成と知り、ココは同社の拘りなのか・・・潔いことで。ま、それだけのハナシですが。

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出力段の実験

20180222〜

ハードルを下げたので、楽に出来上がるはずなんですが・・・FX-40-5とのUL出力段は、どんな周波数特性なのかを調べておかないと不安。ダイナコV近似数値でも負帰還安定性は大丈夫?。

この項後半で、由々しき事態に遭遇。本件の進展に暗雲が・・・いや、モチベーションを著しく萎えさせられる憂き目に。憤懣やるかたない気分が文面に出ちゃってますが、ご容赦の程を・・・m(_ _;)m

出力段実験画像 電源は「黒田式新バイアス...」をプチ改造。平田電機タンゴのMS-250は主巻線の155Vに、6.3V2AのH巻線×2が“足せる”仕様なのです。これで整流電圧≒450Vを期待できます。Vzと一部コンデンサの耐圧Up等変更は要るけど、DC400V200mA超級の「安定化電源製品」持ってないから、解体/部品の流用せずほったらかしでヨカッた。OPT右で写ってないが・・・。

電圧起動の遅延回路入り↑ですが、改造に合わせて再点検しましたら20s強。なお本番機は非安定化電源なので、別の再確認が必須。

なおタマのヒーターは、これも内蔵してる整流平滑電源(非安定)ではなく、菊水PMC18-5Aで点火しました。画像では点けてるンですが・・・ゲッタに隠れて見えんぞ。

習い性の↑AT-1W基板に、前段まで盛り込めそう。このスタイルのまま本番機に使う気はありませんが、別件妄想が疼き・・・。

出力段実験回路1 「黒田式新バイアス...」近似の実験ですが、UL接続。8417のサンプルは冒頭に掲げた6GB8名併記のGE球ではなく、「US8P出力管PP実験機」で試したRCA球。GE球他のペア組選別は先送り・・・

無信号時の各部電圧、1kHz測定での入出力信号レベル、同ON/OFF法で診た出力インピーダンス、500kBW測定でのNoise値を回路図に併記して、別表作成をさぼります。

ダイナコVでは、2Ibo≒140mAも流してます。Pin+G2in>30Wですな。8417とてコリャ可哀そうだしMX-205も余裕が乏しくなるので、2Ibo≒100mAにケチりましょう。

10μFの結合コンデンサで、ここをfc≒0.16Hzに隔離しましたが、100V耐圧の今だけ実験です。充放電時間が長く、前述の遅延時間でも不安はありました。冶具側への波及も心配しましたが、結果オーライで・・・。

バイアスは浅く、6550/KT-88辺りの半分。平衡入力電圧に対する出力段の利得≒−4.54db(A≒0.59)は嬉しいが、負帰還量過剰の恐れも。キリの良い16Vrms/8Ω=32W出力ではクリップせず、定格出力30Wを名乗れて嬉しい。出力インピーダンスは12Ω程で、出力管の2rp≒7.5kΩと思われます。手作り電源ですが、安定化してリプルもソレナリに除去した割に・・・Noiseは多め。しかし、冶具出力側を接地すると概ね0.03mVrmsに減るので、高めの出力段利得が冶具側Noiseを通過させてる気がします。

以後所々で、プッシュプルの「上下」呼称を使用します。回路図上の位置関係そのものですので、ソレ以外の意味合いは・・・無いつもり。
いや、若干あるかな。上手く書けんが・・・。

RLpp=5kΩ時F特 出力管の2rp≒Zpでは無いが、0.00125W時のF特はFX-40-5の添付表カーブに近似。低域はソレナリに伸びてるが、高レベルでは・・・これもソレナリに狭くなります。

ダイナコVの段間時定数TL1は“0.22μF×100kΩ≒7Hz”ですが、この実験結果からはレベルに応じてソレを跨ぐような按配と読みます。ダイナコ並み20db負帰還やったらどうなるでしょうか。

高レベルでは、高域帯域端でIb増加(の恐怖感)やら冶具能力制限で測定範囲が狭まるのは毎度の事・・・

FX-40-5+8417ULの4Hz/−3db(1W)は、案外スグレモノに思えるものの・・・実は波形が結構痩せてます。「40Hz(45W)」のスペックから逆算すればFX-40-5の定格容量に近い周波数とも思えるし、そもそも4Hz時のインダクタンスなど開示されておりません。クリップ前の32W時では32Hzから歪みが見え始めますが・・・振幅はほぼ維持(≒−0.2db)します。−3db点を無理やり探すと14〜15Hz辺りなのですが、もう目も当てられない腰砕け波形です。磁気飽和が始まると途端に思考停止にもなるぞ。

構想で述べた是枝氏の記事によりますと、ダイナコVOPT+KT-88のUL出力段は、8Hz/−3db(1W)の低域特性だそうです。そして、段間時定数とのスタガ比不足にも言及され・・・結論は「これでイイのだ(馬鹿凡のパパ?)」と。その根拠というのかど〜なのか、技術的な瑕疵と認めたうえで“不完全さ”を許容したようなのです。ただし各種出力レベルでの低域凸(特性グラフあり)と、その際に出力段で起きただろう様々な振る舞い(データ無しだが)も調べた上でお決めになってるのでは、と想像します。

構想で述べた渡辺氏の記事には、ダイナコVOPT「PT-0136A」の“単体実測”と述べられたF特グラフが掲げられてます。ただし10Hz以下のデータ無し、測定レベル、信号源インピーダンスなどの諸条件提示も・・・ホニャララ。加えて“単体実測”と称する60W/1kHzや、定番三周波数の方形波(4W)も載ってまして・・・ホニャララ。OPTは5kΩppと思われますから、60W時にはP-P間≒550Vrmsの振幅があるのです。1次片側当たり300Vrms以上を送り込める機材が「正負合わせて2機」要ると思うんですが、どんな信号源をお使いになっておられるのやらほにゃらら・・・。

失礼しました。醜い揚げ足取りをしてしまいました・・・m(_ _)m・・・

高域はおおむね素直。200kHz付近に何かありそうですが、まあいいや。でも6AN8のPK分割を決めちゃった按配と、折り合いつくかどうか。ダイナコVの負帰還は20dbだそうですが、意味無く同様を目指したい。具体的には、ダイナコVで見られるクロスオーバー帰還やら、初段P⇔+B間の微小容量挿入を同じ数値でサボる?。

ダイナコVオリジナルOPTの高域遮断周波数は、冒頭で掲げた記事では50〜60kHzほどと両氏の数値が、まあ一致してます。FX-40-5では100kHz近くまで伸びておりますから、高域補償を緩められそうな期待をしちゃうってモンです。

RLpp=5kΩ時THD 本件の基準動作条件、RLpp=5kΩ/2Ibo≒100mA時のデータです。ACバランスのADJポイントは8Vrms/8Ω=8Wで行いました。

静止時のDCバランスは“信頼できるスジ”の店らしく、ピッタシ合ってます。しかしACバランス↑はなぜか異なり、上下入力は6.4/6Vrms(1kHz)の差が御座いました。PK分割では困るゾ。

それにしても著しい3周波数の格差は、ど〜したものか。「黒田式新バイアス...」や、昨年の50HB26実験でも垣間見たFX-40-5の“癖”は健在です。特に100Hzについてはど〜しよ〜も無いと諦めつつありますが、10kHzには若干の策が御座います。

この後、2Ibo≒120mAを試みまして、1kHz/8W時で0.3%未満に減ることを確認しました。タマにはその余裕ありますが、PT負担も重くなる・・・悩ましいところです。

RLpp=5kΩ時THD(10kHz策あり) 下側8417のRk=10Ωに0.22//0.22μFを抱かせた特性。この策は武末先生が昔やってます。

目に見える10kHzカーブの改善。1kHzにも若干あります。100Hzにも見えるプチ改善は・・・別の理由・・・Ibo増のお遊び後、戻した時のDCバランスADJが当たった?のかも。前掲データは詰めが甘かった?。

10kHzカーブの0.02W未満はNoiseに埋もれます。1kHz・100Hzは埋もれず、FX-40-5主因の(と決めつけてる)歪み成分が残留します。負帰還は効くでしょうけど“格差撲滅”に働くとは思えません。

妄想の先走りですが、6AN8の歪みやNoiseが多けりゃ格差は覆い隠せますな。故意にやろうとは考えませんが、幾分かはそ〜なっちゃう気がしないではない。

余談が過ぎました。2次ズラシの1/2・Zp非正規使用は、F特においてもナニガシかの可能性を秘めていると思うのですが、低負荷に向くタマとの“出会い”が無いとナカナカ・・・・。で、8417はエエと思うのです。

RLpp=2.5kΩ時F特 グラフ上では微妙だが、1oct低域伸長にも感じる変化。

高域60kHz前後に些細な凸が(+0.3dbほど)あります。2次ズラシの非正規使用が元々持ってるZp凸を助長させたのかも知れませんが、OPT単体測定など未確認の戯言。その按配の所為で解釈に迷いますが、−3db落ちは130kHzに伸びてます。

高域200kHz前後を境目に、下降カーブの傾斜が異なりました。何が起きてるのか知りたいと思いながら、知ってど〜なる?ど〜出来る?・・・高帰還の障害になる?・・・それが気がかり。イイこと尽くめ・・・とは言えない。

利得は0.7dbほど低下。Noiseは似た水準。なお、Zo≒23.4Ω?にギョッとしたが、Zp半減の現れ。計算された推定2rp≒7.3kΩは、さほど変わらず納得。

低域は計算に乗りませぬ。ISOタンゴのデータは他社よりも詳細だし信頼できると考えますが、インダクタンスの「170〜350H」(50Hz)から得られる低域遮断周波数の「2.8〜1.36Hz(Zp=5kΩ正規使用時)」「1.75〜0.85Hz(Zp=2.5kΩ正規使用時)」ではありませんでした。高レベルで増加する(と学んだんだが)インダクタンス値は、磁気飽和によりその実態が変わるのでしょう。教科書的スタガ比計算は出来ても、思惑通りの結果にはホニャララ。50Hz測定でのインダクタンス値に・・・以下ホニャララ。

先行して実感した50HB26実験もご参照を。なお、本件で0.1Hzまでの測定を止めたのは・・・時間がかかり過ぎて辛いから。要するにサボりましたm(_ _)m

RLpp=2.5kΩ時THD 2次のズラシ2.5kΩpp動作。クリップ(1kHz)は約45Wで、2Ibmax≒2○◇mAはOPTの上限を超えた。予定しているMX-205も定格は超えちゃうけど、8417自体は平気っぽい。

10kHzは下側Rk=10Ωの容量付加策つき。100Hzの乖離はあるけど、少々改善されました。妙にカクカクした1kHzカーブは・・・Iboが同じでもibmaxが増大して、深めAB級になったから・・・とは言えそうにない。大出力時の歪み増大(三角波っぽくなる)には理由付けになろうが。

PT/OPTへの負担が怖い40W超試験ですが、痩せた45W時のクリップ開始波形は、負帰還で肥える見込み。ホンの少しと分かっていても50W級への改善などを期待しちゃうってモンです。

10kHzの歪低減策は容量が異なります。上記データは0.47μFで調べましたが、8W/10kHz時の0.28%が、5kΩ時同様の0.22//0.22μFでは0.29%に。0.47μF一個共通で済まそうか。

RLpp=2.5kΩ時THD/20Hz/12.5W RLpp=5kΩ時THD/20Hz/12.5W 20Hz時にRLpp=2.5k/5kΩを維持してる確信はないが、2次出力10Vrms/8Ω=12.5W時の歪波形。思い付き実験ですが、こんな好機会は逃せません。

よく考えますと(とは言えんか)、出力管の非直線歪み(低域のZp低下も含む?)+磁気飽和によるOPT由来の歪・・・そして誘導性負荷領域での楕円状負荷線動作も歪みを発生しそう。密接に絡んでて単独の事象を分離抽出は無理ですな。

左:RLpp=2.5kΩ時、約2.5%。右:RLpp=5kΩ時、約14.4%

OPTの磁気飽和が主因だと思うこの差は歴然。OPTの1次P1〜P2間に現れる電圧は、Zp半減で約70%に低下してるリクツ(実測してない)で、この差は大きいでしょう。本来は2.5kΩppで設計された製品を使うのがBESTだと思うものの、今・・・売ってる?。

ISOタンゴ・U-405使用実験です。合わせカバーの体裁がダイナコV風を醸し出してくれそうな・・・個人的感覚による選択肢に過ぎませんでしたが、低インダクタンス品ゆえに候補から外したのです。「黒田式新バイアス...」で、少々調べてみたのですがF特無視の偏った実験でしたので、この機会を利用し“水増し”ネタに。

U-405実験画像 U-405添付資料 U-405のプロトタイプと思われるNo-11604が使用されたラ技記事がございます。見落としもありましょうが、U-405の使用作例記事を拝見した事ない。

40W/40Hz定格は、FX-40-5相当の45Hz換算で約50Wのチョイ大型・・・には見えんけど、ケース無しの分?。伝聞情報かも知れませんが、添付資料にはハイライトコア云々とは書いてありません。

アンバラ分15mAは大きいが、定インダクタンスとは言えんような数値。「ISO TRANSFOMERS」社に後継品番出てません。FX-40-5の後継と思われるFC-40-5はあるから、↑之奴は売れ筋MODELぢゃ無かったのね。

実測データ↓は、U-405正規使用のZp=5kΩと、非正規2.5kΩ。2Ibo≒100mA、Rk=10Ωへの策無し条件です。

U-405・5kΩ時F特 5kΩ時F特です。特徴的な0.00125Wの低域レスポンス低下は、最小38Hのインダクタンスと、2rp=7.5kΩ(推定)で計算される12.5Hzに沿う結果と考えます。測定レベルの上昇に伴って低域伸長の傾向も見られましたが、磁気飽和がはぢまると・・以下ホニャララに。最大180Hってのはどのレベルで発揮されてンの?。

FX-40-5より総じて狭帯域。でも高域は90kHz−3db落ちは良好で、下降もまあ素直な部類かと。

U-405・5kΩ時THD 5kΩ時THD。100Hzの、約0.2%底打ちカーブに唖然とするが、昔の実験でも見てて忘れてる。1KHzの低レベルではNoise以下の領域を見たし、FX-40-5より低歪み。10kHzの、シングルアンプを彷彿(用法が誤ってるって?)とさせる2次歪みには、呆れる。

下側Rkに0.47μFを並列する策は効きまして、4V/8Ω/2W時の10kHzでは0.54%→0.26%に。1kHzも0.105→0.075%の低減効果ありました。喜んでちゃダメですよ。原因不明なんだから。

想像はしていたけど、FX-40-5との差は相当なもの。ダイナコV数値のTL1≒7Hzに対して、レベルによって跨ぐような“TL2≒11→5→9→15Hz?”・・・は判断に困る。20dbの高帰還アンプで、TL1(例:0.47μF×100kΩ)>TL2配列を選ぶとど〜なるでしょうか。

U-405・2.5kΩ時F特 個性を残しつつ、低域伸長は実感できます。

下から8Hz→3Hz→2.5Hz→6.5Hz→10Hz・・・と読んだ、低域遮断周波数。クドイけど、磁気飽和した挙句の−3db点でスタガ比計算してよいモノかどうか・・・永遠に迷うでしょう。

高域も−3db点は伸びたかに見えますが、160kHz付近の凸兆候がレスポンスを押し上げている感じ。高帰還で悪さ出るかな・・・。

U-405・2.5kΩ時THD 非正規2.5kΩ時THD。FX-40-5での同様テストで得た印象から100Hzの改善は予感してましたが、ホンのちょっぴり。1kHz/10kHzともに悪化して、ますますシングルアンプ様に。

下側Rkに0.47μFを並列する策は効きまして、4V/8Ω/2W時の10kHzでは1.07%→0.58%に。1kHzにも0.2→0.142%の低減効果ありました。でも以下同文・・・。

FX-40-5かU-405か・・・選択を迷わせる結果に困ってるのやら楽しんでるのやら。

U-405・2.5kΩ時THD・20Hz/12.5W U-405・5kΩ時THD・20Hz/12.5W オマケ画像です。オリエントコアと伺うFX...と、ハイライト云々のU...の違いが見えるだろうかッてなお遊び。音で判別する能力無いもンでね。

低インダクタンスの弱点が見えるかと思いきや、5kΩ時はU-405の方が低歪みとは。これがコアの差なのさ・・・てな即断は禁物だが、他にどんな要素が考えられるだろうか。ホンの少し大型ってのも加わる?。

左:RLpp=2.5kΩ時、約2.75%。右:RLpp=5kΩ時、約4.7%

見ちゃったから書くけど、それぞれに一長一短・・・一長二〜三短?個性あります。ダイナコV風に相応しいのはどっち?ってのは、本家OPTを調べませんと分かりっこ無い。そして、低インダクタンスだからU-405は「論外だ」、とも言えないような気分でもあります。

詳細は省きますが、後日の再検証で10kHzの2次歪み含有はOPTに主因がありそうだ・・・と感じました。多分1次巻線の不平衡だろうと推測します。武末先生や森川忠勇氏が測定方法を示されておられ、本HP内でも若干試みた実験もございます。ただし、FX-40-5の単体データU-405の単体データとの整合性が見つからず、高域不平衡の数値データが得られても意味が希薄な感じ・・・てな理由付けで、不平衡の測定をサボります。そういや本件はUL接続だし、それを考えると更にメンド臭い。

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再びFX-40-5に置き換え、冒頭の6GB8名併記の8417(GE)4本をテストしました。少々のバラツキがあろうとも、結果を書くつもりでした・・・

が!

GE製の品質でネガティブな“風評”を見聞きしたことがありまして・・・で、その一端を体験した気分です。具体的にはコントロールグリッド電流過大でボーソーしました。4本の程度は様々ですが、実験回路のRg=100kΩ両端に0.1〜0.7V出てました。放っときゃ更に増加してたかもしれませんが、電源電圧が400Vちょっとに整定した頃のIk≒40mAの個体が・・・80mA超に至ってます。放っときゃ更に・・・

凹みました。90's購入では・・・泣くしかねー・・・゜゜(´□`。)°゜。ワーン!!

急遽、一連の実験でデータ採取した“信頼できるスジ”で買ったRCA球を調べますと、上/下のRg両端電圧は16/8mV付近で落ち着いてました。もう一組も7/14mV付近でして安堵します。

既に主題から外れてる自覚ありますが、しばらくご辛抱を・・・。

急遽、冒頭の6GB8名併記ではない8417(GE)の、「MATCHED PAIR」販売モノ4組を試しました。

MATCHED販売・GEペア コンディションテスト表にまとめる甲斐のない・・・Rg両端電圧が0.1Vを大きく超える個体多数。では0.1V未満なら可?かと問われると・・・これまた悩ましい。線引きに悩みます。

邪推をお許し願えれば・・・Shopは「軍用試験機」の類で選別されたんかな?・・・と思はれるバラつき。同じ「MATCHED PAIR」シールが貼られた他種球ありますが・・・。

そして他にもNo・Check販売と思はれる8417がケッコウあります。ボーソーもいやだが、沈黙球やら切れる球もまぢってるかも知れンと心配になってきました。しかし苦情は言えん。

A〜Hラベル↑は、個体識別用に今回貼り付けたモノ。値札は・・・ある界隈への忖度でボカしましたが、決して“お買い得”価格でわない。「MATCHED PAIR」くくりを解いて、更に少々の(とは言えんか)Rg電圧≦0.2Vまで許しても、今度は・・・同一バイアスで3倍ものIbo差が・・・
アカンわこりゃ・・・

300V未満では落ち着いてるが、400V超で使うな!・・・Rg=100kΩの固定バイアスで使うな!・・・てなタマなら、もう8417を名乗れませんぞ。

急遽タマ蒐集末期に入手した、信頼できるスジの8417(GE)をテスト。もう嘗ての価格ではなくなってたから、之奴が得ぬ辞意奪太良思い切り凹み再起不能に。。。

信頼できるスジの8417(GE) 16533/16636組が−23V共通バイアス時Ek≒0.46/0.5V、Rgに0.015/0.15V
16732/16831組は−23V共通バイアス時Ek≒0.54/0.58V、Rgに0.075/0.033V。

・・・信頼できるスジだからこの程度に・・・と諦めた。歩留まり低下してたんだなあ・・・と。なお、ラベル数値(電流値)は本件とは別条件測定なのですが、ソレなりの差を再現できた印象。ドコゾの「MATCHED PAIR」とは雲泥の・・・以下ホニャララ。

白箱だし、ココまでの元箱入りGE球とは異なる造り。ゲッタ位置のみならずマイカ形状他細部にわたってプチ相違あります。実験の最初に試した「信頼できるスジRCA球」に似てるが・・・管壁のGE名/ロゴはリプリント?・・・根拠のない印象のハナシですが。

急遽“信頼したいスジ”の元箱入り「300V/52mA」ラベル貼り電流クアッド8417(GE)を試しました。

「300V/52mA」電流クアッドと、「No-Check」8417(GE) 右4本にGE元箱の「底」にShop選別条件ラベル。昔ジブンでやった事なんだが・・・なぜか5〜8の連番付けてました。

1〜4は・・・これがNo-Checkのバラ球一括り他Shop購入品・・・だったかなも。

その5/6組が、400V/-20.8Vバイアス時、Ik=50.4/49.6mAの揃い様。Rg電圧も53/50mVと及第点。7/8組みも400V/-20.2VでIk=50.5/44mAはソコソコだが、Ik≒50mA揃えのRg電圧は87/48mVだから可。やっとマシなGE元箱球に出会えました。

No-Check1〜4球は・・・400V/50mA時のバイアスが−21〜-24Vの差がありました。でもRg電圧は50〜250mVに踏みとどまり、2/4組がマシな候補として見つかりました。

GE元箱「300V/54mA」クアッドと同「300V/56mA」クアッドが残ってます。GE元箱「No-Check」もまだある・・・。贅沢だが心配。

コントロールグリッド電流は・・・国産球ではあまり調べた事がありません。電流が安定した球が多かったから、見る気がしなかったということでもあります。そして米国の近代球・・・とはいえ、手放しに信頼できないと実感しました。

上記、“信頼したいスジ”の元箱入り「300V/52mA」ラベル貼り8417(GE)から、ペア性は“さほどでない、7/8組”を試しました。RLpp=5kΩの正規使用です。

「300V/52mA」ラベルGE・7/8組み・THD1 上下共通バイアス−20V時、上下カソード電圧は0.52/0.46Vのバラツキで、FX-40-5の許容範囲外を承知。Rg=100kΩ両端電圧は90/50mV付近で落ち着きます。ついでに上下ドライブ電圧も6.26Vrms(1kHz・2次8W出力)に揃えて、PK分割を模したACバランス状態で。

PPアンプとしては、だらしない特性。そして「そんなに酷くない・・・」と思う方がおられるかも。ただし、PPの不平衡で残留した2次歪み主導動作により、0.1W以上の3周波数格差が接近した風に「見える」だけ。

PP上下の不平衡を許容してもらう?・・・ダイナコVは、そんな出力段でしょう。構想で述べた渡辺氏の記事では、原機編で「AC/DCバランスを省略した設計」としか言及ありません。両編で使用された6550の個別電流値も記されておりません。実験機編140頁で、共通カソード抵抗10Ωの電圧=1.44Vで「規格内に収まっております」って大丈夫?。よっぽど厳選したタマ使ってるンでしょうが、書いとかなくて大丈夫?。

またまた醜い揚げ足取りをしてしまいました・・・m(_ _)m・・・

「300V/52mA」ラベルGE・7/8組み・THD2 上下バイアス−20.4/−19.8V時。上下カソード電圧を0.5Vに揃えて、DCバランス改善の条件でテスト。上下ドライブ電圧は6.21Vrms(1kHz・2次8W出力)。

DCバランスADJの効果は100HzのTHD底値に現れました。0.1W以上では3周波数間の格差が接近して、それ以下を隠蔽すりゃ・・・ソレナリの絵面にはなる?。

ありていなPK分割ドライブで起きうる、不同ペア出力段の振る舞いの一端にすぎません。これでカマワンよ/いやアカン・・・ご判断は人それぞれで、

構想で述べた是枝氏の記事はダイナコVの回路では無いし、球個別のバイアストリム付き。各管個別Rk=22Ωに1Vが生じるIk≒45mAに揃えられたと読めます。KT-88個々のバイアス電圧も明示されてます。ダイナコVの“2Ibo≒140mA”ではない選択への言及はないけど、2Ibo≒100mAくらいが安心でしょ。

「300V/52mA」ラベルGE・7/8組み・THD3 同上で2次8W時にACバランス調整、上下ドライブ電圧は6.4/6.1Vrmsに。ありていなPK分割ドライブでは不可能なACバランス状態は、6AN8一本でど〜するか考え中。

100Hz/1kHzの1W以上では信頼できるスジRCA球よりも低歪みが得られ意外な感じ。ここでも下側球Rkへの0.47μF付加で1k/10kHzの歪み低減が見られました。タマの差も見えたけど、OPT由来と思い込んでる周波数間格差は是正されず、その方が全体を支配してる印象が強いのです。

ペア性が良好と見た「No-Check」2/4組と、「300V/52mA」ラベル貼りの5/6組を、本番機の採用候補にしようかなと考えました。結果はお楽しみにとっときます。

オマケの6GB8

6GB8HiFi実験画像 似てるのでお試し。サンプルは「US8P出力管PP実験機」で試した6GB8HiFi球・・・のはず。

その時とは違うEb≒400V動作ですが、バイアスがちと深い(上-24.2V/下-24.6V)程度なので、8417を代替管扱いしたくなるンでしょう。Ibo≒50mAに対しIc2oは、上3.8mA/下3.9mA。これも近似と思われます。

上下Rg電圧は9/7mVと少なく、これなら固定バイアス時でも0.5MΩを標榜できそうな品質。BASSAMPでは、無邪気にもそんな使い方してました。

6GB8HiFi・THD 40Wでもクリップせず、肩特性(ラフ計算で、ebmin≦80V?)は8417よりも優れてる印象ですが・・・個体差かも知れませんから断言し辛い。

FX-40-5主因と思ってる癖は矯正しようがないけど、全体的に若干低歪み。これを見て・・・8417やめて変える?。いや、6GB8用に別途拵えたくなるのです。

個人の感想ばかりですが、国産球への信頼感が増す一連の出来事でした。いや“出来事”って・・・変だが。

余計なつぶやきをひとつ・・・

分不相応な数量の8417を蒐集した事に後悔してましたが、逆に「沢山買っといて」ヨカッタ・・・などと、本末転倒の正当化もしちゃう。

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電源部の実験

20180331〜

本筋に戻りましょう。

ダイナコVのコピーを目的にしません(でも意識は相当してンの)から、GZ-34だろ〜が整流管はナシ。ダイオードでないと400V出ません。

そんなことはさて置き、実験段階で使用した手作り電源部はマガリナリにも安定化されリプル除去も充分。ヒーター点火は菊水電子PMC18-5Aなので無邪気に信頼してます。本番機では非安定化のリプル(揺らぎも)含有の整流電源と、AC点火に“劣化”します。実は勇み足的に平滑コンデンサとCHを調達済み。同じく勇み足的に決めちゃった意匠絡みの選択なのです。おっと、冒頭のMX-205ありきも勇み足か。

後出しデータですが、ここまでの実験に用いて来た400V250mA簡易安定化電源のリプルの具合を掲げます。

400V250mA簡易安定化電源部のリプル波形 無信号時2Ibo≒100mA条件ですが、格安デジタルオシロ・DS-5102B+10:1プローブでは高周波数成分主体のNoise波形。RMS演算値は4mVrmsほど。

100→250mA負荷時でも、Ebb/Noise変化見えません。温度特性補償とは言えませんが、CRD+ZDの組み合わせで若干相殺されてる印象あり。でも正の温度特性は残存して、電圧静定後ダラダラと405→408Vほどへの上昇を告白します。つまり出力管のEb≒Ec2≧400Vだったって事も・・・。

電源Zo測定をしたいのはヤマヤマですが、400V250mA級に耐える電子負荷は・・・100Wの熱損失に備えなければと考えるのです。しかし2B33シングルで試した「357V134mA」の48Wでも大変でして。その2倍超に尻込みします。よってPASSだ。

−39Vバイアス電源は30mVp-p/7〜8mVrms台のリプルが見えました。実験基板側バイアストリマのA・・・Rg=100kΩの下にはリプル見えず4mVrmsのNoise。

電源部実験画像 電源の実験回路 PT脇のアルミアングルと周辺部品配置は、シャーシ内臓のためのプチ仕掛けです。勇み足的意匠案のひとつ、そしてExcel上で描いた絵図の楽観が裏目に出た窮屈さに凹む。

既に買っちゃった勇み足選択の日ケミLXSシリーズケミコン。平滑上流側の220μFは過剰かもしれないが。

実験段階なので手抜き工事。

ケミコンは新品だから即通電・・・とは行かず、我が家のしきたりに則った電圧処理/リーク電流/容量チェックを経ます。400V印加でいずれも20μA未満(判断根拠なし)。インピーダンス測定はサボりましたが、新品だからと甘える。ちなみに近年需要増加が見られるらしい「ソーラーシステム他産業用途」とか。スルーホールマウント用なので足短ッ。小型なので音に煩い方々には好かれぬかも。

負荷特性 タマ(Ig過多のNG球)をHだけ点火させ、疑似負荷で調べたB電圧の負荷特性です。リプル電圧も見たけど・・・揺らぎが多く、0.1Vrms未満としか読めませぬ。

整流電源の平滑回路でリプル電圧計算・・・したことない、と告白します。簡易安定化400V電源実験の出力段のみ「0.03mV台」のNoiseは如何程に悪化するやら。

ちなみに200mAdcでは400Vを切りました。出力段実験で得た定格出力32W(RLpp=5kΩ)の標榜は際どいかも。

上流側220μFの波形2種 上流側220μFのリプル電圧波形と、対地間に挿入した1Ωの電圧波形を観測、SAVEしました。205mAdc負荷時です。

ケミコンのリプル電流実効値(と信じる)は280mArmsほどですから、DC負荷電流の1.4倍弱。で、どんな意味あるのかを自問中。

SAVE画面上では表示されませんが、ch2のリプル電流相当波形のVpp≒0.68Vから、0.68Aの尖頭電流と見ました。で、どんな意味あるのかも自問中。

10Ω両端波形220μF ダイオード直列の10Ω両端で観測したSAVE波形です。

205mAdc負荷時ですが、MX-205のAC0.205Aを超えてるようです。整流管並みの10Ω→100Ω?にすりゃ緩和できるのでしょうが・・・400V出そうにないジレンマ。

DMM測定の約2.2Vと一致しないch1のRMS演算値。ch1/2の差とともに気になるが考察逃避。

上流側の平滑容量の100μFも試みて・・・出力電圧が2〜3V下がりました。10Ω両端電圧にはコレといった差が見えず・・・MX-205や整流器への負担が軽くなるよ〜な実感はありません。よって、過剰かもしれない220μFを平気で使う口実になろうってモンです。

誘導ハム探り 1次P1〜B、及びP2〜B間それぞれに3.9kΩを接続し、B端子と2次「0」端子を電源接地。無信号時を想定した、約100mAdc負荷とGEの暴走球×2本点火状態。勇み足妄想意匠に絡みますが、PT⇔OPT間隔は約10p、MX-205の向きは最悪状態です。

←この向きで2次正規接続の8Ωタップ8Ω負荷に0.1mVrmsほどのNoise・・・誘導ハムです。

FX-40-5を画像の向きから90度捻りますと、2次ハムは0.03mVrms以下に減ります。MX-205のコア軸はOPTに向いててもヨカロウと考えました。

角型ケース入りのFX-40-5は、中身のコア軸がケース短辺側に向いてると推測します。合わせカバー形状のU-405は、見たまんまコア軸が上下向き。同様に試しますと意外にもPT軸向けに“寝かせ”て0.1mVrms未満。立てても0.05mVrmsほどで、姿勢の差が接近。ラフな実験だから半信半疑・・・。

簡易安定化400V電源とPMC18-5A点火で得た出力段実験のハムNoiseが、MX-205電源でイカほどに「悪化」するかを探りました。

電源ハムテスト画像 手抜き工事に加え、無茶な増築。サンプルは、“信頼したいスジ”の元箱入り「300V/52mA」ラベル貼り8417(GE)から、ペア性は“さほどでない”7/8組。3種THDデータを取った球で、実験基板入力の接地では0.03mVrms台だったのですが、さて。

タマの右にMX-205電源。更に右隣の簡易安定化400V電源とPMC18-5A(写ってない)との組み合わせで、Hハム/リプルハムの按配を掴もうってな実験です。Hバイアス用には贅沢にもPMC160-0.4Aを動員する大風呂敷広げます。

タマの個体差に関わるハナシですから調べるしかありません。さほどでもない経験の中ですら傍熱出力管にも酷い個体に遭遇した事があるのです。まあ・・・点火巻線容量に余裕がありゃ躊躇なくDC点火する芸風ですが、本件の2A巻線では無理。タマ数に頼って選ぶしかないが、ハズレ球は可哀そうですな。

Hハムテスト回路 MX-205では各球ごとの2A巻線点火に限られますから、若干の電圧差は受忍する。ハムバランスも2球独立でいささか大袈裟。そしてH巻線へのHバイアス印加も用意しました。心配性なのかも。

結果は別表にて。

AC点火ハムテスト結果 ハムバランス、Hバイアスとも明確な効きが見えません。言い換えりゃ本番機でサボれるってのは楽だ・・・と、妙な言い草。

8417のHに極性アリ?・・・てな感じの印象の、その、え〜と、ナンだ。似たような実験をされてる方のHPを拝見した記憶があるのですが。

はっきり書けば「ハッキリしねえ〜・・・」結果。NG判定球が無かったのは救いです。あったらG1電流/ペア選別からの新たな候補探し。

6GB8のエコ贔屓画像 エコ贔屓が隠せない6GB8では、8417で見られたハムの変動が少ないのです。

再び国産球はエエのお・・・てな印象を得ました。試したサンプル以外は見てませんから、
あくまでも印象のハナシ。

6GB8は別途贅沢機に使いたい妄想あり舛。

五組の8417を調べただけですが、Hは接地で可と考えました。ペア性とグリッド電流で本番機候補とした組はいささか情けないハムですが、前段管のNoiseに埋もれるレベルだろう・・・てな、日和見判断します。

リプルハムテスト回路 楽観してるリプルハムのテストです。メンド臭いがタマはDC点火。サンプルは本番機候補だがHハムが多めの「GE元箱No-Check球・2/4」組。

MX-205の整流平滑非安定化リプル含有400V&バイアス電源では0.04mVrmsほどに留まりまして、リプルハムは無視しよう。

ついでの全電源MX-205給電では、サンプルのHハムが出て0.15〜0.2mVrmsほどに。

この実験↑の前に、6GB8をサンプルにした「全電源MX-205供給」のテストしてました。ふらついてるけど0.04〜0.07mVrmsでした、ハイ。

CR結合の固定バイアスアンプは、OTL以外ではあんまり作ってない気がします。Di整流平滑だけの“起動はホッタラカシ”で、タマのthwに頼った設計は・・・そりゃ巷には沢山あるでしょうけど、心配性だから起動・終了を調べます。

ON OFF バイアス電源に馬鹿みたいな巨大ケミコンを組まない限り大丈夫なはず。でも計算に基づかない容量選定なのです。直前の全電源MX-205給電で行いました。

十分放電・冷却した後なら安全でしょう。ただし、無邪気なON/OFF操作(切ってすぐONとか?)への対策はしてませんし、試してもいない。試す度胸ない。

この間に時間経過ありますから繋がってませ↑ん。書き加えを忘れましたが、ch1(黄色)はFX-40-5のB端子電圧を、ch2(ローズ)は下側8417のカソード電圧を見ています。

電源の実験というかハムテストは、やりがいが乏しくて一時中断・放置しておりました・・・m(_ _)m
結果は良好というか、そんなに気にする事無かったでよ、てな。

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前段の実験

201807xx〜

本筋に戻りましょう。

6AN8は使ったことありません。構想で述べた渡辺氏のほか使用例は見つかるけど、五極部の利得どれくらい?ってな基本中の基本特性が、どの文献に書かれてるのか未だに見つかりません。6CB6相似とも伺うがそっちの情報も同様。

渡辺氏の検証記事「実験機編」からの数値引用ですが・・・50W/1.6V入力、20db負帰還、出力管のバイアス-44.5V・・・などからオーザッパな逆算を積み重ねてみますと・・・200倍くらいかと。ただしカソード抵抗680+47Ωはバイパスされてませんので、ソレなりの電流帰還込み。

ちなみに「抵抗結合増幅器データ」はあちこちで引用され拝見しますが、6AN8は“三極部”しか見ません。トーシバの電子管ハンドブックも同じ。グチ多いかな?。

集まった6AN8 冒頭で6AN8の手持ち2本+追加の2本で「Go」したと書きましたが、結局不安なのでGE中古を新調。同時に枯渇気味なのだとも知る。ダイナコの保守需要以外にも重用されてきた管種なのですねえ。

新調GEは6AN8Aとプリントされてるが・・・同列に考えとります。試験機でGmらしき棄却値の合格を謳った中古ですが、測定値○○/31(棄却値)ってのは複合管の片方Unitしか見てない気がする。で、見てないのは三極部?五極部?・・・

トーシバの箱入りに、取説?在中。ハンドブックと同じ内容で、「抵抗結合増幅器データ」は三極部のみ・・・

前段実験画像1 1.5MΩと270kΩの手持ちが無いもんで、寄せ集めで対処。チャンとした選定すりゃ、もっとコムパクトに出来上がるでしょう。ダイナコ数値の0.22μFは基板に収まるが、デカい630V2.2μFを外付けしてまで使うワケは、おいおい述べてまいります。

6AN8のサンプルは、手持ちの東芝@から。

6AN8のソケット脇に泥縄配線した0.01μFは、仮付けのG2バイパスコンデンサです。ダイナコ数値の1/10はチョンボではなく意図アリ。1.5MΩの下流側に使うので絶縁抵抗値には注意しましょう。ソレが定かでないVintage物は止めときゃあて。

絶縁抵抗計無きため、武末先生流チェック(ラ技APR1975・・・古ッ)ですが、被測定コンデンサとテスタのDC電圧レンジを直列にして、適当な直流電圧を加えるちゅう簡便な方法。新調中古PMC500-0.1Aで250Vを印加した基板仮付けの0.01μFは、DMMの読みがDC4〜5mVほど。次に試す予定の0.1μFも6〜7mVなのでヨシとしたが、抵抗値換算では49999MΩとか35713MΩにも及び、やや半信半疑。

前段実験回路1 8417相手にEbb≒480Vも要らんと思いますが、ダイナコV数値動作の検証・・・ってゆーか思考停止の手抜き。ただし入出力の低域制限は思いッきり緩和。

サンプルの6AN8では五極部カソードをバイパスして、A’≒440倍(+53db)を得ました。オーザッパ計算で、gm(P)≒1.6mSと見ました。カソード抵抗による電流負帰還は−7dbもあって、球個体のバラつき吸収にも効いてそうです。

G2電圧の低さが気になります。バテ球だからか個体差なのかは不明。

←これも新調?した中古PMC500-0.1A。泥縄電源で糊塗しなくて済みました。

構想でご紹介した渡辺氏の検証記事原機編では、6AN8(P)のG2電圧値が記入されてません。単に“見てない”のか編集上の“抜け”かは不明。後にこの件の「訂正・追記」がなされたのか未調査。次号の実験機編では「48V」と記されてますから、本実験サンプル球の東芝@の「27V」とはエラい差が出ましたな。DMMを当ててる最中の三極部カソード電圧も調べまして、しかし無視してよいやら分らぬ違いは読めました。深く考えない(思考停止)ことにする。。

1.5MΩの高抵抗の下流側電圧測定に、“10MΩ以上”を謳うDMMでイカほどの誤差が生じるか心配。で「27V」なのです。本件実験回路では、1.5MΩの入手をサボったついでに100kΩの直列抵抗も足してます。この100kΩ両端の電圧からG2電圧を・・・意味希薄?

ベンチ据え置きの高級DMM機に入力抵抗10GΩ!モデルもあるけど、10Vレンジまでのしか見つかりません。それ以上ではヤッパシ10MΩですねえ。深く考えないで偏った事ばッかし考えてる。

6AN8(A)コンディション ダイナコV数値のまま、6AN8(A)の全サンプルを調べた結果です。う〜ん、こんなモンかなあ。使った経験ないから判断付かズ。

“明確なNG球”は無かったのでヨシとするが、
案外な外れ球はある。除け者にするのは可哀そうなので、処遇を考えましょう。

ダイナコVに元々無かったHバイアスも試しましたが、効いた感じしません。もうナニ言われようが6AN8はDC点火します。

五極部Esgが低い東芝サンプル@だけ、RsgのADJを試みました。他サンプルに近づく感じはあります。しかし無造作にこんなのをダイナコVに挿しても・・・音は出るけど・・・バイアスが深い個体の6550だったら、定格の「60W」出ないのでは?、などと余計な呟きを。

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