2SJ119・OTLシングル

20141120〜20141225


目次

実験1 20080205〜工作1 20141120〜
実験2 20080208〜計画変更・・・ケミコン換えます 20141203〜
再燃〜DE-LITEもどきか? 20141105〜Ver.2.6 〜最終回路のつもり
電球の調査工作2 20141204〜
電源トランスの調査通電開始 20141209〜
放熱器の調査測定1 20141212〜
Ver.2.1実験オマケ実験 20141214〜
Ver.2.2実験測定2 20141219〜
Ver.2.3実験試聴 20141219〜
Ver.2.4実験後始末 201412**
Ver.2.5実験****


はじめに

2008年、MOS-LLA妄想の途中で入手した、J115/K405のデバイステストを行う前に湧き上がった「思いつき」ネタ。安易ではあるが、なにかしら可能性を秘めてる気がしたのです。(この時、長続きしなかったのは何故?。)

2SJ119データーシート 挫折した6C33C-B・OTLシングルの定電流回路用に購入し、挫折し、死蔵の4個が本件のネタです。今となっては相方の2SK414共々入手困難。別にコレでなきゃあ出来ない実験ではありません。

手頃なパワー素子と、ソレに見合う電源があれば、様々な規模の類似アンプは出来そうなアイデアです。極端な効率の悪さが苦にならなければですが。

どうやら全ての発端はコレなんでしょうなあ。デバイスは異なるが・・・。

3行空けのために・・・こげなことを


実験1

20080205〜

本件だけに限らず、半導体デバイスが「生きてるかどうか」を確認する習い性的実験回路から。

2SJ119s_20080204 LUXKIT・M-6Pの±15V・0.2Amax電源で動作させる、単なるソース(エミッタ)フォロワです。テキトーな電流値になるソース(エミッタ)抵抗と電圧を与えるだけ。Vgsやベース電流値で適否を探ります。

2SJ119s_20080205 接地したゲート(ベース)に信号を入れるとソース(エミッタ)に出てくるのですから、動作条件を整えりゃ「8Ω」負荷でも若干の出力は得られるなあ・・・と。

2SJ119s_20080206

ソース抵抗を33Ωにすると、M-6Pの上限0.2Aを超えるので新設した電源で。

「超簡単・・・」でも使用した2次22VACのPTだが、単電源なのと、慣れないPch素子の回路作図で「錯誤」を引き起こす。

2SJ119s_20080206_data コレだけ見れば“Mini Watter”モドキ程度には・・・いや、失礼しました。Mini...を知るのはずっと後の2013年の話・・・。

3行空けのために・・・こげなことを

ここまでの写真が無いのです。まあ、半信半疑で始めたMONO回路実験でして、数値データもえらく粗い調べ方でした。

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実験2

20080208〜

実験2機目のステレオVer.です。

ステレオVer. 左手前がMONO実験1最後の電源。コレをそのまま2ch分に繋いだのですが、総電流は0.38Adcから0.7Adcへと倍増しない。電圧は減る(24.5→22V)わ、ハムは増える(0.06→0.1mV超)わで、明らかに非力です。

珍しくこんな段階で音を聴く。別に妙な音でもなく、やや緩んだ低DFの“鳴り”方です。

このデータ取りはサボりました。いや、この後の展開もサボったのです。

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コレ書いてたら、再燃しました。

20141105〜

2008年当時↑のメモランダムでは

『ちょっと思考実験ですが、2SJ119は100Wの素子です。まあ実用範囲での全損失は30W以内(馬鹿でかい放熱器要るぜ)と考え、50Ωの
直流負荷抵抗を条件にしますと0.7〜0.8A位は流せるかも。仮に0.8A流せば、素子の特性がリニアなら3.2W、上記の実験結果から7割辺りと踏むと2Wは出るかなと。ただし直流負荷抵抗の損失も多分30Wぐらいでしょうから、全損失60W!!!ですな。効率は3.3%ですなあ。』

などの妄想を書き残してました。

手っ取り早く「冬向き」アンプが出来そー・・・と、不純な動機で再燃したのです。大雑把な計算に乗る電力消費が100〜120W(両ch)ですから、“バケモノ”じみた数値ではありません。30MP27・OTLよりチョイ少ない程度?にすぎず、これだけで冬を越せるはずはないのだが・・・。

DE-LITE_AMP_FIG-2 でェれゃあと・AMP こんなの考えました。

左はV-FET...の発想元にもなった、ネルソン・パス氏のアイデア。

右は、もろにパクった絵面で描いてみました。

電源規模に合わせて妄想した数値を入れましたが、キモは放熱器かもしれません。100W級デバイスでも20〜30W食わせるとなると・・・。
同じく、R2も20〜30W食うから、100W超級の損失耐量が要りそうです。30Wのホーロー抵抗でも10Wでは触れません。

素子のバリエーションを問わずに「シングルOTL」検索しますと、意外に多くの方が試されておられました。しかしパス氏や故・藤井秀夫氏が試されたようなソース(カソード)接地形式は少数派の印象です。ましてや単段回路は・・・。

ソースフォロワやカソードフォロワが好まれるのは、多分出力インピーダンスの観点から選ばれるのだろうと考えますが、今回は“敢えて”ソース接地形式を選んでみました。2008年実験よりも更に高出力インピーダンス(調べてない)になるだろう事は、承知の冒険でもあります。

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電球の調査

パス氏元ネタのとおりに、電球負荷を考えます。周囲への輻射熱に気を配れば、丸裸でカマワン抵抗器ですな。

測定回路 手持ちの54W球と、お試し購入の90W球を調べてみました。

54W球測定中 写真は54W球のAC30V点灯中。煌々と燈す意図はありませんから、中途半端な光量です。

0.277A流れて・・・約110Ωです。8W強ですが、もう触れません。

54w球特性 90w球特性 電球の「電気的特性?」を吟味するなど初めてです。各軸はリニア目盛りで書きましたが、これすら適正な表示なのか自信無い。

ちなみに、5V以下はスライダックで設定しにくいし、50V以上は使用想定が無い・・・との理由でスッ飛ばしてます。

100V測定は・・・定格電圧ですな。

「0V」時は単にDCR測定しただけ。単球では抵抗値過剰・・・氏の様に300W球あたりが適正と実感できましたが、この先で述べる「意匠」にも絡み、背丈が低い小さな球を望みます。E17口金のソケット共々、近隣のHCで入手できますが結構なお値段・・・。

この後、実測データを元に詳細な計算設計を・・・しませんよ。実験しながらいつもの様に探ります。なにもパス氏のとおり「ランプ負荷のみ」の意図はなく、直列/並列抵抗の挿入で合わせ込んでもイイと考えています。

パス氏の回路では・・・多分ON直後に盛大なプラス電位が出てきそうです。デバイスのId 静定タイミングがわかりませんが、仮にデバイスを想定した固定抵抗に置き換えても、結合コンデンサC3の充電期間はSPに電流が流れます。これはデバイスのスロースタートでは逆の強勢に向くので、厄介でしょう。

でェれゃあと・AMP・Ver.2 またも藤井秀夫氏のアイデアに頼りますが、逆立ち?回路。フローティング電源などとも言う変わりモン。

電球負荷に書換えましたが、挿入位置も変更です。MOSデバイスのバイアス電圧をスロースタート(CR充電回路なんぞで可かと)措置をすれば、電球負荷の電流は「ゼロA」から立ち上げられます。C3の容量によっては、かなり緩慢にしなければならないかもしれませんが、SPへの「急激」な突入電流は緩和できると思います。若干のダイアフラム・コーン紙の移動までは、皆無に出来ないのが辛いのですが。

OFF時にはど〜なる?・・・考えてないなあ。更に、C1・C2が放電しきってないウチでの再ONは?・・・思考停止・・・。

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電源トランスの調査

実は約60Vdcで、ンAは大丈夫そうな役得(また〜?)PTを2個、お仕事の先輩からいただきました。そして出所が別の、CEW・25000μF80Vの中古ケミコンが・・・確か4個。

60Vdc役得PT 役得PT測定回路

JUNK箱の中から拾ったブリッジは「S10VB1005」と読める表記だが、そんなの無いみたい。「S10VB10」が正解かと。ならば100V耐圧品なのでいささか余裕が無い選定、実機では200V品をあてがいたい。大袈裟な放熱器(W18cm×H5cm×T2.5cm)にマウントしたからか、殆ど発熱は感じられない。同1.6cm×2.5cm×1.6cmのお飾り程度の放熱器では、結構熱い。PC-510a+付属TEMPセンサー計測で47℃(中央フィン奥)でしたので、もうチョイ大きいのが欲しい。

負荷特性@ 負荷特性A 1Ωを挿入しただけでもリプル電圧はケッコウ減りますね。ただし、それを読んでるVP-7720Aの指針は相当揺らぎますので、落ち着いた数値を拾いました。VP...入力に0.1〜0.22μFで低域制限しようとも考えましたが。

1Aで55V内外の電源と解りました。ダミーロードは390Ω30Wの7個並列+...ですが、熱い。分散配置の負荷でこれだから、デバイスと電流バイパス抵抗の配置には苦労しそうです。

@の8A・FUSEを残したまま、別途FUSEも挿入しますと、1.5Aでは溶断します。2Aは耐えますが、赤熱せずとも内部の線はかなり緩みます。最終的には2.5〜3A品がよさそうです。

Aで挿入した1D2-22(常温1Ω品)パワーサーミスタは、突入電流抑制の“おまじない”です。線の緩み加減目視では・・・効いているような・・・曖昧ですみません。実はAC100V側に1Ωの固定抵抗を挿入し、LEADER・Model300で突入電流波形を見たかったのです。しかし之奴の不調で断念しました。

25000μFの静電容量を調べる計測器は持っておりません。電圧処理を兼ねた“自己流”漏れ電流チェックはしました。4個全て78Vdc印加時、最終30μA未満(6H超の所要時間)までは確認済み。

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放熱器の調査

JUNK放熱器 予定のJUNK放熱器です。片ch100W級TR×4個(2パラSEPP用)で、W24cm・H12.5cm・T5.5cm。抱絡体積≒1600ccから0.6〜0.7℃/Wと推測(某サイトの条件付換算表から)し、悪くても1.0℃/W以下と確信します。

1.0℃/Wと仮定しますと、67度ほどが周囲温度限界と算出しました。無茶ではないが、余裕は乏しい感じです。(久々ですな、コレの計算。)

←妙な実験残骸付き・・・深読みはご容赦ください。

以上、下拵えでした。

パス氏の「DE-LITE AMP」を、かなり忠実に追試された方を知りました。「魅力ある真空管とアンプ・ラジオ DIY自作オーディオ 真空管アンプ・回路図」 http://www.anc-tv.ne.jp/~suzuki3/ で紹介されておられます。

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Ver.2 予備実験

20141112〜

電球負荷を、イキナリ試す度胸がございません。ありていな抵抗負荷から「掴み」を得たいと考えます。

Ver.2.1

パス氏風回路図を、書き換えました。

Ver.2.1実験回路 Ver.2.1実験風景 電球代わりの抵抗は、「冶具・ダミーロード」のコレです。8Ω50Wの4個直列をためしてみました。

回路絵面がコロコロ変わるのは、Pch素子のみのイメージが掴めていない、心理的揺らぎ?。

電流バイパス抵抗=32Ωそのものを負荷抵抗とした測定です。初期の予定Ido≒1Aですとクリップ側の制限が早まります。増幅度は30倍もあって、gm≒1s 動作が伺われます。残留Nois≒0.2〜0.3mVはいささか以外だが、AC100Vの揺らぎも多く、1〜3mVの時もあります。数値読み取りに難儀するので、MAK-6630入力部に0.22μFのインチキHPF入れました。

概ね22℃の室内で、放熱器の遊休貫通穴(2SJ119固定の隣)が47℃、2SJ119のドレイン足付け根が61℃。モールドパッケージ(正面)を触るとかなり熱い。放熱器がでかくても発熱体が1個なので、その差は致し方無いかと。以上PC-510a+付属TEMPセンサー計測でした。

32Ω負荷歪み率 32Ω負荷1kHz7W12% 32Ω負荷10kHz7W11.5% 32Ω負荷10kHz方形波

まずは、ソース抵抗=0Ωの「完全無帰還」から。

湾曲は著しいが、まだカットオフ手前。100Hz・1kHzはクリップ直前まで素直な2次歪み波形。10kHzでは趣が異なります。約7Wを最大出力と見ましたが、10%超の歪みを許容したので明確に歪んでいるのも目視できます。

F特のラフ計測では、36kHz・−3db落ちのありさまです。10kHz方形波応答もそうだが、入力部ですら肩がなまるほどの入力容量が内在してます。本機から離してのFG-274→SS7810観測では、正しく角が立ってる方形波に戻ります。

1kΩとの「1次LPFモデル」を考えますと、4400pFもの容量値になるんですね〜。検証をサボりましたが、素子の入力容量が固定コンデンサのように「じっと」してくれるはずはありません。10kHz時には入力部で、既に歪んでいる恐れ(観測失念)はありますが、測定数値には表れていません。

32Ω負荷が最適なのかどうかは全く検証しておりませんが、80年代MJ誌で活躍された新井晃氏の諸作を思い出します。氏の作例に併せて平田電機タンゴでは、そんな1次インピーダンスのOPTも発売され、読むだけでも楽しかった・・・(遠くを見つめる風情で)。

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Ver.2.2

ソースに0.94Ωを挿入。

Ver.2.2実験回路 Ver.2.2実験風景 増幅度は半減して、約−6dbの電流帰還。

32Ω負荷歪み率 32Ω負荷1kHz7W7.8% 32Ω負荷10kHz7W8.3% 32Ω負荷10kHz方形波

負帰還量分とは言えんが、ソレナリの歪み低減です。67kHz・−3db落ちは、これもソレナリの改善。同じく1kΩとの1次LPFを考えますと、2400pF近い容量値になる。

ゲートの1kΩは過大かと思い、470Ωに。−3db落ちは120kHzに伸びて、ホッとしました。以降の実験→本番まで発振などが起こらなきゃこのままにしたい。しかしこの状況は、安易に入力Vol.を設けてはマズイ事と言えます。仮に10kΩのVRでは、2.5kΩ以上(接続先インピーダンスが高けりゃ)もありうるので、−3db落ちが26kHz以下の可能性も。

以上、殆どでM-6Pのバイアス電圧を維持したままON/OFFしてます。当然Idoの静定は早く、オシロ他出力部監視計器の指示は動きます。電源電圧分の変動がモロに出るかと思いきや、それほどでも無い(ピークで10V内外)様子。ゲート・バイアス入り口のRCが「ホンの少々」遅延効果をもたらした印象です。OFF時等は、25000μF×2とはいえど、ン10Ωのバイパス抵抗で「あっという間」に放電されます。よほど意図した高速OFF→ONをしない限り、ゼロチャージからのONです。・・・あああ・・・Model300が存命ならば、変動の模様を記録できるのだが・・・。

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Ver.2.3実験回路

容量結合で8Ω負荷を接続します。

Ver.2.3実験回路 Ver.2.3実験風景 出力コンデンサは暫定的な10000μF(写真中央の)。

入力部は10μF・47kΩ≒0.34Hzに変更し、この後の低域F特測定の下拵えします。

Ido≒1Aが、暫定的なイイトコロでした。これより少ないとカットオフ先行で、多いとクリップ先行の傾向ですが、その境目は曖昧です。

交流負荷抵抗値は6.4Ωなので負荷線が立ち、ミス・マッチング状態。シングル動作ではタマも半導体も、同じジレンマが働きます。Idoを増やさないとカットオフ側の余裕が乏しいのです。どれだけIdoを増やせるかは、デバイスと熱設計・電源次第ですが。

利得は32Ω負荷時から約12db減。そのワリにNoisは変わりません。もっと減る甘い期待は・・・。

32Ωを「定電流回路」に置き換えれば、出力効率他がかなり改善できることは承知しております。正直申し上げますと、新規デバイス(100W級の2SKナンデモ?)の調達やら・・・設計計算やらがメンドー臭いのです。先に決めた放熱器に2素子貼るのはイイですが、熱計算がねえ・・・。それに、とりたてて「定電流回路好き」でもないし。

32Ωバイパス8Ω負荷歪み率 32Ωバイパス8Ω負荷100Hz3.125W7.8% 32Ωバイパス8Ω負荷1kHz3.125W8% 32Ωバイパス8Ω負荷10kHz3.125W7.8%

歪みは増え、出力は減る・・・しかし意外と悪化の程度が穏やかだったと感じました。「3W」を定格出力にしていいと思います。

32Ωバイパス8Ω負荷100Hz方形波 32Ωバイパス8Ω負荷10kHz方形波 実効負荷6.4Ωによる利得低下で、ミラー効果が減少したと思われます。高域は伸長しました。

低域も良好ですが、10000μFの出力コンデンサの賜物です。

3行空けのために・・・こげなことを

10000μF時の1Hzレスポンス測定 低域レスポンスは、もっぱらVP-7720Aのレベルメータ部で読んでましたが、10000μF時ではVP...の低域下降が先に現れます。よってこの測定のみ横河3201回路計の、AC3Vレンジを使用しました。

1kHzで「+10db」目盛り(≒2.4Vrms)に置き、1Hzでは+8.5〜+9.1db間を揺らぎます。大雑把ですが1Hz・−1.2dbとしました。

←では“1Hzで揺れてる”針がタマタマ+8.8db付近を指示してた。

普段は0db=1Vrms、もしくはキリの良い任意の電圧を基準に読むことが殆どですが、今回は3201回路計の「10db」目盛り・2.4Vrmsを0db基準に置いて測定します。数Hz以下では指針がユラユラするので、3Vrmsのフルスケールに決めると、揺れ幅に制限が生じます。

横河のdb目盛りは、0db=1mW・600Ω・・・0.775Vrmsなんですね。同様の目盛りがVP-7720AやLMV-181Aにも付いとりますが、利用した事がありません。大昔に勉強したはずなんですが今改めて調べ直しますと、電力伝送?に用いられる単位(dbm)ですね。「600Ω」の基準数値を含むので、本機のような8Ω負荷に対する表記にはそぐわないと承知しています。3201回路計での「利用しやすい」目盛りの基準と考えました。

余談ですが、3201回路計でFG-274直結の1Hz以下の指示応答を調べますと、0.1Hzでも揺れ巾の中央値が、1kHz指示値からあまり低下しません。いずれ・・・突っ込んで調べてみたいなあ。

32Ωバイパス8Ω負荷低域F特 ここで少々冒険を。出力部の容量はどれだけ「ケチる」ことが可能かも探りました。

低域特性をどこまで“伸ばしたい”のかも「好み」の領域と考えますが、巨大容量ではON/OFF時の充放電電流値・時間の始末が絡んできます。また、電源の容量25000μFが出力信号電流経路に加わりますから闇雲にデカくしよッても、その効能は頭打ちになるリクツです。

10000μFを実測できる計器を持っておりません。このケミコンは1980年前後の購入記憶だが、−3db落ちが0.5〜0.6Hzなので概ね表記数値を維持している模様(同型のもう1個は漏れ電流NG、実験に使用した個体:13μA/44Vdcの5倍)です。なお、実測値には入力部CRでの降下も含んでいるので、完全な出力部のみの応答を抽出し切ってはいません。

本機の出力部低域特性は、結合容量と、負荷抵抗8Ω+電流バイパス抵抗32Ω=40Ωで計算されます。1000μFでは概ね4Hz・-3dbで、レスポンス上では結構な伸びを示しますが、最適かどうかは不明。100μFでも、チープなOPTのシングル球アンプ程度の性能は得られる。

32Ωバイパス8Ω負荷高域F特 Ver.2.1や、2.2.の32Ω負荷時から利得が低下して、ミラー効果の低減が表れてます。ついでに、信号源インピーダンス違いの高域レスポンスも調べました。

これだけを見れば、入力部に10kΩのVolを置いてもカマワン気がしました。

以上全ての読み取りを3201回路計で進めましたが、数Hz以下の指示値読み取りは、指針の振れ中央を“なんとなく”読み取っています。更に「0db以下の目盛り」の信頼性は疑問ですなあ。本当はもっと下まで追うのが望ましいと存じますが、高低域とも下降のメカニズムが単純なので、妙な問題は孕んでいないと考えたのです。OPT付負帰還アンプなどでは、可能ならば−40db以下まで調べますが、3201回路計単体ではソレが不可能です。

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Ver.2.4

電流バイパス抵抗を24Ωに変更してみました。

Ver.2.4実験回路 24Ωバイパス8Ω負荷歪み率 Ido≒1.3Aが暫定的イイトコロかと。

直流負荷抵抗値が32Ω→24Ωに減って、交流負荷線6Ωのidmaxが増えた様相です。電力効率は更に悪化する変更ですが、Idoの増加のおかげで利得減少は微々たる範囲。歪みはチョイ改善し、4Wを定格出力に出来そう。なぜか10kHzの3W以上では歪の増加傾向が他と乖離した。

パス氏は、別件記事で「スイート・スポット」の用語で“美味しい部位?”のお話をされてます。この実験では少しづつソレに近づいた感じはありますが、まだ最適なのかどうかは解りません。実験部材の範囲では電流バイパス抵抗を16Ωには出来るのですが、キザミが粗い気もします。さらに大電流動作になるので、イマイチ試す度胸がありません。ここらで手を打とうかッてな心境です。

ここまでの中で言及しておりませんが、アンプとしての出力インピーダンスは電流バイパス抵抗値そのものとなる理屈です。32ΩではDF値=0.25、24Ωでも0.33に過ぎません。一般的な判断では出来損ないでしょうが、別にこれで構わないと考えます。一部の“定電流アンプ?”好きの勢力から見れば、中途半端なインピーダンスですから。

ON/OFF時の出力DC?変動は案外少ないのです。10000μFを介しただけですが8Ω負荷端で、ンV程の揺らぎでした。

屑SP接続の「ポップノイズ」テストでは、コーン紙のンmm移動が見えます。ON時は小さく「ボフッ」と聞こえ、コーン紙は前に出ます。OFF時は聞こえませんが、奥に引っ込みました。高能率&低域再生に優れたシステムでは、結構な音量かもしれませんので、MAINSYSTEMで試す勇気はありません。この時、Ido≒1.3Aのバイアス電圧を加えたままB電源のみON/OFFしますが、まだIdoの静定が速いのでしょう。カットオフからゆっくりバイアスを与えると聞こえません。今ゲート下?に付いてる100μFを1000μF程度に増量するだけで、結構効きそうです。なお、OFF時のIdo変化を遅くするアイデアは・・・ありません。

Ver.2.4.の各種波形の撮影はさぼりました。似た波形の羅列は自身ワカランくなる・・・と弁明。

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Ver.2.5

電球をカマシます。

Ver.2.5.1実験回路 Ver.2.5.1実験風景 先立って行った球のテストから、90W球3個が適当と考えました。

明るく燈る写真ですが、実は暗いのです。約30V点灯ですからね。

球の配置・間隔は、後に述べる予定意匠の先回りです。コレで「チンチン」に熱けりゃ、妄想は白紙に・・・

Ver.2.5.1実験歪み率 球だけ3個では若干抵抗値が低い模様です。

Ido≒1.3A時では電流バイパス抵抗としては20Ωチョッとの感じでした。しかしIdo≒1.4Aでは22Ω内外に変わり判断に苦しむ。Idoが増えた分若干歪みは減少しますが、クリップ側先行の様相になります。それに・・・ドレイン損失Pdo≒30Wはそろそろ危険水域かもしれません。

3行空けのために・・・こげなことを

Ver.2.5.2実験回路 Ver.2.5.2実験風景 90W球各々に、10Ωづつ加えました。総合して概ね24Ωと同等動作には出来ました。

しかし、Idoを変えれば電球の抵抗値も変わるので、必ずしも24Ωを維持するワケではないのです。

Ver.2.5.2実験歪み率 24Ω抵抗バイパス時を再現できた?。

Pdo≒28Wですから、微々たる違いでしかありませんが、この辺で留めたい気分なだけです。

電球を触れば、そりゃ熱いのですが、ガンガン周囲を炙るほどでもない様子です。今日はちと肌寒いからねえ。しかし球の中間にPC-510aのTEMPセンサーを掲げますと、17→28℃程度の温度上昇が見えます。無頓着な部品配置は禁物ですね。

総合して、管球OTL並みのF特と、いささか直線性の宜しくないタマの丸裸シングルアンプの歪み、丸裸の多極管シングルアンプ並みの出力インピーダンス・・・フツーに考えれば出来損ないでしょう。でも、どんな音で鳴ってくれるかワクワク。

少々告白しますと、2段増幅回路も検討したことがあります。NchのJ-FET→2SJ119といった、つまんなさそうなシングルアンプでした。まあ・・・若干の負帰還を念頭に置いた発想ですが、シングル単段で問題視されるだろう歪み・出力インピーダンス・入力容量etc・・・を、多少なりとも整えられる筈です。しかし実験した限りでは、そんなに「目くじら立てる」程では無いような印象を受けました。いや、はっきり言って2段増幅の設計が煩わしくなってきた・・・のが本音か?。

Ver.2.5.の各種波形の撮影もさぼりました。似た波形の羅列は自身ワカランくなる・・・と再び弁明。

以上で、仕上がりました。この後は「盛り付け」です。

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工作1

20141120〜

気合を入れる時は、最終予定シャーシに近い安物に仮組みする場合もありますが、それは金属シャーシ作品でのこと。今回は、安易に木製構造を目論みました。いきなり組んぢゃいます。図面は書きますが、盛り込む実態の部品が「書いたとおり」納まるか、目と手で確認しながら進めます。よくやるんですよ、部品同志の「干渉」をね。

天板表に仮置き 天板裏に仮置き 前作「50R-P28全段差動PP++」に続いて、またコレか?〜てな意匠。マトモなシャーシーを使いたがらないクセが付いてしまった。今回は電球を使うので、閉鎖筐体は危ないと言い訳しましょう。

「初めてのトランジスタアンプ」も、合板上下に組んでました。好きなのかな?こんなの。

貫通穴あけ 後ろ足位置決め 前足位置決め 四つ足付きました カッコつけてR付集成材を選んだので、端からの位置決めが不安。正直言えば足の位置は目分量気味です。

HCで売ってる、出来合いの木製踏み台?みたい。実際ソレを買って加工しようかと考えたこともあります。
実は隠しきれない錯誤を、初っ端からやらかしています。

前後パネルをあてがう 前後パネル取り付け済み 内部スペース 上モノ仮置き なんだか、神棚の出来損ない?か、宗教儀式の什器にも見えてきた。まだ塗装してないからねえ。
彫りモノして金ぴかに塗ったら「如何にも...」の雰囲気になる。しませんけど。

放熱器左右をジョイントで橋渡し出来ぬものかと吟味中。放熱器に元々開いてる穴を利用しますが、運良く電球の頭上を通過してます。

放熱器の固定は、天板裏側からの3mmφタッピングネジ2箇所だけで、いささか強度に不安があります。左右を結合したところで格段に強化されるわけではありませんが、片側だけに加わる外力を、他方も幾らか負担できると思うのです。特に金属材料に拘らないのですが、電球のアタマをまたぐので「木製丸棒」ではだめかな。

キツイ 汚い 危険 安い・・・? いつもの泥縄式工作手順です。小物部品から組み込むのが「正解」と解っていても、デカパーツを先に載せてしまいます。周辺空間の確認を今頃やってるのです。

狭ッ・・・。

入出力端子を後ろに設けたいのはヤマヤマですが、後ろに電源・発熱部品を置きたいのです。よって・・・入力端子は、また前面に。
整流ダイオードから遠ざけたい意図もありますが。

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計画変更・・・ケミコン換えます

20141203

****

貰いモン6本 放置プレイ中 貰いモンのケミコンに換えます。ど〜も窮屈なのが気になってまして、それが随分すっきりします。容量の減少25000μF→15000μFは、平滑抵抗の追加でカバーしましょう。DC2〜3V減ったって大したことありません・・・って、言っていいのか?。

右は電圧処理後の放置プレイ。

我が家のしきたりに則り、電圧処理から。元電圧≒80Vから4個ごとに15kΩ(この数値はテキトー)+逆流阻止Diを経由して、数時間後の
15kΩ両端電圧を見ます。なお充電中のケミコンの電圧上昇を調べますと、4個の容量偏差が見える?気がします。

6H後には4個全て0.3V以下・20μA以下。充電中の電圧推移も案外揃ってます。キリを付けてOFFした直後の充電電圧は、4個全て79.3V。
一晩放置して再び見ますと、24H以上経過後も63〜64V台を維持してました。

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Ver.2.6 〜最終回路のつもり

Ver.2.6になる勘定か、最終予定回路です。まだ一部定数未定で、拵えながら決めてゆく・・・のんびりしてますなあ。

Ver.2.6実験回路 役得PTに遊休巻線があり、頃合なのをバイアス電源に使います。

大元は左右共通でもカマワン筈ですが、なにしろ「逆立ち」回路の電源は、対地電位が出力信号そのものなのです。左右共通がタブーなので、別巻線とはいえ一緒くたでは何が起きるか解りません。独立出来る巻線を持ってるのですから、迷わず左右分けます。

電球に直列の10Ωを接地側に移動したのは、対地電圧測定で電流換算したかっただけです。

PTのコアを経由した、巻線間の結合度合いは如何なるものなのか。あるいは層間を越えて「誘導?」される成分があるかもしれません。バイアス巻線はブリッジ整流回路を経た後、最終的には平滑コンデンサで交流的に“短絡”されているので、ノーマルモードの混入は無視できると考えます。コモンモード・・・と言っていいのかどうかも解りませんが、対地でバイアス巻線に乗る出力信号はどうなるんでしょう。これも整流後ですが、接地されている・・・と考えますがいかがなものか。

余計な事を考えすぎました。忘れちゃうのが一番いいのですが・・・後ほど調べてみる気になってしまった。どれくらい後ほどか言えませんが。

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工作2

20141204〜

塗装 またUL1015 めんど臭ッ やっぱキツイ こっそりと塗装しました。コレに使用した残りのつや消し透明スプレーです。木目がちょっと冴えた印象に。

ケミコンが小型になって幾分隙間が増えました。実はデカパーツを載せたり下ろしたり・・・ここでも試行錯誤を“今頃”やってます。この段階ではもっぱら配線の通り道を模索していましたた。アタマや図面で思い描くだけではアカンか。

板に這わせた、やたら太い線はUL-1015・AWG18です。UL1007で結構なんだが、PTから生えてる線の見た目に合わせました。

PTからの45V巻線末端にラグ端子が元々から付いてるので、S15VB20の足にネジ止めしました。ついでに整流出力もネジ止め接続に。

スマートに組み上げようとする下心に、現実は応えてくれません。なんだかグチャグチャな配線になりつつ・・・いや、なります確実に。

バイアス回路 Ver.2.6バイアス回路テスト

AC14Vの代わりに、菊水18V電源で仮試験しました。多分構想に近い電圧関係かと。
起動は10秒以上かかった感触でした。

3行空けのために・・・こげなことを

J119周り 電球ソケット周り 目分量配置 出力1000μF MOS素子のゲート直列470Ωは、収縮チューブに中に。電球ソケットも下拵え。
デカパーツは一旦降ろしてそれら上モノを組み込みます。

電球ソケットの位置決めは目分量・・・写真くらいの距離ではバレないのですが、ンmmくらい揃ってない。微妙な傾きは、PT(裏側)のネジとの干渉を避けたつもり。図面段階で見抜けよ〜・・・と突っ込まれても返す言葉が・・・。

右端写真の右足根元に1000μFの出力コンデンサを“そっと”置きます。Ver.2.3実験で得た低域特性から“減量”しました。

グチャグチャ ゴチャゴチャ 窮屈 線出とるぞ 再度デカパーツを載せ、固定しました。関連の配線作業。ただし、入力部のシールド線は意図があってVol.には未接続です。
思惑以上に配線作業は窮屈です。25000μFだったらもっとキツいでしょうな。

パイン集成材は、加工は楽かもしれませんが、木目には注意が要ると知りました。木ネジを多用する特殊性は置いといて、無造作にネジ込むと木目に沿ってナナメに入っていきます。柾目の材を選ぶなり、メンドーでも、垂直な下穴を開けとくべきだった。

45×25cmの板では狭すぎました。45×30cmだったら幾らか相当楽になっただろ〜に。

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通電開始

20141209〜

いつものように最初はスライダックで「恐る恐る」通電。バイアスADJはVR中央からですが、ココが概ね5V以上になるまではMOSがカットオフなので、AC100V給電でもIdは流れない理屈です。回路動作は単純だし、慌てなければ途中段階でおよその「チョンボ」が見つかるのです。

はあ〜.......チョンボしてました。左右のIdの監視と同時にB電圧も見てますが、左右B電圧に差が出ます。カットオフでも1〜2Vの差ですが、片chごとにバイアスを与えますとその差が広がります。仮設定のIdo≒1A(計器上限)は成立しますが、やはり数Vの差が残ります。あれ?...

大チョンボ 告白しますと、こんな状況の「大チョンボ」でした。なるほど・・・左右電源が両MOSと負荷を経由して直列に。しかし、コレはコレで「circlotron」の書き損じに見えなくも無い、などと言い繕いましょう。

ナニ言ってもミスはミス、両ch同時組み上げを急いだからかなあ・・・ がっくり...OTL...

3行空けのために・・・こげなことを

OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...  OTL...

直しました。治りました。アタリマエか・・・。

再びスライダック給電を経て、Ido≒1.3AにADJし、DC電源電圧は50V程に。平滑容量減と抵抗追加でかなり低下しました。実験中の動作点から若干変わりますな。あらためて最適点を探さねば。

もう一つの懸案、ハムNoisは、入力Short・〜500kHzBW測定で0.15mVほどでした。400Hz〜500kHzBWでも殆ど低下せず、〜80kHzBWでは0.1mV内外に。平滑容量減のツケは回らなかった様子で、一安心。しかし、入力部シールドは暫定的なもの、特にRchはPT脇を通るので、これも探らねば。

入力部 入力部です。どうやらシールドでもバラ撚り線でも大した違いが無いのです。告白すれば、
Vol.−6db位置で同じくハム悪化。

入力VRもケチリました。マルツで売ってる安物です。

3行空けのために・・・こげなことを

ドレイン側の負ラインを接地し、AC55Vほどの通電で片chの電球グループに1.2〜1.3A程流れます。通電前の冷めた放熱器(ドレイン足根元)の温度は13℃ほど。電球の輻射熱が放熱器をどの程度炙るかを調べましたが、1H以上放置後で19℃に。主役が発熱してないので放熱器は冷たいのですが、無視していいものやら・・・。

電球の熱よりも、内部に収納したセメント抵抗・・・特に追加した1Ω10Wは触れんほどに熱いのです。平滑直前の抵抗挿入はしばしばやりますが、平滑後の同じ1Ω10W・・・電流波形が異なるためか、コチラは長時間触れます。ハムNois次第ですが要改善だ。

ぼや〜っと 部屋が暗いと 日よけ?を設けました。Sunhayatoのベーク板・1.0t×100×200mm。

日よけサイズは中途半端だし、素材や厚みが適正かどうかは自信は無いが、まあ無駄にはならないでしょ。

6個燈すとこんな感じか〜、中途半端だ。お祈りしたく・・・なりませんよ。

電源SW下のLEDは左右独立。右chの赤は下にしたかったのに・・・。50Vラインからの点灯なので、ON直後しばらくのカットオフ中60V時には若干強め。球の点灯開始に従ってこの明るさに落ち着きます。別に仕組んだ訳ぢゃないが。

撮影後放置してMOS足の根元で検温しました。〜Ver.2.5実験までは放熱器の姿勢は悪かったし、若干の減電圧→ドレイン損失減からか、期待?したほどには“暖かく”なりません。室温13〜14度の中、1時間半後は50℃で、冬向きとしてはいささか拍子抜け。しかし夏場30℃超えの気温では・・・70℃にはなろうかと思います。

撮影してから球の1個が、ナナメなのに気付く。木ネジの1本が下のPT固定ネジに当たってるのです。20mmネジの半分くらいしか入ってないのですが、裏返しが続いた作業の間に傾いて・・・起こした時に戻りきってなかったのね。

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測定

20141212〜

入力部の配線が短いLch側のNois(500kHz/BW測定)は、入力端短絡Vol.minで0.1mV内外。同Vol.-6db位置でも0.12mVほどの増加に留まりました。しかし、何がしかのケーブルと信号源インピーダンスがぶら下がれば、この限りではない。

Lch入出力特性 Lch周波数特性 Vol減衰量対100kHzレスポンス

利得は9.83db・・・中途ハンパですなあ。入出力の低域制限が重なるので、下降カーブは−12db/Oct風に変わりました。これにはVP-7720Aの低域指示誤差を含んでいます。

Volを絞ると、案の定高域は劣化します。−3db〜−9db位置の劣化程度が似ていたので、見方を変えた測定・グラフも掲げました。意外な範囲に劣化が見られたので、実力的には、概ね60kHz−3dbのアンプと考えます。

Lch歪み率特性 Lch出力インピーダンス特性

電源DC電圧の低下に伴い、動作点は約1.2A弱にしました。定格?Pomax≒3Wと思われ、Ver.2.5実験よりも劣化傾向か。数値の差はあれど、波形はVer.2.3頃と似たよーなモン。

動作条件の変更は電球負荷抵抗値にまで及び、どうやらココは約20Ωに・・・。そして、出力インピーダンスそのものでもあります。低域の上昇は出力コンデンサ1000μFによるものですが、高域の減少は、MOSの出力容量が原因かなと思いますが、ど〜かな?。ちなみに中域のDF値は0.4ですから、どんだけ“ユルい”音が出るか楽しみです。

100Hz 1KHz 10kHz 10kHz/Vol-6db 左から、100Hz・1kHz・10kHzの方形波応答波形。右端はVol−6db時の10kHzです。

10kHz/open 10kHz/open+0.01μF 10kHz/open+0.1μF 10kHz/open+0.47μF 左端は負荷開放、次から0.01μF・0.1μF・0.47μFの容量負荷応答。電球負荷の20Ωが常駐してるので出力素子は無負荷にならないのです。20Ωとの1次LPF応答を見ているのにも等しい?。

3行空けのために・・・こげなことを

刺Nois 整流Noisが見えました。要改善・・・

この波形はオーディオアナライザ・MAK-6630のレベル計モード時、モニタ出力を見たもの。言い訳がましいが、オシロ画面上の振幅が出力されているのではありません。

3行空けのために・・・こげなことを

SP出力で観測しましたら、出てました。8Ω負荷で50mVpp近くに「見える」刺。

刺Nois処置前 刺Nois処置後 刺Nois処置後だが

AC45V巻線に1μF+10Ωの、Zobelナンタラを付けて「見えなく」なりましたが、CIMG2035.JPGと同じくMAK-6630モニタ出力では残ってます。もう疲れたので、追求は放棄。

この手の波形の“上手い”撮影テクニックを存じ上げません。近々Model300の後釜となるデジタルオシロが届くのですが、待ちきれなかった。入門機製品ですが、うまく見えるかな?。

Lchは以上です。

Rchもデータは記録しましたが、Lchに似てるので省略します。入力部配線が長くてPT脇を通るRchのNoisは、Vol.−6db位置で0.26mV に
悪化、400Hz・HPF測定では0.1mV近くに減るので、明らかに誘導が混入しておりました。シールド線に換えるのは・・・おっくうだなあ。

Rchの利得は9.68dbで、運良く?1db未満に収まりました。ソース抵抗の電流帰還が加わっているとはいえ、高々−6db内外では利得の均一効果は大したこと無いのです。Idoのばらつきや、電球負荷抵抗値の差が懸念されましたが、運良く・・・。

Rch歪み率特性 Vol.を絞ったRchの歪み率特性です。

低レベルの数値は悪化しております。

3行空けのために・・・こげなことを

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オマケ実験

20141214〜

特記の無い項目以外はLchのみの実験・記録です。

Ver.2.6の項で懸念(妄想?)された、PT巻線間の「漏れ」を捕らえられないかどうかを試してみました。この手合いの知見が無いので、試行錯誤のレベルです。

まずは本機の電源OFF状態で、テキトーなところに測定信号を注入し、各部の電圧・波形がみられるかと考えました。調べたいのはPTの振る舞いですが、必ずしも通電状態が必須でも無かろうと安易に考えたのです。

オマケ実験1-2 オマケ実験2データ オマケ実験@はFG-274から・・・注入信号の振幅不足でしたし妙なカン違いしたかも知れぬ。しかし、ン100kHz以上ではゲート抵抗下に、何某かが出てきたのです。

同Aでは、我が家で最も高域が伸びてる超簡単・・・でFG-274をサポートし、注入抵抗値も減らしました。

意図が正しく得られたか自信の無い数値。高域で「漏れ?」が増加しているように“見える”カーブですが、波形を見たら・・・・?。

上から、信号源元波形。
真ん中が注入部(ドレイン)の波形E1。
下がゲート抵抗下への「漏れ?」を見たつもりの波形E2・・・。

10kHz 100kHz 1MHz

右端の3枚目では3ッの波形が重なり合って解り辛いので(自分が)、2波形づつの写真を4,5枚目に掲げました。

1MHz・元波形とドレイン波形 1MHz・元波形とゲート下波形

などと、分けたところで・・・?。

さて、注入点波形の波頭上側は明確に抑圧されており、想像ですがドコかでスイッチング動作が起きた気がします。そのスイッチングが終了しただろうタイミングで、高周波の繰り返し波形がみられます。測定周波数が高くなると、その振幅が大きくなる・・・しかし繰り返し成分の周期は、測定周波数とは無関係の様相・・・?。

どうやら注入信号波形そのものではなく、何かの共振波形が出たのかと考えました。PTを含む回路内部に存在する(かも知れない)インダクタンス成分に起因する・・・とも取れるし、案外測定系(接続方法やケーブル・プローブなどのインダクタンス)の問題なのかも知れませぬ。泥縄式実験では、ただただ想像(妄想?)するのみ。一体なにが見えたのやら・・・。

意図とは違うモノを見た気分です。注入波形振幅で電源ブリッジ(もしかしてMOS内蔵のアレも?)がスイッチングしたかもしれませんが、それの実態まで調べる気力は萎えてしまいました。アンプ通電状態での同様テストを考えておりましたが、それも・・・。

「予想とは違うからヤメだ」ちゅうのは正しい姿勢ではありませんが、「注入波形そのもの」はゲート側に届いていないんでは?と、安易に納得することにします。そもそも、機体に組み込んでから見るような実験ではありませんね。PT単体で調べるべきテーマでした。

多分・・・同一回路での追試は無い見込みですが、2巻線を持つPTを「異なる電位で使う電源非接地」方式の別件ネタ妄想があります。詳細はまだ隠蔽しますが、その際に単品PTの2巻線間テストは試みたいと存じます。しかし、いつのことやら・・・。

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測定2

20140215〜

オマケ実験で道草が過ぎました、チャンネルセパレーション特性です。

chセパレーション 普段より欲張って、0db=3.16Vrms/8Ω・・・。おかげで?左右のNoisフロアの差も見えました。

今頃気付くが、残留雑音値がAC電灯線電圧に若干影響を受けてる印象です。それも・・・もしかして同時に。AC100Vの波形そのものも変化してるのかもしれませんが、その確認はしてなかったなあ。

Rchの入力部が粗末だからか、Vol.−6db位置での劣化は相当なモノ。意外なのは、Vol.minの高域はL→Rの方が良い。内部は左右対称配置なのに、入出力を偏らせたツケでしょう。

3行空けのために・・・こげなことを

これはオマケ。OTLアンプの端くれですから、歪み率の周波数特性を調べました。OPT付アンプでは開示したくない類のデータです。

周波数対歪み率 これも今頃気付くのですが、10Hz手前くらいから電球の明滅が見えます。

それだけならイイのですが、同時に抵抗値も変化するでしょうから、歪みの一因にも。しかし検証するには、完全固定抵抗負荷との比較をせねばなりません。

う〜ん、Ver.2.3〜2.5あたりで調べられただろうに、思いつきませんでした。でも、今更やり直しなどは・・・

アナライザの測定周波数範囲内で、大きな増減が見られないのはさすが・・・と言いたいのですが、盛大なMOS素子の2次歪みで“均一に”埋められた、と見るべきかもしれません。

測定レベルが中途半端で、あまり差が見えない気がしました。測定帯域端では利得が低下し、その分入力信号を増加します。3W以上のレベルでは、入力増加分が意味合いを複雑にしてしまうのではと。ちなみに1kHz・5Vrms/3.125W出力では7%ほどの歪みが、10Hzでは20%近くにも増えます。

20kHz以上で歪が低下しているのは意外でした。微々たる程度ですが利得低下が見え始め、OSC側で補ってるのですが、それ以上に歪が減ります。理由付けは・・・止めた。

書き忘れましたが、中高域信号でも数W以上の出力では、明らかに電球が明るくなります。抵抗値は上昇してる訳で、動作基点の電流値は減るリクツです。しかし実態は、MOSデバイスの2次特性によるId増加が勝ります。両者で相殺されそーな気がしますが、電球の抵抗値変化は・・・多分タイムラグ・・・遅れを伴うでしょうね。事態は結構複雑な印象。

10Hz・2W・5.8% 20Hz・2W・5.0% 1kHz・2W・4.9% 20kHz・2W・4.9% 100kHz・2W・3.4%

全て2W時の波形です。上のグラフ数値に準じます。連続信号の歪み波形を眺めてても、電球負荷が故の歪がどこなのか・・・わかろう筈はありません。

右端の100kHzでは、画面上の歪み波形振幅が大きく見えます。測定数値は減ったのでMAK-6630の歪み率レンジが切り替わり、モニタ出力の振幅も大きくなったのです。・・・などと弁明の多い実験ですな。

ギリギリ間に合った「新調」デジタルオシロで観測した、SP出力の整流“刺”Nois波形です。

無策 Zobel追加後 ギリギリ間に合った「新調」デジタルオシロで観測した、SP出力の整流“刺”Nois波形です。

左は処置前。Vppの34mVは無論一端を示す数値で、コロコロ変わる中での最大値は60mV超ほどか。10Ω+1μFのZobel回路を45V巻線に施すと、右の波形に。ずっと眺めててもVppは、6mV内外に落ち着いてます。

まだ使いこなし手探り中・・・精度はど〜かは解らぬが、数値が読めて嬉しい。

ON時 OFF時 同デジタルオシロで観測した、ON-OFF時の出力Nois波形です。

上段CH1:SP出力、下段CH2:45V整流ブリッジの負側です。ONとOFF波形を並べたら、一見繋がって見えますが、数分のインターバルがあります。V/H軸設定も異なります。

バイアス回路の時定数で「ON」は大人しいのですが、「OFF」では電球負荷で15000μFや1000μFの電荷が一気に放電するみたい。これをコントロールするのは・・・イイ手が思い浮かびません。リレーでSPとの接続を切る方法は存じ上げておりますが、リレーの接点接触不良には昔から悩まされてましたので、その気になれんのです。

出力コンデンサの容量をケチろうと考えたのも、その充放電によるSPへの影響の事もあります。記録を取ってないのですが、Ver.2.1〜2.5実験中(10000μF)での感触ではいささか気になるレベルだったのです。

10Hzや1Hzなどの波形表示も、こっち(DS-5102B)の方が得意のはず・・・、止めて見られるから。

最後に、2SJ119各部の電圧最終値を掲げます。電灯線AC100Vの監視は3201回路計なので、100.0Vではない。

測定箇所Lch無信号時/同3.125W出力時Rch無信号時/同3.125W出力時
ソース1.11/1.18V1.08/1.16V
ゲート抵抗下-6/-6V-5.92/-5.92V
ドレイン-22.7V/-19.5V-23.8/-19.8V
電球負荷部27.5/30.6V26/29.5V

電流計の挿入をサボりましたので・・・各chのIdoは“おおよそ1.2A”です。

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試聴

20141219〜

音質云々の前に、ON-OFF時のNoisが気になってました。MAINSYSTEMで鳴らすのはちょっぴり勇気が要りましたが、ONは無音・・・OFFでも無音・・・よかった〜。

CD直結再生ですが、ど〜やら−20db内外のVol位置で常用音量です。例のF特カーブが脳裏に浮かびますが、高域劣化ポジション手前・・・よかった〜。

試聴だか眺めてるンだか 室内気温10℃未満での試聴は寒い。上部発熱体は・・・案外ヌルく、目論み程ではない。

Linkmanの安物VR(R1610G)だからかど〜か、Vol真ん中が−20dbではない。−20dbは、時計目盛り10時半くらい。

3行空けのために・・・こげなことを

MY AMERICA TR01のラップが喧しくないし、DJスクラッチはマイルド、荒っぽく聞こえた曲調も案外大人しい。

ベルのDr、特にバスドラは緩い。

Suga Top 心地よいノリが更にゆったりと聞こえる。テンポは変わらんのにねえ。

BASSも緩い・・・。

おせっかい・CP32-5032 80年代のディスクで感じる、音量の低さ・・・。Vol位置は−10dbの上。

低DFで聴くウォーターズのプレシジョンBASSはとても柔らかい。カリカリの音に加工されてるTR01「吹けよ風、呼べよ嵐」ですら柔らかい。

ギルモアのストラトも、なぜか“ふわっ・・・”としてキツく無いし。エコーズ半ばでガラっと変わるリズムパターン前後の、音像定位操作は鮮やか。

夜間に暖房を入れた、ンH後・・・放熱器は熱い。アタリマエだが周囲温度に発熱が加算されるので、夏場の運転は無理かも。

blue camel ウード(Oud)の何たるかも知らぬが、妙な心地よさ。1990年代に知った「BUKRA」に続くラビ・アブ=カリル体験の2枚目。

唯一の電気楽器は、たぶんスティーブ・スワロウのel-bだが、加工臭が無く他の生楽器に馴染む。普通のDrセット不在の打楽器編成(conga、frame drums、south indian drums)興味深い・・・ちゅうか聴き慣れしてない響きが新鮮。

ユルさが気にならない音楽?・・・打楽器のヘッドもユル目に・・・いや〜良くわからんです。

3行空けのために・・・こげなことを

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後始末

201412**〜

完成後に手を加える事はめったにありませんが、整流直後の1Ω10Wが熱くて気になってました。置き場所に悩んだ挙句、既設の1Ωに抱かせただけ・・・。極めて宙ぶらりんなのは気にしつつも、発熱が減って「これでヨシ」としました。なお、この処置による電圧変化は大した事無く、Idoも変わりません。ハムNoisも悪化せず、グラフ化レベルの再測定はサボりました。

出力コンデンサは、結局1000μFのままです。聴いて不足感ありませんので、各種容量での吟味もサボってしまいました。

これが本当の最終回路 クドイのは承知で、これが本当の最終回路図です。

背中にゴム足付けたが 足にフェルトパッドを貼ったんですが、偶蹄目の動物にも見えてきた・・・。

背面パネルにゴム足を追加しました。一気にひっくり返す作業が危なッかしいので“中間姿勢”の為ですが・・・重心の見極めが甘かった。

←浮いてる。

もう一点、放熱器が電気的に浮いていました(気付かずに・・・)ので接地しました。何となくMOS素子ドレイン⇔放熱器間の微小容量(マイカ板とグリス)が悪させェへんか気になったので、高域レスポンスは調べ直しました。変わりません。

年内完成を急いだのは否めませんが、じっくり構えても似たような出来になったかも知れません。芸風は・・・変わらずか。

20141225完了

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